第10話 家庭事情

質問責めにあった僕は

へとへとな体を動かして家に帰ってきた。

幸いにも仕事が休みだから

直接帰ってこれた。

あの時間は

葵と一緒に帰っていたことにした。

葵は察してくれて答えてくれたから

帰って良いことになったが、

監視がつくと言われた。

現時点で誰かに見られている事がある。

学校内では証拠が出なかったようだが、

バイト先での話によって変わるだろう。

とりあえず余ってるパンを食べて

風呂につかりベットに入り込んで寝た。


ふと疑問に思った人もいるだろう。

親はいないのか?と。

その答えは僕に親はいないと思う。

なぜ思うなのかは、あやふやなのだ。

今まで一緒に暮らしていたはずなのに

引っ越す前の記憶がすんなり思い出せない。

特に顔とか名前とか、

大切な部分がわからない。

引っ越しの理由は、

親の離婚で

俺をどっちか片方でもつよりも、

1人で暮らさして

会いたいときや大切な物を渡すときに来る

という約束のはずだ。

時間があさいというのもあるのだろうけど、

まだ来たことがない。

まあ

来たときに顔を見れば思い出すだろう。


「ふぁ~~」

起きた僕は最初に時計を探した。

なんだか目が重たい。

寝たい体を無理やり起こしているかのような

目の疲れを感じている。

いつもなら

すぐに起きて目覚ましを止めるのだが、

目覚ましが鳴っていない。

俺は手を動かして時計を探しているのだが、

目覚ましが見つかるどころか

違和感を感じている。

背中が痛くて冷たくてまるで石の上に寝ているようだった。

頑張って目を開いたとき

一瞬思考が停止してしまった。

だってそこは牢屋だったから。

周りを見ても

石の壁と鉄格子に囲まれていて、

家具も小物も何も無く狭い部屋なのだ。

家で寝てたのに牢屋で寝ていると

誰も考えないだろう。

とりあえず起きて

隅々まで穴がないか探そうとした時

急に意識が飛んだ。

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