人を見た目で判断しちゃだめ。

比嘉君人

人は見た目で判断しちゃダメ



薄暗がりの中、コップを勢いよく傾けドンと乱暴に置き、彼女は項垂れた。

金髪の髪にやや濃いメイクをしているが、幼げな表情を醸している。

「どうかなさったのですか?」

カウンター越しに白髪の男性がグラスを拭きながら尋ねた。


女性は起き上がりふてくされた顔で話始める。

「彼氏に騙されたの。I Tの社長だって言っていたのに、ただのスカウトマンだったんだ。イケメンだし、ブランド物のバックとかプレゼントしてくれてたのに。ちょーむかつく。時間返せって感じ。」

彼女はそう吐き捨てると突っ伏してしまう。


すると、カタンと音がする。彼女が起き上がると小さなグラスに白いカクテルが。

男性はニコッと微笑みかける。


「コンチータです。意味は、挫けないで。あなたならいい人は見つかると思いますよ。」

彼のちょっとした気遣いに彼女は、少し口元を緩ませる。


「ありがと。もう少し人をみる目を養わなきゃ。人は見た目で判断したらダメだよね。中身を見るようにする。」

「いい方向に行くといいですね。」

「聞いてくれてありがとう。マスター。」

彼女の表情は少し明るくなる。

「あ、僕はただのバイトです。」

ジャズが店内に立ち込んでいった。

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