第74話 年末年始の神城家(2)
「それでは、もう少し説明させて頂きます。
現在の優さんの性別は、女性に固定されており、男性に戻る事は出来ません。
その為、戸籍は既に女性に変更してあります。
優さんの行動時には、我々対魔庁の護衛官が付添う事になっており、日常活動を制限していますが、年末年始を家族で過ごしたいと要望が有りましたので、自宅から出ない事と何かあれば必ず我々に連絡する事を条件にご帰宅頂いています。
そのため、
ご理解いただけましたか?」
と氷室さんが言った。
「その保護は、いつまで行われるのですか?」
九条の爺ちゃんが聞くと
「優さんが、十分な自衛手段を得るまでです。
既に、2回誘拐未遂が起こっており、犯人と関係者を逮捕済みですが、今後も発生すると考えていますので、現状保護の解除予定はありません」
と氷室さんが返した。
1回目は、神埼の件でだろう。
2回目は、いつだろう?
多分、私が気づかないうちに処理されたんだろう。
その後、祖父母達は、頭を抱えながらも、認められたみたいだ。
お披露目が終わったので、お昼をどうするか尋ねると、買ってきてあると言うので氷室さんを交えてお昼食べた。
食後、氷室さんは帰った。
帰り際に、家から出ない事と何かあれば必ず連絡する事を念を押された。
氷室さんは今日まで仕事で、明日から1月2日まで雛元さん、3日から5日まで山下さんが当直で待機している。
他の護衛官は、自宅待機だそうです。
氷室さんが帰るのに合わせて、父さんと母さんと婆ちゃん達4人は、追加の買い出しに行った。流石に倍以上に人数が増えたからね。
舞と希ちゃんと香織ちゃんの3人は、舞の部屋で冬休みの課題をやっている。
最初は、3人で遊びだそうとしていたのを、婆ちゃん達が先に課題を終わらせないと、元日から課題をやらせると脅したので大人しく勉強をしている。
爺ちゃん達は、共通の趣味が有ったようで会話に花をさかしている。
私は、台所で洗い物をしていた。
洗い物が終わった頃に、舞達3人が部屋から出てきてた。
お菓子と飲み物を買いにコンビニに行くから一緒に行こうと誘われるが、しっかりと断って送り出した。
3人を送り出してから、台所に戻り冷蔵庫から無塩バターと卵を取出してから爺ちゃん達にお茶を出した。
バターを室温に戻している間に、砂糖、小麦粉、ベーキングパウダーの分量を計っておく。
今からクッキー生地を作ろうとしている。
舞達3人がコンビニに行く理由がお菓子とジュースだったから、お菓子でも作ってみようと思い至ったので、早速準備をした。
寮に居る時に作り方を教えて貰ったので、年末年始の時間が在る時に作ってみようと思って、材料を揃えて貰っていた。
オーブンは、電子レンジ機能しか使っていなかった立派なオーブンレンジが家に在るので問題ない。
室温に戻したバターを泡だて器でクリーム状になるまで混ぜて、砂糖と卵を加えてバタークリームにする。
バタークリームに振るった小麦粉とベーキングパウダーを加えて、全体的に混ざるまで混ぜてからラップに包んで冷蔵庫で寝かせる。
冷蔵庫を閉めた時、玄関が開く音が聞こえた。
舞達3人と章と零士が一緒に入ってくる。
男二人は、私の前ではシドロモドロになっていて話が進まないが、手に持っている荷物から、毎年恒例の課題をやる勉強会の為に来たみたいだ。
例年なら、章は国語、数学、理科、社会、英語で、零士が国語と英語で、私が数学と英語の追加課題を貰っていたが、今年の私は追加課題が無いので忘れていた。
私は、舞達3人に勉強道具を持ってこさせてから、5人を私の部屋に押し込んで、ここで勉強会を行うように言った。
舞を除いた4人は、驚いている。
