公式配信第14回
今回の配信は、かなりご無沙汰に見える。
実際に小説のロケハンも行っていたという話もあるし、小説のコンテストもいくつか告知されている状況もあるだろう。
特にとあるコンテストは、すでにエントリー作品が1万を超えているという話があるので、激戦は必至かもしれない。
その一方で、内容に関しては深刻な内容というわけではないので、この辺りは問題なさそうだが。
古戦場も相変わらずだが、6月は古戦場はないはずだ。調べてみたら7月予定であるらしいので、その点は安心だろう。
そして、配信は始まろうとしている。
『皆さん、お待たせしました。アーカーシャチャンネルの管理人です』
姿を見せたのは、ショートヘアにメガネ、若干巨乳なメイド服姿の女性である。
それとは別にセットの中には、フィギュアが飾られているのだが……見覚えのあるような作品物ではない。
セットに関していえば、前回の配信とあまり変わらないだろう。
新規で何かやるにしても、事前準備は必要だ。今までロケハンで忙しかったことを踏まえると、準備期間が足りなかったのかもしれないが。
『様々な時間、過去、未来、それこそ別次元……そうした様々なものに存在する時間の出来事、それらを観測するのがアーカーシャチャンネルです』
『皆さんにお願いがあります。アーカーシャチャンネルが観測できることは、全てが真実とは限りません。その一方で、観測した内容を炎上目的や単純なバズり、それこそ世界を混乱させるのに悪用する人はいるでしょう』
管理人の注意事項、それは情報を扱うユーザーにとっては色々と課題が多い。これを言及しなければ、というのはあるだろう。
あくまでもアーカーシャチャンネルのお願いは『配信を聞くための心構え』のようなものであり、いわゆるSNS上でバズる要因となるような発言とは違うのが明白だ。
なぜに人間はSNSを炎上させ、安易なバズりや承認欲求を求めるのか。
アーカーシャチャンネルは、そうした存在を決して許さない。あくまでも、そうした存在はフィクションだけで十分、と考えているのだろう。
例のお約束の後に冒頭は雑談だったが、公式切り取りではカットされるようだ。
さすがにソシャゲのコラボイベントに関する話をそのまま掲載するには、サイトのガイドライン的に避けたのだろう。
しかし、それこそがアーカーシャチャンネル、ある意味でも彼女の醍醐味なのだ。
『今回は、今まで行っていたロケハンについて少し話したいと思います』
ロケハン、アーカーシャチャンネルの場合は配信で取り扱う観測もロケハンで仕入れたネタで使うことが多い。
基本的には小説で使うアイディアなどをロケハンで仕入れているのだが、アーカーシャチャンネルの配信で没アイディアを使う場合もある。
この辺りはメタ発言なのかもしれないが、そういう事なのだろう。
『少し前に別サイトの方で、対電忍という新規で展開予定の小説に関して少し触れました』
『その際、キャラクタービジュアルに関してはロケハン中と書きましたが、実際にそうなんですよね』
『自分の場合、ロケハンするものに関しては小説のメインテーマ以外にもキャラクタービジュアル、世界観などもロケハンを行います』
『ロケハンをしないのは、小説で使うガジェット少々とか、スターシステム的な運用をするキャラクターとか、その辺りだけです』
『それを踏まえると、ロケハン規模は非常に高いのです。さらっと触れたようなTVCMでさえもアイディア的に使う場合もあるのですから』
そのケースの一例として、彼女はとあるテレビCMに関して触れた。電動式の伸縮タイプチェーンソーである。
チェーンソーモチーフといえば、読んで字のごとくな漫画作品の登場人物もいる位だ。
色々と元ネタは同じでもガジェットなどで採用しているケースはいくらでも……探せばあるだろう。
その中で、彼女はチェーンソースピアというものを思いついた。チェーンソーといえば剣で扱うケースが多いが、まさかの槍である。
この場合、突きの際にチェーンソーの刃が動くような形なのか、それとも突き刺したのちにチェーンソーの刃が動く形なのか……どちらも予想はできるだろう。
『逆に思うのは、自分が小説で登場させたものが数年後に形こそは完ぺきではないものの、実現化するというのは……アーカーシャチャンネルとしては誤報だったといわざるを得ないんですよね』
『あくまでもアーカーシャチャンネルで使える観測は、すべてが事実とは限らないわけですが……』
『すべてが事実になったら、それこそ自分の発言力は配信者の中でも上位のレベルになるでしょう』
『そこまで都合よく話が進むとは思えませんが、この辺りは色々とあるのですよ』
この後も話は続いた。これが語られるのは別の切り取りか、もしくは……。
彼女のテンションは、むしろ落ち着いた方であろう。
これだけ自分のフィクションだと思って観測したものが現実になったというのに、別の意味でも恐ろしさを感じるかもしれない。
『皆さんも、可能であればレッツVTuber、なのですよ』
最後の台詞は元気よく、管理人らしくはないような表情を見せることもあった。これが、お約束になっていくかは定かではない。
ロケハンを語るときのテンションと比べると、こちらの方が作為的というか……本心ではない可能性もゼロではないだろう。
アーカーシャチャンネルとは何なのか……その真相が語られる日は来るのか?
次回の配信スケジュールを見ると、予定は未定とあった。現在進行形のロケハンもあるので、この辺りは……という事だろう。
この配信をきっかけに、アーカーシャチャンネルが話題になる事を信じて疑わない。
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