河童がスッポン、ビッグフットが熊、ツチノコが蛇……妖怪やUMAが実在生物の誤認から生じたと言われる説は、枚挙に暇がない。本作はそんな現実をひっくり返し、「逆に妖怪やUMAが実在生物であったら?」という可能性をルポルタージュ形式で描いている。
着眼点の真新しさもさることながら、モキュメンタリー調の文体は体験談として語られる都市伝説との相性もよく、三毛別羆事件よろしく危険生物を主題としたルポルタージュとの親和性は言うに及ばない。
既にネットロアとして語り尽くされた『くねくね』を、温故知新した快作だと感じた。