8月29日

 起きたら体が痛かった。廃墟で眠ったせいもあるだろうし、断続的に降り続けている雨のせいでもあるだろう。

 今何時だろう。ナツのスマホを見たけどとうとう充電が切れていた。起き上がってナツを見ると、ナツは既に起きていた。座って私をじっと見ている。

「おはよう」

 ハキハキと笑顔で言う。

「もう、大丈夫だよ。呪いは消えたみたい。この場所が良かったのかも」

 ナツの声だ。でもしゃべりながら首がカタカタ揺れている。

 これはナツじゃない。私は無視してまた横になった。しばらくそれは何かをしゃべっていたけど、突然電池が切れたように静かになり、寝息が聞こえてきた。

 ナツが戻ってきた。起き上がってナツの額に浮かぶ汗を拭きながら、私は思わず笑ってしまった。魂の半分、つながってる気がしたから。

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