第16話 敵組織侵入?
「うっ うぅぅ」
僕は痛い頭を押さえながら起き上がった。
状況を整理するため周りを見ると夢で見た場所ににているが、少し違う所だった。
部屋のサイズはそこそこ広く、ベッドが二つのおかれていた。反対側にあるベッドは葵が使っているのだろうか、少し膨れ上がっている。
確認するため入っていたベッドを出、近寄った。
すると緑髪の小さい女の子が寝ていた。
少しがっかりしたが、まずここがどこだかわからないので起こさず、周りを調べ始めた。
ベッドの下には何もなく、鉄格子の奥には、壁で囲まれており、ドアがあるが、こちら側から開けられないかのように、赤く閉と書かれている。
このまま調べても埒が明かないので、寝ていた少女に声をかける事にした。
「起きてくれー」と、なんて言えば良いのか分からず、適当に喋りながら揺らすが起きる気配がない。
諦めて周りを調べようとした時、
少女が起きた。
「あれ?あなたも捕まったの?」
「あなたもって事はもしかして捕まったの?」
「いいえ。私はここの管理者?ってとこらしいの。」
彼女はベッドから出て立ち上がった。
見た感じ小学生くらいの身長だ。
「何をしたら良いのかわからないんだけど、ここの人たちの体調管理をしてって言われてるの。だからといって鍵を持ってるわけじゃないし、権力を持ってる訳じゃないからね?」
と、色々と彼女は話してくれる。
「誰に管理してって頼まれたの?」
「うーん 誰ってのは難しいかな?同業者って言うか知り合いって言うか。とある人に場所や料理をあげるからここの人たちの体調管理してって頼まれてるの。」
「親は居ないの?」
「親は死んじゃったけど、親代わりが頼まれた人だよ。」
今の話をまとめると、ここのリーダーか誰がこの子を不運の子として預かったってとこかな?とりあえずこの子が暴力的じゃなくて良かった。
となるとどうすればここから出れるか考えないといけないが、この子がいるから下手に動けない。
どうしようかと悩んでいたら、
「あっ ご飯の時間だ。」
と言って、少女は当たり前のように鉄格子をすり抜けていった。
「えっ。」
と声をもらしたが、少女は気がつかなかったのか、そのまま壁もすり抜けて行ってしまった。
少女が出ていったあと、いろいろと試してみた。
いろんなところから出れるか試してみたり、体のいろんなところを出して、最初に触れるようにしてみたり、だけれどもすり抜けることは出来なかった。
一通り試してみたが、どれもうまくいかず悩んでいると、少女がパンを持ってきた。
「今日のご飯これですって。」
と、彼女はパンを渡してきた。
「ありがとう。」
と、少女に言った。
「壁がすり抜けた理由知りたいですか?外まで聞こえてきましたけど。」
と、ベッドに座りながら聞いてきた。
「知りたいです。」
「楽にしていいんですよ?さっきから固く見えますが。」
少女はふてくされているように見える。
「結構楽にしてると思うんですけど。」
「さっき感情がまったく出てないですよ。普通体調管理者などと聞いたら驚くくらいすると思うのですけど。」
「状況を飲み込むために必死になってただけだよ。」
と、言いながらパンをくわえたときだった。
「春斗行くぞ。」
と、ドアを壊したのか、どん!と、大きな音がした。そのまま当たらないように配慮したのか、俺と少女に当たらずに鉄格子を壊した。そんなことをしている俺達を優しく見ていた。
「最後に聞くけど、邪魔しなくていいの?」
「私にそんな力なんてないですし、こんなにも大胆にやってるので仲間も集まるでしょう。それに、この世界は普通という固定概念と暇潰しという偽りでできている。しね。私の大切なあなたはあなたじゃない。そんな世界に興味なんでないよ。」
と、手を引かれながら聞いたせいでよく聞き取れなかったが性格が変わったように見えた。前から来る敵を火の玉で撃ちながら道を阻まないようにしつつ、出口に向かった。何故か紫苑とリーダーと思われる男は出て来る前に脱出できた。施設が森にあっため、逃げながら見ることは出来なかったが、逃げ出した後に事件は、起こらなかった。
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