第3話 削られる精神

 リビングに行くと

「対魔庁に連絡したよ。

 9時頃に担当の者が迎えに来るそうだ。

 検査内容によっては数日掛かる場合もあるから、数日分の着替えも必要だって。

 あと、優は未成年だから親族の付添が必要だけど、母さん頼めるかい?」


「分かったわ。

 ちょっと、下のコンビニまで行ってきますから、朝ごはん食べて頂戴。

 舞も早く食べないと学校に遅刻するわよ。

 あなた、中学校の方に連絡お願いね」


「ああ、わかった」

 そう言って、それぞれ行動するうちの両親。


 舞も「ゲ、もうこんな時間、急いで食べないと」つぶやいてご飯を大急ぎで食べている。

 俺も仕方ないので、席についてご飯を食べる。


 母さんが帰宅するのと入れ替わりに出ていく父さんと妹。

 父さんは、頭に手を置いて

「まあ、気楽に行ってこい。

 男であろうと女であろうと俺の子供には違いないだから」

 そう言うと、出勤していった。


 妹の舞は

「本当は、検査にもついて行きたかったけど学校があるから仕方ないな。じゃあ、行ってきます~」

 と俺の頭を撫でながら言われてしまった。


 妹に頭を撫でられるという恥辱に悶えていると、

「さあ、優ちゃんもお着替えしましょう。」

 母さんのその言葉と共に部屋に引きずり込まれた。

 コンビニで買ってきた真新しい下着を着せられ、

 長袖のニット・セーター着せられ、足首まであるブリーツスカートと白靴下を履かされた。

 良いところのお嬢様ぽい格好になりました。

 当然のごとく、母さんの手づから着替えさせられました。


「優ちゃん よく似合ってかわいいわよ」

 母さんのその言葉に顔が赤くなる。

「私だと、膝下丈のスカートなのに優ちゃんだと、足首まで届くのね。

 そうそう、コンビニから帰ってくる途中で零士れいじ君とあきら君に会ったから今日は学校をお休みすることを伝えたわ。

 二人共心配していたけど、大したこと無いからって言っておいたわよ」


「そっか、心配をかけたのか」

 なんとなく罪悪感が湧く。


 対魔庁の担当者が来るまでの間、リビングで時間を潰している間に母さんの方も準備が終わっていた。


 9時10分頃に呼び鈴がなった。

 母さんが対応にでる。

 二言三言会話後、呼ばれた。

 そこにいたのは、紺色のスーツを着こなしたいかにも出来る女性という雰囲気の人でした。


「はじめまして、対魔物対策庁静岡支局人材育成課の氷室ひむろです。

 貴方が、神城 優さんですか?

 戸籍登録だと男性となっていますが間違いありませんか?」

 対魔庁の担当者さんが矢継ぎ早に質問してくる。


「はい、が神城 優です。」


 

 なんか、理不尽な理由で母さんに怒られた・・・。


が神城 優です」


「はい、

 私が言い直すと褒められた・・・。 う、恥ずかしい・・・

 あ、対魔庁の氷室さんがちょっと引いてる。


「えーと、取り敢えずIDカードの提示をお願いします」

 自分のIDカードを提示して所定の方法で起動する。

 正直、起動するかが不安だったが無事起動して良かった。


 IDカードは、小学校入学と同時に作成し所持するのが常識になっていて、

 IDカードを起動しないと個人情報は表示されない仕組みになっている。

 起動方法は、4種類の認証方法の内、2種類の承認が通過しないと起動しない。

 1.静脈認証

 2.虹彩認証

 3.魔力紋認証

 4.パスワード認証

 今回承認が取れたのが、魔力紋とパスワード認証だった。


「本人確認ができましたので、対魔庁の研究医療機関に向かいます。

 そこで、能力の検査を行います。

 準備は大丈夫ですか?」

 氷室さんが確認してくる。


「はい、問題ありません」


「では、下に車を止めていますので行きましょう」

 氷室さんを先頭にマンションを出るのであった。

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