第14話 検査(6)
魔力纏身がある程度安定すると、次の試験に移った。
「まずは、100m走だ。
この線から、向こうの係員の居る所まで魔力纏身をした状態で走ってもらう。
走るときのフォームだが、普段走るように走ってはダメだ。
体を前傾に倒して、体を前に押し出すように走れ。
普通に走ろうとすると、訳の分からない所に飛んでいくぞ」
「え、どういうことですか?
普通に走るとダメって??」
首を傾げて聞いた。
「月面探査の映像って見たことあるか?」
「授業で見ました。なんかぴょんぴょん飛ぶようにして歩いていました」
顎に右手の人指し指を当てて、思い出しながら答えた。
「アレのひどい状態になる。
運動能力強化や筋力強化で特に難しいのは、強化状態で歩く・走る・飛ぶだ。
無意識に普段どおり動こうとして失敗する。
この体育館は、Aランク能力者でも受け止めれる程頑丈に作られているからなんとかなるだろうが、外だと地面にに大穴を開けて転ぶ事になるから気をつけろ。
では、走ってみろ。計測は自動で行われるから自分のタイミングで良いぞ」
スタートラインに歩いて移動する。
なんかフワフワした感じで変な感じだ。
スタートラインについたら、腰を落とし前傾姿勢で走り始めてたら壁?にぶつかった。
ぶつかる寸前、思わず目を閉じてしまった。
ぶつかった衝撃は無いが、体が止まっている事はわかる。
何か柔らかいのに硬いものに呑み込まれたみたいな感じというのかな?
しばらくする、後ろに押し出された。
外に出た瞬間にスタッフの人に体を支えられた。
「大丈夫かい?」
「ありがとうございます。これは、なんですか?」
壁を指差し尋ねた。
「衝撃吸収マットだよ。
勢いがつき過ぎで壁に衝突しないための処置だから気にしなくていいよ。
あと、何本か走るから歩いてスタート地点に行ってくれ」
言われた通り、歩いて戻った。
「よし、あと2本は走ってもらう。次行ってみよう」
2本目を走るためにスタートラインに立って、先程同じ様に走り出し100mを超えると、壁が迫ってくるので慌てて止まろうするが、減速が間に合わず再び壁に呑み込まれた。
3本目は、ゴールラインを切った直後に減速をしたが減速しきれず壁に頭っから突っ込んだが、上半身だけで済んだ。
その次は、垂直高跳びだった。
床から天井までの2/3位の高さまで飛べた。
その次は、握力・腕力・脚力・背筋力テストは、筋トレ用器具の様にワイヤーの先に
錘を次々と交換し、測定するたびに言われる重量を聞いていると、人間を辞めた感が襲ってきた。
身体能力の試験は、終了した。
次は、放出系試験ということで第一屋内射撃訓練場という所に移動です。
三上さん達研究者の方々も一緒です。
身体強化試験が終了したので、魔力纏身は解除しました。
第一屋内射撃訓練場は、銃器や放出系能力の訓練に使用される設備だそうだ。
ここには、国内で唯一の魔力軌道可視化装置がついていて、射術位置から的に向けて放った能力の軌道を映像で確認出来るようになている。
ちなみに放出系能力は、一般的に魔法や魔術って呼ばれてる。
放出系の発動方法は、魔力纏身と違い手や指等部位に発生した魔力を集めてイメージで放出後の形をつくり放つというものでした。
「まずは、自分が思いつく方法で撃ってみろ」
そう言われたので、射撃位置に着き魔力(最大出力の1/4)を手に集め風の塊を打ち出そうとしたが、何も起こらず。その後も四苦八苦するも何も起こらず、しばらく悪戦苦闘をしていた。
「よし、一旦止め」
そう言って、私を止めた。
「何故撃てないか分かるか?」
と問われた。
「何処が悪いかわかりません」
と答えると
「一度見本を見せる。
よく見て考えてみろ。
俺の放出系は土だから分かりやすいぞ」
と笑顔で言われてしまった。
太和さんが、私の隣の射撃位置に着いた。
魔力を
魔力を見ることは出来ないけど、魔力が何処に集まっているは感覚でわかる。
右掌に集まった魔力が、
そして、土で出来た弾に変化し撃ち出された。
「どうやら、分かったみたいだな。やってみろ」
射撃位置に立ち、右掌に魔力を集め的に向ける。
ここまでは、今まで失敗した時と同じ、この魔力を掌の上に魔力を供給しながら空気の塊を作る。圧縮した空気の塊になるようにイメージしながらピンポン玉サイズの空気の塊を作る。十分集まったので、そのまま的に真っ直ぐ飛べと念じる。
集まった空気の塊が的に当たり、盛大な炸裂音を発生させた。
的に当たった瞬間に、空気の塊が崩れ、圧縮された空気が勢いよく開放された事で発生したようだ。
「やったー。成功した」
私は、満面の笑みで両手を上げてジャンプしていていた。
「よし、もう一度撃ってみろ。それと、色々試してみろ」
そう言われて、もう一度射撃位置に着き、もう一度空気弾を撃った後、真空刃を作って撃った。数発撃った後、複数の空気弾や真空刃を撃ってみたら撃ててしまった。
ふと、思いついてしまった。
「風を纏えば浮くことは出来ないかな?」
風を纏、体が浮くようにイメージすると、体周辺で風が旋回し体を持ち上げる。
10cm位浮遊したところでそれ以上高度が上がらなかった。
仕方がないので地上に降りると、みんな唖然とした表情で私を見ていた。
なんで?
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