第5話 『桜』班 動く!

【数年前 警察学校】

「・・・はぁ。」

 女性教官が頭を抱えながら、千國警部へ悩みを話した…。

「千國警部。―お言葉ですが、あの・・・『成美 みちる』の件ですが―。」

「何か?」

「・・・。とても”熱心な子”ではありません!―授業中はいつも寝て、ランニングは目をそらせば、日陰でサボる!

 本当に、あんな子が”警察官”の器なんですか!?」

 教官は詰め寄ったが、千國警部は違った。

「大丈夫だって!―今は、その様な子だが、きちんとやってる!」

「本当ですか?・・・千國警部を疑いたくはありませんが、成美 みちるは即刻、辞めさせるべきです!」

「・・・。」

 その言葉を聞いた千國は、こう返した。


「―じゃあ、”1週間以内”に態度を改めなければ、俺は警察官を辞める。」

「!?」

「それで、いいだろう?―この事は、みちるには絶対に話すな。いいな?」

「あ・・・はい。」

 思い切った千國の判断に、教官は驚いてしまった…。


 【現在・警視庁 特殊犯罪班『桜』室】

「―成程。面子しかわれなかったか。」

「すいません!」

「良いんだ。・・・それだけ、小次郎デザイナーベイビーの秘密を守りたいんだろう。嫌でも隠す。」

「班長。これから、どうしたら―?」

 千國は思い切った発言をした!


「いいか、みんな。―思いっきり、”突っ込め”。」

「!?」

「『出る杭は打たれる』・・・。そう言うのであれば、打たれる前に、策を練ればいい。今回の相手は、”官僚”だ。―何時までも怯えていたら、向こうが策を出す!

 今は、ホシが療養中だ。チャンスを逃すな!」

『はい!』

 千國班長の鞭が、班を動かした!

「まずは、二坂!」

「はい。」

「お前は、各省庁ハッキングして、顔をあらえ!―恐れるな!」

「・・・分かりました!」

「それから、山尾!」

「はい!」

「俺と一緒に、襲われた警察署を、もう一度調べるぞ。鑑識の道具を持ってけ!」

「承知しました!」

「佐々木!成美!」

『はい!』

「お前達は、小次郎を吐かせるんだ。―その為に、どんな手を使ってもいい!」

「・・・本当に、大丈夫なんですか?」

「佐々木!・・・時間は無い。有効に使うんだ。」

「わ・・・分かりました!!」

 こうして…、”5人”の刑事達が、各自動き出したのだった…!


 【???】

「どうしたんだ?俺をこんな場所へ連れ出して?」

 老いた男性が、地下駐車場で、若い男と待ち合わせした。

「・・・時間がありません。―小次郎が、捕まりました。」

「それは、知っている。だが―。」

「今、追いかけているのは、あの『桜』班です。」

「さくら・・・?」

 そう言うと、若い男は、ハンドガンを取り出し、銃口を眉間に押しつけた。

「タイムリミットは少ないです。どうか、”女”の方を宜しくお願いします―。」

 そう告げると、若い男は、銃で自決した…。


「・・・本当に、時間が・・・!?」

 直様、スマホで連絡を取り始めた…!


 【某時刻 出版社】

「―分かっていますでしょう?”守秘義務”って。」

「そこをなんとか、お願いしますって!」

「無理なもんは無理です!」

 佐々木さんが、週刊誌の編集長と掛け合っているが、平行線のままだった。

 …頑固な編集長だ。どうやったら、話してくれるのだろうか…?

 そんな中、佐々木さんは、”とある提案”をしてきた。

「・・・じゃあ、ここだけの話。―”情報交換”をしませんか・・・?」

「え?あんた達が?」

「実はさっき。コンビニで御社の週刊誌を読んだんです。・・・”五十嵐 小次郎”の『警察署襲撃事件』を。」

「そうですか・・・。それが?」

「その先の話・・・。”真実”を聞きたくはありませんか?」

 そうすると、編集長の目が変わった!

「・・・嘘じゃありませんよね?」

「はい。・・・勿論、名前は伏せてもらって―。」

「では、あちらの部屋で話して下さい。」

 佐々木さんは、私に”アイコンタクト”を取った。

(―来た!)

 ―勿論。『警察署襲撃事件』の”真実”など、。嘘っぱちだ。本当の狙いは…?

(今だ!)

 編集長の”デスク”だ。―そのパソコンを調べることだ!私は、思い切って、ボールペンを編集長席の反対側の壁へ投げ込んだ!

「あー!すいません!ボールペンがっ・・・!」

 ライターの方々が目をそらしている内に、直行で、デスクを調べた!

(パソコンの電源付けっぱなし・・・。チャンス!)

 二坂さんから借りた、”ハッキング用USBメモリー”を差し込んだ!―工作を終え、席から離れた…。

[こちら、工作完了。撤退をお願いします。]と、佐々木さんへメール。―部屋から出てきた。

「いや〜!いい話、ありがとうございます!」

「此方こそ、win-winの情報交換、ありがとうございました!」

 お礼を言って、その場を去った。


「・・・で、どうだったすか?」

「大丈夫です。―しっかりと、スマホへ届いています。」

 編集長が管理している”スクープ”を手に入れた。仮に、USBメモリーが抜かれても、既に必要無しだ。

「・・・ホシの情報が新たに分かりました。―官僚の60代男性の名は・・・。

 ―『染 巌そめ いわお』。62歳。”農林水産省のトップ3”に居る男です。」

「農水省か・・・。他には?」

「・・・”元参議院議員”。―今から25年前の話ですが。」

「それでも、何か裏がありそうっすね。20代女の方は?」

「20代女は・・・。同じく農水省の一般職『早志 智草はやし ちぐさ』24歳です。」

 しかし、佐々木さんは疑問だった。

「・・・何で、この2人の”遺伝子提供”からだったんすかね?」

「きっと、小次郎が吐くと思います・・・。」

 小次郎は、自分が”デザイナーベイビー”な事は知っている。だからこそ、そこをつく!


 【???】

「―私だ!今何処にいるんだ!?」

〈何で電話してくるの!?もう関わらないで!!〉

「喧嘩している場合じゃない!―私達の命が危ないんだ!!」

〈えっ!?それって、どういう―。〉

 急いで、電話している染。…しかし、現実はだった。


「探しましたよ?染さん。」

「!?だ、誰だ・・・!」

「小次郎君。・・・可哀想ですね?」

「―ぐおっ!」

 サプレッサー付ハンドガンで、脚を撃たれた染。謎の男達は、誘拐を始めた!

「・・・喋って貰いましょうか?を・・・。」


続く…。

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