第6話 バスト93 ランクF

 これはまるでゲーム画面のステータスみたいだな。

 名前に、年齢、あ、やはり若返っている! 17歳! また青春の日々が返ってくるって異世界に青春があるのかという話だが。

 職業はそのままか、まぁ、知識も感覚も特に変化無いしな。

 そして、俺のランクは、Fか。


「ランクって書かれているんだが、Fって低いのか?」 


 俺の言葉に反応したのか「プププ」と口を押さえながら小ばかにした笑いを浮かべている。


「キミ、それこの世界の女性や子供と同じ戦闘力ってことだよ。キミの世界はどうやら非力な人間が多いようだね」

「む、俺のいた日本は生まれた時から平和な世界なんだよ」

「へー、羨ましい」 

 

 興味を失ったかのように、ピリスは焚火に薪をくべている。

 くっそぉ、見慣れた項目にFとEのオンパレードじゃないか……ん、普通?


「なぁ、【普通】Sってどういう意味?」

「ん? 個性のステータスか、個人個人が持っている能力、とは言ってもランクが低ければ特に意味ないが……Sと言ったか?」


 くべていた薪をバキッと割りながらこちらを凝視してきた。


「え、もしかしてSってかなり凄い感じ?」

「……ああ、かなりね。経験を積むだけではAランク止まりだから、S以上は人智を越えている能力だよ」 

 

 おお、やったぜ! これはいわゆるこの世界の神が与えてくれたギフトだろ。

 だけど、【普通】ってなんだよ……人智を越える普通って矛盾してない? 

他にも項目がないか、オブザーバーを指先で叩いてみる。


「お、別の画面に切り替わ……マジで?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:ピリス・アイスクラー 年齢:21歳 

性別:女 ランク:SS 職業:エレメントマスター

HP:A

MP:C

魔力:C

魔防:A

筋力:A

体力:A

速度:A

カイゼルシュニット適性:SS

B:93 W:61 H:87

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「その表情は私のステータスを見たな? 使い方はそんな感じで相手に向けて触れれば、相手のステータスを見ることも出来る。最もあくまで目安だからな、まだ試作の段階で実戦には使えんシロモノさ」


 フッと不敵な笑顔を見せているが、この黒髪パッツンはとんでもないステータスの持ち主だ。

 ランクもSSだし、そりゃあんな化け物みたいな熊も一撃で殺せてしまう実力なんだろう。個性ステータスも【カイゼルシュニット適性】って秘密兵器持ちだろ、この人。 

 だが、それより何より、素晴らしい情報が書かれているのだが、これもデフォなのか?


【B:93 W:61 H:87】


「あのさぁ、これって身体的なデータも出るもの?」

「体力とかの事……じゃないな、何が書かれている?」

「それは、えーっと、その、胸囲とか腹囲」 

言い終わらない内に、ピリスは手で身体を隠して真っ赤な顔になった。

「そ、そんな項目は無いはずだ! キミ! それはキミの妄想だ! 勝手に人を測るな!!」

「いや、測るなって、貴女が渡してきたものですが、何か?」

「キミってやつは!」

 

 ぐぬぬっとした顔で睨んでくる。

 その顔が妙におかしくて笑ってしまう。

 俺の笑い顔にあきれ果てたかのようにピリスはため息をつく。


「まったく……今日一日で一年分の驚きをキミから感じたよ。夜はまだまだ長い、キミにはこの世界イセコスの物語を知ってもらう必要が沢山ありそうだ」


 ニヤリとニヒルに笑ったが、


「……女の子のスリーサイズを測っていけない事とかな」


 直ぐに表情を崩しながら、キミってやつわぁぁっと夜の空に木霊する声で叫んでいた。



◆◆お読みいただき誠にありがとうございます◆◆


ピリスのキャラはいかがでしたでしょうか?

まだまだ色々と秘密を抱えたキャラですがもし気に入っていただけたなら、

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