Ep.3:新堂 愛美の場合
数日前から俺こと
ギャルグループのうちの1人が俺に告白をしてきた。
前回の嘘告から日が空いてなかった事とギャルと同じクラスの友人、
翌日にまた
なんとか土下座はやめてもらったけど、僕の昔の事を知ったみたいで気まずい感じになったんだよね。
3人の謝罪に対して気に病んで欲しくなかったし、見た目はギャルなのにいい人みたいだから『3人と友達になれないかな?』ってお願いしたんだよね。
それで現在僕の部屋には3人のギャルがいた。
いやもう友人なんだからギャルは失礼だな。
肩までの長さの明るい茶髪、毛先が緩く巻いている。
すこし目尻が下がった可愛らしい顔立ちに似合って柔らかい雰囲気。
恋愛に対して初心な反応をしてたから元々おとなしい子なんだろうな。
金髪、ストレートロング、長身でグラビアモデルみたい。
雰囲気が怖いと皆んなは避けているけど、目尻が上がったキリッとしたその目に整った顔立ちをしていればキツい印象を与える。
でも、少し話しただけだけど2人の事を思いやれる優しいお姉さんの様な感じに見えた。
茶髪、ミディアムボブ。3人の中で一番身長は低い上に細身。
ロリギャル(失言)と言われそうなものだが、身長が伸びない分胸に集中してしまった様なアンバランスな体型をしている。
意外にも3人を引っ張っていくリーダー的存在らしい。
3人からは名前で呼んで欲しいと言われたので僕も名前で呼んでもらう事にした。
たまたま話の流れで僕が一人暮らしをしている事を話したら
僕の部屋はそんなに物がない。
1DKのDKにはローテーブルと座椅子が一つ、後はクッションが4つ。
40インチのテレビとTV台の中にレコーダー、ゲーム機はない。
ゲームはスマホで遊んでる。
キッチンには買い揃えられた冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器の他に調理器具なんかが多数あるけど使ってない物も多い。
母さんセレクトのこれらのものは僕にはどう使うかわからない物もある。
「あんまりものがないんだなあ〜」
「
「するけど、まだまだだね」
「ふ〜ん。作ってあげようか?……
「……ふえっ!?」
部屋の中をキョロキョロと見回していた
「本もないんだね」
「マンガ?」
「えっちなの隠してないかなあっと。やっぱり、奥の部屋に?手元にないと困るもんねぇ」
ニヨニヨとした表情で僕を揶揄ってくる。
「えっちな……」
顔を真っ赤にして呟いた言葉は全員の耳に届いており、みんなで
ちなみに俺の部屋に漫画や小説が無いのはタブレットで見てるからだ。
これなら不意の来客に片付け損ねて慌てる事もない。
「まあ、
「もう、
ぷりぷりと怒っているけど側から見てると姉妹の戯れあいみたいだ。
「
僕の名前を呼んでニヤリとした表情を浮かべている。
ちょっ、そこはダメ!
ガチャリと扉を開けた
正確にはベットの下目がけて。
その部屋には朝起きたままの乱れた布団と脱いだままの寝巻きがある。正直言って恥ずかしい。
「ちぇ〜っ、ここにも無い」
ベットの下に頭を突っ込んだせいで髪の毛に埃をつけて出てくる
「
ベットの下には俺あての荷物。くっ、コイツの存在を忘れてた。
送り主は姉の『
送り状の品名には『電子部品』と書かれている。
一度開封して中身は確認しているがそれは電子部品ではなかった。いや、ある意味電子部品か?
ガサガサと箱を開けた
「ふ〜ん、こんなの持ってんだ」
「弁解させて!それは姉さんが送りつけてきたの!ほら、未開封でしょ、未使用なの!」
大きな声を出したことでキッチンから2人がやって来た。
「誤解です!、姉さんの悪戯だからぁ〜!」
今、テーブルの上には
なんだこの状況?
僕?内心はあわあわしてるよ。でもね、どういう表情するのがいいのか分からなくて無表情になってるよ!
