第10話 検査(2)
時間を確認したら、11時15分 お昼に行くには早いよな。
「私、汗臭くないよね?」
そうつぶやいて、自分の胸元や腕の臭いをかぐ。
臭いは分からなかったが、自分の体が汗でべとつく不快感に襲われる。
「時間もあるから、部屋に戻ってシャワーを浴びよう」
独り言を呟いて病室へ戻るのだった。
シャワーを浴びながら、午前中着ていた運動服の事を考えてた。
「汗まみれの服をもう一度着るのは嫌だな。
替えの服は無いし・・・ここで洗っても午後の時間までに乾かないよね。
そういえば、共用スペースに洗濯機が置いてあった。
乾燥機能付きだったはずだから、それで洗えば間に合うかも」
早速行動と浴室を出ると、目の前に若桜さんが立っていた。
「え、なんで若桜さんが居るの?」
「運動服をやたら気にしながら、戻ってくる優ちゃんが見えたから着替えを持ってきたのよ」
そう言って、優しい笑顔で替えの運動服を差し出してきた。
私はタオルを体に巻いただけの姿で、両手で受け取ってベットの上に置いた。
「もう大丈夫そうね」
私のお尻の方から、若桜さんの声が聞こえた。
慌てて振り返ると、しゃがんで覗き込んでいる若桜さんの姿が見えた。
大慌てで、両手でお尻を押さえて腰を曲げた格好のまま振り返り叫んだ。
「何をやっているんですか?」
「何って、患部の確認だけど」
笑顔で、返された。
「患部?」
私が聞き直す。
「ほら、今朝ヒリヒリするって言っていたでしょ。
折角、確認しやすい格好しているから、経過観察よ」
そう言われると怒ることも出来ない。
何も出来ずの固まっていると、振り向いた反動なのかタオルが外れて落ちた。
「こっちももう大丈夫そうね」
若桜さんのその言葉で我に返り、胸と股を手で押さえて床に座り込んた。
羞恥心と混乱で口をパクパクさせなら真っ赤になっていると
「大丈夫よ。裸を見られた位では死なないわよ。
それに、女同士なんだから、気にしないの。
それよりも、着替えましょう。
髪も乾かさないといけないしね」
そう言われて、タオルを再び体に巻いて替えの下着カバンから取り出し身につけるのだった。
運動服を着ようとしたところで
「先に、髪を乾かしましょう。
濡れたまま、服を着ると髪の毛の水分で服が濡れるわよ。
乾かさずに着るなら、タオルで髪を纏めるとかしないとダメよ。
ついでに、髪の乾かし方も教えてあげる」
ドライヤーを片手に持って、椅子に座るように指示てくる。
椅子に座ると、髪を乾かしながらやり方のレクチャーを受けた。
適当にドライヤーで乾かすのはダメでした。
髪が乾いて、着替えが終わった頃には12時を回っていた。
「12時50分に迎えに来るから、お昼にいってらっしゃい」
と若桜さんに言われて、食堂に行くのだった。
ちょっと胃もたれしていたのでかけ蕎麦を食べた。
午後、若桜さんに連れられて検査室に行く。
「午後は、魔力検査、能力鑑定、実技です。
魔力検査は、この部屋で行います」
連れてこられた部屋には「環境試験室」と書かれていた。
中に入ると奥に重厚な扉のある部屋になっていた。
三上さんが数人の人達と会話し、その周辺では測定の準備をしている人達がいた。
「三上主任 神城さんをお連れしました」
若桜さんの声に反応して三上さんがこちらを見た。
「よし来たな。
では、早速測定に入ろう。
ここでは、魔力測定を行う。
測定方法は、この環境試験室の中にある椅子に座っているだけだ。
測定時間は、1時間位掛かる。
測定中に今回の魔力測定の詳細な説明を行う。
測定を開始すると中断できないから、トイレ等は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
そう答えると、環境試験室の中に案内された。
部屋の中は、40cm位ある鈍い銅色をした四角錐で全面を埋め尽くされていた。
床の部分は、剣山の隙間から支柱が出ていてその上にメッシュの足場が置かれていた。
椅子は、中央部にあり、その前にはモニターとカメラが設置されていた。
「あそこの椅子に腰掛けてくれ、モニターは部屋の外部との連絡用だ。
椅子に腰掛け扉を締めたら測定を始める。
そういえば、確認を忘れていた。
閉所恐怖症ではないよな?」
「はい、大丈夫です」
「そうか、では椅子に腰掛けてくれ」
そう言って、部屋から出ていった。
椅子に腰掛けると、扉が閉められモニターに三上さんが写った。
「こちらからは、神城さんが見えているがそちらはどうだ?」
「はい、問題なく三上さんが写っていますし、声も聞こえます」
「そうか、問題はないな。
それでは、測定を開始する。
測定時間は、先程行った通り約1時間だ」
そう言って、モニターから消えた。
周囲に指示する声だけが聞こえた。
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