第9話 研究者たち(3)
Side:伊島
私の名前は、
対魔物対策庁研究機関
研究テーマの関係も有って、私達の研究室は九州最大の演習所に併設されている。
おかけで、いつでも放出系能力で撃ちまくる事が出来る。そのためかトリガーハッピーが大勢集まる。周辺からは魔法使い部隊と言われている。
我々の研究は、放出系能力の威力向上・攻撃種類の増加・未習得の属性取得方法の確立・複数属性又は同属性の合成・複数人で行う大規模攻撃等々、実践に使える物ばかりなので、実働部隊や教導隊からも出向や訓練で人が訪れるので結構な大人数だ。
その日、三上君から応援要請が来た。
内容は、性転換者で魔力持ち、3系統の能力が発露済で潜在能力はB~S。
確かに、上級能力鑑定士1人では手に余る案件。しかし、5人も必要かと問われれば必要ない。しかし、国内に5人しかいない上級能力鑑定士を集める事自体に意味があると考えれば、何か企んでいるのだろう。
これは、参加するべき案件ですね。そうなると、私だけが行くより解析能力が高い人材を連れて行ったほうが良さそうですね。
幸い、ここは能力開発に特化している関係で、解析が得意な人材も豊富にいる。
2名選出して、早々に出発する。
演習所がある場所は、南阿蘇の田舎だ。最寄りの空港まで車で3時間は掛かる。
鉄道は、時間がかかり過ぎるから論外だ。
東海支局に到着したら夜になっていた。途中で羽佐田君と合流出来たのは良かったかな。
三上君と既に来ていた葉山君と合流して、食事を取りながら近況の報告と情報交換を行った。水無月君は、まだ来ていなかった。彼女は、私と同じぐらい遠い所に居るからな。
今回の被験者のデータを見ながら、三上君に我々を招集した企みは何か聞いてみると、性転換の仕組みの解明と被験者の再性転換の施工という野心的な試みだった。
可能性・仮説・倫理問題等を討論しているうちに夜が開けてしまいましたね。
水無月君も到着したことだし、情報交換したら仮眠を取りましょう。
我々の本番は、午後の魔力測定からですからね。
Side:水無月
私は、
対魔物対策庁研究機関
どういうわけか、この北海道地区は他の地域より能力の発露率が高いのだ。
過去20年の発露者の平均発生率が他の地域が7~12歳の子供1000人当たり1人なのに対して、1000人当たり3人なのだ。それに、他の地域より魔力値も高い。
また、家畜の魔物化も時折発生している。国内の他の地域ではあまり発生していない。環境が影響していると言う人も多いが、それだけだと説明が出来ない事が多々あるので、私は環境の影響で遺伝子に変化が起こっていると考えた。
私の研究結果、家畜の魔物化の抑制方法と早期検知方法の確立が出来たので、遺伝子解析装置と魔力分析機にお金を掛けている。
ただ、こういう機器って大きいから持ち運びには適さない。
北海道って広いから、生体サンプルは入手できても検体を受け取る事は出来ない。
今までは、持ち運び可能な簡易装置で行っていたけど精度の問題が大きくてあまり良いデータが取れなかったので、トレーラーに載せた移動検査室を作成した。
局長とかおえらいさんは、移動検査室作成に協力的ではなかったけど、畜産業業界と観光業と道庁の経済振興課の人達の後押しで押し通した。
そこで得られた情報を元に東海支局の若桜さんに薬の開発を依頼して、検査薬と抑制薬が開発された。それを北海道内にある製薬会社で量産して普及させた。
局長達おえらいさん方が掌返しで、褒め称えたけど。功績にはハブってやったよ。
全国放送や海外メディアに、大々的に開発を困難にしたのはおえらいさん達の理解と協力が得られなかったことだって宣伝してやった。
まあ、その後、局長達は更迭されてたね。
そして今、目の前にあるのが今日納品された最新の移動検査室だ。
設定と機能確認をしている時に、東海支局の三上さんから応援要請が来た。
局長に応援許可を取り、最新の移動検査室を持っていくと言ったら渋られた。
まあ、言っている理由も正当、まだ運用可能状態になっていない機器、しかも扱いに馴れていない物を持っていっても困るのではないかという内容だ。
そこは、初期設計から携わっている事と、移動しながら設定を完了させる事を説明すると、渋々ながら許可が下りた。
直ぐに移動検査室前に戻り、検査員の5人に今回の要請内容を伝え全員で即出発。目的地は東海支局、走行距離は約1200km 徹夜でのドライブの開始だ。
東海支局へ到着した時刻は朝5時、私以外が全員揃っていた。
しかも、全員徹夜。しかもしかも、楽しげに討論会やっての徹夜。
討論内容を聞いたら更に悔しくなった。
私が来たことで、一旦解散になった。
私達は、交代で休憩・仮眠を取りながら移動したから問題なかったので、移動検査室と環境試験室の魔力測定機との接続作業を始めることにした。
午後の魔力検査は、どんな結果が出るのか楽しみだな。
Side:三上・葉山
私は、一旦家に帰り朝食を作り家族と朝食と取ってから事務所に顔を出し雑務をこなしていた。
すると、葉山がやって来てちょっと見て欲しい物があると言ってきた。
葉山と共に検査室に行く、葉山が示したものは不正行為のデータだった。
ただ、葉山が見つけ出した情報だけでは、首謀者が判別出来なかった。
どうするか相談していると、羽佐田と伊島と助手が起きて来た。
事情を説明すると、伊島達が端末から本部データをハックして証拠を集め、羽佐田が公安庁の友人経由で逮捕準備を進める。後は、被害者本人の証言が有れば有罪に持ち込める。
なぜ我々が、対魔物対策庁の内部告発や監査部門を頼らないかというと、この不正行為を行ったのが、対魔物対策庁の幹部の息子がやっていることが判明したからだ。普段、監査で見つかる内容が今まで見過ごされていた事からも汚職に発展しているだろう。腐った患部は取り除かないと、我々も研究に集中できないからな。
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