なんとも気まずい状況の中、炒飯を口にする。
「お、美味しい」
「だろ、料理には自信があるんだ」
「私も
「
「えっ!?」
「あ〜、そっちの趣味はないからな、誤解すんなよ
「想像した?私と
「ばっ、っそ、そんな事……」
「
「うん」
食器を持って2人がキッチンにいく。
なんとなく顔が熱を帯びている気がする。
俯いている僕のそばに
「私が、使ってあげようか?」
そう囁いて耳に息を吹きかけてきた。
叫びそうになった自分の口を手で塞ぐ。
「お詫び、って訳じゃないけどな……」
僕にだけ聞こえるように囁かれた。
「
もう、しゅってなんだよ〜。頭を抱えて悶える僕を見て
「何、なに〜?」
「う〜ん、ナイショ」
ぺろっと舌を出して2人に告げる。
「そっか〜、ナイショかぁ〜」
「ナイショならしょうがないね」
僕が首を傾げていると
「私たちのや・く・そ・く、話せない事は無理に聞かない様にしてるの。まあ、困ってるんなら無理にでも聞くけど。今のはそんなんじゃないから聞かないの」
「そうなんだ、仲良くする秘訣?みたいなもの」
「あははは、それは分かんない」
「気づいたらそうしてたんだよ」
「
「そうするよ」
それから4人でたわいない話をして過ごしていると19時を過ぎていた。
「あ、そろそろ帰らないと……」
「そうだなあ、帰ろうか」
「帰る前に連絡先、交換しよう」
「うん、しよう」
「
「どうぞ」
スマホを取り出し、3人と連絡先を交換する。
「帰るね〜」
「今日はありがとう、また明日」
3人は手を振って俺の部屋から帰っていった。
初めてうちに招いた友人は賑やかな温もりをもたらしてくれた。
今は少し寂しい気持ちになってる。
「あ〜、楽しかった」
後はシャワーを浴びてるうちに洗濯を済ます。奮発して乾燥機能付きの洗濯機を買ってくれたから手間は少ないんだけどね。
(後日、家電量販店でその値段を見て驚いた)
浴室から出るとスマホに
『Manami:また、なんか食べさせてやるよ。なにがいいか考えといて』
『Kyoh:うん、考えとく。ありがとう』
メッセージを返すとすぐに猫がOKって吹き出しを抱えているスタンプが返ってきた。
うん、こうゆう友達っぽいやり取りいいな。
気分がいいうちに宿題を終わらせて寝よう。
____________________________________
私はなんであんなこと言ったんだ〜!?
あんなの触りながら『私が、使ってあげようか?』なんて言ったら絶対誘ってるっておもわれた。興味はあるけどまだ、早いというか、なんというか……
軽い女って思われたくなくて『お詫び、って訳じゃないけどな……』って言ったけど
私のうちは裕福な部類に入る。
それが幸せかというとそうでは無かった。
物心がついた頃には両親は仕事に打ち込み家には殆どいない。私は姉に育てられた様なもの。
その姉も大学進学と共に家を出て行った。
今この家には私だけしかいない。
両親への反抗心からギャルっぽい格好をする様になった。
裕福だけど寂しいそんなものが私の家庭。
いっその事私も一人暮らししたいなあ。
そうしたら、たまに帰ってくる親のことを気にしなくて良くなるから、たまにしか顔をあわさないのに煩わしい。
久しぶりに他の人のためにご飯作って『美味しい』って言われると凄く嬉しくなったなぁ。また、みんなにご飯作って一緒に食べたいな。
そうと決まったら早速連絡しとこう。
『Manami:また、なんか食べさせてやるよ。なにがいいか考えといて』
これでヨシ。
あれから30分が過ぎたけど返信が来ない。
あれ、やっぱり引かれてた?うわ、どうしよう。せっかく皆んなで楽しかったって思ってたのに、私、やらかした!
頭を抱えてうんうんと唸っていると、ピロン♪と通知音が鳴った。
画面には『Kyoh:うん、考えとく。ありがとう』と表示されていた。
良かった〜、引かれてなかった。
猫がOKって吹き出しを抱えているスタンプを送って、スマホに表示された履歴を眺める。
今度はなにを作ってやろうかなあ〜♪
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