今の私の部屋は、家具は学習机とベットと小さめの衣装棚と備え付けのクローゼットだけだだし、寝具とか内装とかは男の時のままで、机の上にノートパソコンと教科書等しか置いていないからね。
以前は、漫画が満載の本棚とゲーム機が繋がったTVとかも置いていたんだけど、見ないし使わないから撤去した。
部屋の隅に置いている折り畳み式のテーブルを絨毯の上だして、「皆でやれば早く終わるでしょう。」と微笑みながら圧を掛けて勉強会を始めさせる。
私は、台所に戻って舞達が買ってきた飲み物とコップを準備して部屋に戻って見ると、まだ手についていなかったので、始めるように促すとようやく課題を始めた。
それを見てから、台所に戻った。
冷蔵庫から、無塩バターと卵を取出し、砂糖と小麦粉を準備する。
全ての材料の分量が全て同量になる様に計量する。
オーブンを180度に予熱設定をオンにしたら、バターと卵黄と砂糖1/2でバタークリームを作り、卵白と砂糖1/2でメレンゲを作った。
これを、バータークリームにメレンゲと小麦粉を3回に分けて加えながらメレンゲの泡を潰しすぎないようにさっくりと混ぜてから、紙の型に入れる。
後は、焼き加減を見ながら、予熱が終わったオーブンで20分位焼く。
焼き加減は、串を挿して何もついてこなくなれば良いらしい。
焼き加減を見ながら、調理で使った道具を洗っていく。
香ばしい匂いに頬を緩めながら、焼き加減を確認する。
串を刺して、串に生地が着いてこないのでパウンドケーキの完成だ。
粗熱を取っている最中に買い出しに行った父さん達が帰ってきた。
時間的にもおやつ時なので、勉強をしている5人も呼んで焼きたてのバウンドケーキを食べることにする。
人数が多いので、3本まとめて焼いたので全員に行き渡るはずだ。
舞は、「お姉ちゃんの女子力が高すぎる」と呟いていて希ちゃんと香織ちゃんと慰めあっている。
あの三人、同い年だから通じるものが在るのかな?
父さんと章と零士は、噛み締める様に食べている。
皆、美味しいと言ってくれた。
私も食べたけど、美味しかった。
一晩寝かせた物も美味しいらしいから、次に作った時に試してみよう。
料理を教えてくれたのは、候補生の
詩さんが言った様に、自分が作ったものを美味しそうに食べてくれるのを見るのは嬉しかった。
おやつタイムの後は、勉強会組を再び部屋に押し込んでから、母さんと一緒に両親の寝室と舞の部屋を片付ける。
両親の寝室は、母さんと婆ちゃん達が寝て、舞の部屋で舞と希ちゃんと香織ちゃんが寝ることになる。
父さんと爺ちゃん達は、リビングで寝てもらう。
私の部屋?
私は、生活時間が皆とズレているから一人だよ。
そんな事をしている内に、夕方になったので章と零士は帰った。
課題は終わらなかったので、続きは明日朝から家で行う事が決定していた。
夕食は、婆ちゃん達の合作で、それぞれ特徴が有って美味しかった。
食後の片付けを母さんがやってくれて、父さんと爺ちゃん婆ちゃん達は晩酌をしている。
舞達は、舞の部屋に入っていった。
舞は、部屋を勝手に片付けられたので怒っていたけど、母さんから「普段から片付けるか課題を早々に終わらせていれば、問題がなかったのよ。」と言われて押し黙ってしまった。まあ、口で母さんに勝つのは無理だしね。
そういう訳で、先にお風呂に入ってから、クッキー生地を取出し、
後は、自室で勉強をして過ごし、いつも通り22時に寝た。
自習用の課題は、寮生の講師役の人が用意していてくれた。
課題も、やりたい分だけで良いと言われている。
爺ちゃん達からは、特に何も言われなかったけど、希ちゃんと香織ちゃんは驚いていた。
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