いかづちの子どもたち
「でさーっ、タオったら全然賛成してくんなくてさ。俺アッタマきちゃったよ」
ぎゃーぎゃー喚き立ててんのは俺の友達のアツシ。逆立てた髪はガチガチで、俺はたまにそれを触って遊ぶのだけれど、アツシは快く思ってないみたい。それはそれとして、タオってのはアツシの妹の名前。天敵の仲らしい。俺の目には楽しそうに遊んでいるようにしか見えないけどな。
「なぁぁ、センジからもなんとか言ってやってよ。アイツお前の言うことしか聞かないんだよぉぉ」
「やだ。お兄ちゃんからの回し者ってイッパツでバレる」
「うぜー! 妹のムダな察しの良さがうぜー!! 確かにそうなんだよな……」
「分かればよろしい。兄妹喧嘩は犬も食わないよ。明日までには仲直りしなさい」
「出たよ、センジのパパ人格。なんだよなー、アイツ俺が折れるまでぜってー謝んねぇもん。俺の謝り損だよまったく」
「そういうお前は課長人格出てるぞ」
「なんだよ課長人格って。中間管理職にはならんからな!」
「と、40年前の渋谷課長は高吠えするのであった」
「クッソ、伏線じゃねぇ……」
顔を押さえてさめざめと泣くふりをするアツシ。1秒後にギュンと顔を上げて駄菓子屋ピュアフリーのほうを見つめる。
「今日こそアタリ引くぞ」
「ムリムリ。泣きっ面に蜂って言うだろ?」
「意地悪だなお前、あっち行けよ」
「やだね」
「クソぉ……おーい! ヨシ子さん! 棒付きアイス2つ!」
「あいよー」
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