第54話 文化祭の準備

 朝、5時20分に起きてトイレを済ませておく、30分からの点呼を受けると直ぐにシャワーを浴びに行って、手早く済まてから着替えられない。

 今日からブラジャーが解禁になったので、身に着けようと悪戦苦闘中。

 なにせ、まだ数回しか着けたことなかったので胸の収まりが悪い。

 見かねたあおいさんが着付けを手伝ってくれた。


 何故、今日から解禁かというと、昨日若桜さんが帰り間際に、「魔力訓練で魔力の通りが良くなったせいか、体の回復速度が大幅に上がっていて、制限を付ける必要が無い程体も回復しているから、明日からブラジャーを着けましょう。」と言われたからだ。


 後は急いでお風呂道具を片付けて、通学鞄を持って食堂で朝ご飯をいただく。

 全ての準備を終えて寮の玄関に着いた時には、6時25分になっていた。

 当然の様に、戸神さんが待っていた。

 挨拶を交わして、駐車場に移動する。

 車には、運転席に雛元さん、助手席に植松さんが座っていた。

 私と戸神さんは後部座席に座る。


 車が走り出すと、戸神さんが幅20cm位、高さ10cm位のモニターの両側に取手が着いた物を取り出した。

 なんか体脂肪計に似ている。


 戸神「開発室の安藤君から、神城さんへのプレゼントです。

 携帯用魔力制御訓練装置の試作1号だと言っていました。

 基本的に、第3体育館の装置と同じだけど制限が一つだけ。

 魔力量A6までしか耐えられないそうです。


 移動中は、これで魔力制御訓練を行いましょう。

 まずは、A1で出力が安定する様にやってみましょう。


 あと、安藤君が使用感とかの感想をくださいって言ってました。」


 戸神さんのアドバイスを貰いながら、制御訓練に精を出す。

 学校に着くまでの間頑張ってけど、相変わらず大荒れ状態だけど少しだけ安定のきざしが見えかけた。


 朝のホームルームが始まるまで、30分以上あるので待機室で空中跳躍の練習をしている。戸神さんも一緒に空中跳躍の練習をしている。

 戸神さん曰く「新しい風壁ウィンド・ウォールの使い方を知ったのですから、自分でも使える様になりたいと思うのは当然の事です。」


 教室内なので、身体強化無しで足場を作って階段の様に登ったり降りたりを繰り返す。あと、スカートなので段差も小さくしている。


 戸神「これは、制御力が鍛えられていいですね。」


「そうなんですか。」


 戸神「ええ、足を置く瞬間に最適なサイズの風壁ウィンド・ウォールを置かないと足を踏み外しますし、新しい足場に気を取られすぎると、それまでの足場の維持がおろそかになり落ちてしまいます。」


 そんな会話をしながら、ホームルーム10分前まで練習を続けた。


 自分の教室へ移動して、クラスメイト達と挨拶を交わすけど親友二人は相変わらずぎこちない。メッセージでは、普通に接することが出来るの。


 今日の授業は、中間考査の解答が返ってきて、皆一喜一憂いっきいちゆうしている。

 どちらかというと、落ち込んでいる人の数の方が多い気がする。

 私? 私は、可もなく不可もなくって感じでした。


 授業中は、出来るだけ海馬と大脳皮質により多くの魔力がいく様にしながら受けてました。


 そうして、6限目になり文化祭の準備の時間になりました。

 文化祭の準備は、今日の6限目と明日1日だけと期間が短い。

 だから、大掛かりな事も凝ったことも出来ないが、各クラス可能な限り趣向を凝らしている。


 今は、文化祭の実行委員の山田君と田山さんが今日、明日のスケジュールを説明している。

 大まかな予定は、今日コスプレ衣装の衣装合わせと教室の飾りつけの準備

 明日が、飾りつけと机椅子の配置を行う予定になっている。

 予定の説明が終わった所で質問の有無を聞かれたので、「明日、検査が有るため学校を休みます。」と伝えると「文化祭、本番は出れるのか?」と心配されたので、「文化祭には出れる」と答えると、クラス全員が安堵あんどしていた。


