第5話 ステータス計測
やばっ、地雷くさい。ど、どう誤魔化す?
「い、いや、俺の勘違いだったかな、人が光の粒子になるなんてね、あははは」
いやー、誤魔化せてないか。
そもそも勘違いじゃなく、めちゃ柔らかオッパイだったし。
「へぇー、キミ、私の胸を堪能していただけではないのだね……助けられていたのか」
「誤解が解けたみたいで良かった! さっきのはエレメント? の作用か知らないけど、元気になってよかったよ」
ふうっとピリスはため息をついて、何かを思案しているかのように腕を組んだ。
これ以上あまり話さないようにしておこう。
いくら俺が命の恩人とは言え、文化の違いで怒らせたらあの蛇腹剣ってやつで……死にたくないクマ―。
「うん、明日のキミの行き先が決まったよ」
「え、どこに行くんです?」
「ボッカイの街にしよう。明日の朝出発すれば昼前には着く」
思いつきで話す感じが不安だ。
「ピリスさんのお住いの街ですか?」
ジロッとこちらを覗き込んでくる。
「ピ、ピリスの住んでいる街なの?」
「この私が!? まさか、あんなところ」
うわー、あんな所なんだ。
「まぁ、大丈夫だよキミ。キミならきっと馴染むと思うよ……それに、もう少し観察したいし……」
「え!? なんか最後にボソッと言いました?」
「空耳だよ。前言撤回しておこう、キミにはやはりこの世界の常識を少し教えておかなければいけないね」
にこりと玩具を見つけた子供のように笑顔を見せる。
明らかに怪しいが援助してくれそうな相手の提案は断り辛い。
「まずは、コレをキミにあげよう」
ピリスは腰につけているバッグから時計のようなものを取り出し、こちらに向かって投げた。
「それを腕に装着してみてくれ」
これはさっき光っていたやつか?
言われた通りに腕に巻いてみる。
留め具が見つからないと思っていたら、勝手に腕に巻き付いてきた。
「おお、これ大丈夫なの?」
「ああ、キミの精神を乗っ取るために動き出しただけだよ」
「……マジで?」
一瞬、呼吸が止まった。
「うそ」
はぁ、何も分からない世界での冗談は心臓に悪い。
しかし、この黒でゴツゴツした形状は腕時計のBショックに似ているかも。
コンコンと指先で叩いてみると、急に視界がおかしくなった。
「な、なんだ? ……何か空中に」
「見えたか? エレメントギアのオブザーバーがキミの脳に直接データを送っているのだよ」
「やっぱり乗っ取ってるんじゃないか!」
「ん……まぁ、心配は無いさ」
少しの沈黙が気になる!
けど、もう後戻りは出来ないので目の前に浮かんでいるデータとやらを見てみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:杉山武光 年齢:17歳 性別:男 ランク:F
職業:鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師
HP:F
MP:F
魔力:F
魔防:F
筋力:E
体力:E
速度:E
普通:S
―――――――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます