Ep.9:相模原 花芽莉の場合
あの時、
ああいった男子を見てると昔の彼を思い出す。
性欲を剥き出しにして彼女である私の事を慮ることもしないで、ただ身体を求められた記憶。いい思い出じゃあない。
楽しい恋に憧れる気持ちは以前より強くなった。
それでも私に近づいてくる男子は私の胸を見て告白してくる。
そんなことを繰り返されているうちに私は男子とは距離を置くようになった。
偶々、クラスで
ちょっと、交友関係は耳を疑うほど入れ替わりが早かったが、別れた相手とも険悪な関係になっていない事、相手の女子が誰も彼を悪く言わない事を不思議に思って、その中でも割と喋る子に聞いてみた事がある。
『
捻りも何もない、真正面から質問をぶつける。
『ん〜、
あの時のうっとりとした
まあ、
そんな訳で
今まで、トラウマになっていてもおかしくない事をされ続けているのに、それでもアイツの優しさは変わらなかったんだな。なんて、ホントはどう思ってるのか分からないけど。
でも、私達のためにあの六人に向かって言ってくれたことは嬉しかった。
私、分かったかも。
どうして
守ってくれる時も彼女に気を遣わせないように自然に振る舞っているんだと思う。今回のような事がなければ、あんな風に感情を露わにする事もなかっただろう。そんなの私達の歳で気づく方が少ない。気づくとしたら、きっと酷い目に遭ったことがある女子だけじゃない。
そんなことを考えながら
うちの母親は無理をして病院に行かずにいて怪我が悪化した事がある。
あとは病院の先生に任せておけばいい。
「ただいま〜」
暫く経って疲れた様子で
「「お帰り」」
「
「まだ、帰ってないよ」
「アイツらどうなった?」
「細かいことはまだ分かんないけど、動画を撮ったスマホは教師が没収してる。念のために動画は私のスマホにも転送してる。学校としては刑事事件にしたくないと言われた。その代わりにアイツらに重い処罰を与える事と、
ふうっと息を吐き、
「それで、
「病院に着いたって連絡はあった。その後はまだ……」
「そうか」
「きっと、大丈夫だよ」
「そうだな」
冷蔵庫から作り置きの紅茶を取り出してみんなで飲む。
「
「きっと、大丈夫だよ」
ピコン♪
みんな一斉にスマホに手を伸ばし、スリープから復帰させる。
『
私たちはそれでもやっぱり心配で、その思いをグループトークに書き込んだ。
結構取り留めなく書き込んでると玄関が開く。
「ただいま〜、今日も、疲れた〜」
「おかえり〜」
すぐに『襲わないよ!』と返信があった。
あっちは
「ちょっと、
愛美の頬が赤くなってる事に
「実は今日———」
一通り話を聞いた
そうだよな
「夕飯、食べに行こうか?」
なんとなく、ご飯を作るっていう雰囲気じゃなかったからそう声をかけた。
「いや、作るよ」
「あ、私も手伝うよ」
私は
「そうなんだ」
「電源を切ってるのか分からないけどちょっと心配」
「見に行ったらダメだからね、それで、
大人のことは大人に任せる。私達にどうにかできる話じゃない。
その事をしっかりと覚えていて欲しい。
取り返しのつかない事になる前に……
「それにしても、普段おとなしいのに、
重くなった雰囲気を変えるように
私もなんか落ち着いてきた。思っていたより私も心が乱れていたみたいだ。
それにしても
あれ、もしかして、私も
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