姉と私

「はるか、私夢を見たの」

 姉がそう切り出す時は、何かが溢れている時。私はにっこりと笑って、姉に手前の椅子に座るように促した。

「どんな夢だったの?」

 彼女の口からきらきらと光が迸る。私にはそう見える。いつも姉は美しい人だったから。

「って、こういう夢だったのよ。はるか、私ヘンになっちゃったのかしら」

「そんなことないよ。お姉ちゃんは想像力が豊かだからね」

 歌うような口調で「ふぅん」と言いながら、姉は金の茶瓶を傾けた。

 現実的な私は顔を背ける。

 あなたは夢の国に住んでいるもの。そこから出てこないと、私と出会えないのに。

 一抹の寂しさが、彼女に伝わることはない。でも、いつか。いつか本当に出会うことができたら。その日を私は、待っている。

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