第62話 示威作戦 事前訓練(1)
午後3時になり、文化祭の終了時間になった。
しかし、私の周り居の子供達は減るどころか増えている。
皆、帰る前にもう一度と言って此処に来たようだ。
そんな子供達を女子寮の皆が、整列させて順番に触れ合いと別れの挨拶をさせて帰らせていく。
子供達の親からもお礼を言われ子供と一緒に帰って行く。
様子を見に来た竹内先生は、呆れた様子で見ている。
ようやく最後の子供が帰った時には、4時近くになっていた。
教室を覗くと、既に後片付けは終わっていた。
手芸部の篠原さんを探していると、クラスの集合写真を撮ると言われ、そのままの恰好で最前列中央に据えられて写真を撮られた。
ちなみに私以外は、全員制服に戻っていた。
その後は、山並先生が「寄り道せずに帰れよ。」と言って、そのまま解散となり、私の分のケーキを貰ってから、篠原さんを捕まえて手芸部に移動して仮装を脱いだ。
待機室に戻り、戸神さんと植松さんと合流して対魔庁の支局に移動する。
支局で、太和さん、山下さん、望月さんと合流して、ヘリコプターで1時間弱移動すると夕暮れ迫る海上に2つの島が見えた。
太和「やっと、見えたな。
2つの島の手前の島が研修所で、奥側の島が演習所だ。
演習所は、今回の示威作戦の会場になる。
今日は、宿泊施設がある
それから、研修島にある飛行場のヘリポートに着陸した。
ヘリポートの側に迎えのマイクロバスが停車していた。
マイクロバスに乗り込み飛行場から1km程離れた宿舎へと向かう。
宿舎に着くと部屋の鍵を貰って、部屋に荷物を置いてからロビーに集合して食堂に向かう。
宿舎内の通路を10分程歩き、3階にある渡り廊下を渡る。
渡り廊下の窓から2階に灯りが見える。
2階に結構大きな食堂が有るようだ。
しかし、2階には向かわず、3階の1室に入る。
そこは、会議室になっておりU字にテーブルが配置されいて20人位は座れそうだ、そこに伊坂さんと男女の5人の隊員が待っていた。
戸神さんに促されて、伊坂さんの対面に座ると、私の左右に雛元さんと山下さんが座り、他の人は各々好きな席に着く。
皆が席に着く間に、植松さんが部屋に備え付けの電話で何処かに電話した後、席に着いた。
伊坂さんは、全員が席に着いた事を確認してから話し始めた。
伊坂「神城さんに紹介しておこう。
彼女は、機動戦略隊中部大隊長
篠本「篠本です。よろしくお願いします。」
と言って頭を下げたので、私も「よろしくお願いします。」と返して頭を下げた。
伊坂「篠本君の隣に居るのが、補佐の
その隣に居るのが、機動戦略隊中隊長
最後の二人は、地域防衛隊静岡支局中隊長の
他の人は、自分の名前が紹介されると黙礼をするので、私も黙礼で返した。
伊坂「彼女達の部隊は、今回の作戦の準備と警護に従事している。
その責任者として、顔合わせの為に来てもらった。
彼女達より下位の者達には、神城さんが守護者である事は秘匿している。
正直に言って、神城さんを見て脅威を感じる人は居ないからね。
なので、基本的に対魔庁関係者でも神城さんの情報は機密扱いにしている。
当然、彼女達にも守秘義務を課しているから安心していいよ。」
「そうなんですか。よろしくお願いします。」
会議室の電話が鳴り、植松さんが電話に出る。
すると、山下さん、雛元さん、望月さんも席を立ち、植松さんと一緒に部屋を出ていった。
伊坂「夕食の準備が出来たので、取りに行ったのですよ。」
私も立ち上がろうとすると
太和「お前は座っていろ」
戸神「彼女達の仕事を奪ってはいけませんよ。
年の若い自分が動くべきだと思っているのでしょうが、こういう会議場での飲食の準備は、専用スタッフか階級下位の者が行う事になっています。
今回の場合、階級下位になるあの4人の仕事になります。
それに准尉である貴方が動くと、貴方と同階級以下の者全て動かないといけなくなりますので、座って待っていてください。」
太和「面倒くさいと思うだろうが、こういう組織だと階級の上下と役割はしっかりと分担する必要がある。
だから、任務中はしっかりと分別を持って行動してくれ。」
伊坂「神城さんは、入庁したとはいえ、まだ何も習っていませんからね。
階級による役割分担は、組織を運営する上で重要なことです。
特に我々の様に武力を扱う組織では、階級と命令系統はほぼ同等になります。
作戦行動中は、上の指示に従わないと違反した当人のみならず、部隊にも大きな被害を出しかねません。
怪我や物損程度なら可愛いもので、死亡なんて当たり前で住民を巻き込んだ大惨事に成りかねない。
その為任務中は、基本的に上位者の命令には従って貰います。
理不尽な命令や保身の為の命令や任務外は、別ですよ。
情け無い話ですが、
周りの人達も苦笑いしている。
扉がノックされて、雛元さん達が夕食を載せたワゴンを押して入ってきて配膳を始めた。
配膳の様子を椅子に座って眺めている。
正直、配膳の手伝いをしたいのだけど、先程釘を刺されたので我慢して座っている。
配膳が終わり、全員が席に着いた所で食事を始める。
伊坂「食事をしながら聞いてくれ。
明日までの大まかな予定を説明する。
神城さんは、この後時間が許す範囲で研修島と演習島の地形と作戦行動手順を覚えて欲しい。
指導は、雛元君と山下君にお願いする。
明日は、6時30分より研修島射撃場にて、
教導は、高橋君にお願いする。
太和君、戸神君は、身辺警護を頼む
訓練所の封鎖と周辺警護は、須藤君の部隊が行う。
11時00分より、作戦手順の実地確認を行う。
神城君の身辺警護は、中之君と高橋君が行い、私も同行する。
周辺警護は、須藤君の部隊が行う。
地域防衛隊の部隊は、11時00分までに的の設置を完了させるように。
13時00分より、通しで作戦行動の予行練習を行う。
この際、試験用
試験用
通しでの予行終了後、予行内容結果の確認を行う。
残りの時間から、17時00分まで射撃訓練を行うように。
教導は、引き続き高橋君にお願いする。
太和君、戸神君は、身辺警護を頼む。
地域防衛隊は、引き続き研修島、演習島の警備及び、会場の設営を頼む。
今の所は、こんな所だ。
変更等があれば、都度変えていくからな。
あと、神城さんに注意事項がある。
今回の作戦行動期間中は、護衛官と一緒に行動してくれ。
休息等も、指揮官用宿舎や施設を使用すること。
その他の細かい事は、都度護衛官に相談して欲しい。
以上だ。」
各人が了承し、夕食を完食して解散した。
帰り道、夕食を取った会議室に向かう時には開いていた扉が閉まっていた。
先頭を歩く戸神さんが扉を開け、最後尾の太和さんが扉の閉まりを確認する。
それを数回繰り返して、部屋の有る棟のロビーに戻ってきた。
太和「取り敢えず、お疲れさま。
この後の予定は、隊長の指示通り地形と作戦行動の内容の教育は雛元と山下に任せる。ついでに此処の説明も頼むわ。
俺と戸神は、監視室の方に詰める。
何かあったら、連絡をくれ。
それじゃあ、解散」
太和さんと戸神さんがロビーの奥の部屋に入って行き、私達女性陣が上の階へと移動を開始した。
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