 この後は、男性陣が教室、女性陣が視聴覚教室を使って衣装合わせを行う。

 時間があまったら、飾りつけの準備を行う予定になっている。


 という訳で衣装合わせの為視聴覚教室に移動する所で、手芸部の篠原さんに捕まりそのまま手芸部の部室に連れ込まれた。

 そこには、7人の女性が居て黄色い歓声と「かわいい」、「きれい」、「小さい」って声でお出迎えされた。


 篠原「はい、注目。本日の主役を連れてきたわよ。

 彼女、明日学校に来れないから、この時間で衣装合わせを終わらせるよ。」


 その言葉でテキパキを動き始める手芸部員達、部室の奥からマネキンに着せられた白と青を基調にしたドレスが運び込まれた。


「あの、これは?」


 篠原「優ちゃんのコスプレ衣装です。

 優ちゃんのサイズって他の人と共有出来ないし、イメージに合う安いコスプレ衣装がなかったのよね。通販で買うにしても時間がないし、だったら自分達で作っちゃた方が良いかなって思って部員達に声を掛けたら全員賛同してくれてね。

 一昨日の買出しの後、全員で意見を出し合って、部に置いてある材料を基本にしてクラス費用と部費で足りない材料を購入。あと、各人が持ち寄った材料で、昨日一日で仮縫いまで終わらせました。

 過去最速記録だよ。

 という訳、早速このドレスを着て。」


 手芸部員の一人が扉に鍵を掛け、もう一人が窓のカーテンを閉めた。


 篠原「さあ、制服を脱いで」


「ここで?」


 篠原「ここには、女性しか居ないから大丈夫よ。」


 周囲の女性陣の目がギラギラして怖いんですけど。

 仕方なく制服を脱いでいく、布の擦れる音と誰かが唾を飲み込んだ音が聞こえる。渡されたドレスは、ワンピース状になっており着るのには苦労しなかった。

 背中のホックを止めてもらい、ファスナーを上げれば着替え完了。

 ただ、肩出しのドレスの為、今はブラジャーの肩紐が出てしまっている。


 篠原「やっぱり、パニエは必要ね。」

 部員1「発表用の予備を手直ししましょう。」

 部員2「じゃあ、取ってくるね。」

 部員3「でも、あれって1段だったよね。」

 部員4「3段だったと思ったけど。」

 部員2「持ってきたよ。」

 篠原「2段だね。プリンセスラインにしたいから3段か4段にする?」

 部員1「とりあえず、2段のパニエを着て貰ってから考えます?」

 部員5「そうしよう。じゃあ、脱がそう。」


 下着だけの姿になると、パニエを履かされて丈や幅なんかを測られている。

 パニエの腰回りは、私には大きいのでクリップで止められている。


 再び下着姿に戻されて、所在なく椅子に腰掛けている。

 手芸部の人達は、パニエとドレスになにやら手を加えている人達と、小物を準備して私の元に持ってきて私と見比べながら吟味している人達に分かれている。


 しばらくすると、作業が終わった様でパニエを履かされてからドレスを着た。

 今は、ブラジャーの肩紐ストラップも出ていない。着替えを手伝っていた手芸部の人が、私の着けているブラジャーの肩紐ストラップが取外し出来ることに気づいて外されてしまったからだ。


 そのまま、手芸部一同の全周囲から観察されて後

 篠原「私は、これで良いと思う。皆は?」

 部員一同「これでいい!。」

 篠原「ドレスは、これで決まりだね。」


 ようやく、開放される。


 篠原「次は、装飾品と小物を組み合わせよう。」


 え、まだ開放されないのですが・・・。


 手袋は、白で手首までの物が無地とレースの物、白で肘まである物が無地、総レース、手が出ていて中指で止まっている手甲グローブ、手甲グローブの腕の部分が格子状のリボンになっている物の4点準備されてるし、ネックレスも真珠のネックレスみたいな物から、大きめの宝石をあしらった風の物の物等4種類、ティアラも形違いの物が4種類、腕輪は、手首につける物と二の腕につける物が各4種類準備されていた。

 手袋、ネックレス、ティアラ、腕輪等の組合せを色々と身に付けるたびに写真を撮られた。


 そうこうしている内に6時限目の終わりを告げるチャイムがなった。

 ようやく開放させれて、制服に着替え急いで教室に戻った。

 ホームルームには、ギリギリ間に合いました。


 ホームルームが終わり放課後になると、篠原さんがやって来て「明日中には、完成させるから楽しみにしていてね。あと、当日はストラップレスか外せる物を着けてきてね。でないと、ノーブラで着てもらう事になるからね。」後半を耳元で囁いて走り去っていった。

 他にも、文化系の部活に所属している人達は、部活の方に顔を出している。

 そういえば、文化部の発表会もあるんだったっと今更ながらに思い出した。

 運動部は、大会とかの実績が掲示されているだけだったとあきらの顔を見て思い出した。


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