第4話家族インタビュー

 こんにちは、ナコです! 今日は私の家族を紹介するよー! まずはお父さん!


「お名前を教えてください!」


長辺ちょうへん 良夫よいおっとです」


 今日はテンション低いみたい。会社で何かあったのかな。次は好きな食べ物を聞いてみましょう。


「悪いやつの髪の毛を食べます」


「バカじゃねーか! ヤバい奴だな!」


 つい反射的に言ってしまった。でもバカだしヤバいし本当だからいいか。


「人のことをバカだのヤバいだの、失礼だろ! 私のことは女王様とお呼び!」


 変に刺激したせいでお父さんの素が出てしまった。こんなインタビューお友達にみせられないよ。うるさくなってきたので次の質問で最後にします。


「うんちでできた服を着てるなんて、よほど好きなんですね」


 お父さんの最大の特徴だ。いつも体にうんちを纏って生活している。うんち大好きなのだろう。


「別に好きじゃないけど。ネクタイだってみんな着けてるけど好きなやつなんて居ないだろ。むしろ全員嫌いなんじゃないか?」


 特に好きということではないようです。ありがとうございました。ちなみに私はお母さんに、私の服とお父さんの服を一緒に洗うのはやめてと言っています。正当な主張ですよね。


 さて、次はお母さん! お名前から行きましょうか!


「長辺 とし子です」


 お母さんは常識人なのでご安心ください。例によって好きな食べ物も聞いてみましょう。


「雪です」


 ロマンチックですね。私も雪食べます。たまに黄色いシロップがかかったのがあるんですよね、甘かったことないんですけどね。

 あとは適当に質問しましょうか。


「最近なにかありましたか」


 この上なく適当な質問である。


「枕を買い換えました。ダイオウグソクムシを枕として使っています」


「ダイオウグソクムシって、ダンゴムシの超巨大バージョンみたいなやつだよね?」


「そうだよ」


 常識人だと思ってたのに。これだと枕の意味ないじゃん⋯⋯


「お母さん、それめっちゃ硬いんじゃない?」


 そう、硬すぎては枕の意味がないのだ。硬い方がいいと言う人もいるが、限度がある。


「裏側だから頭の形にフィットしてくれるのよ」


 なるほど、さすがお母さん。あの父ばかとは違う。常識人じゃないなんて思ってすみませんでした。ちゃんと考えてやってるんだな。次の質問で最後かな。


「特技はありますか」


「強盗です。1日でコンビニを13軒強盗したのが最高記録です」


 うちがやたらお金持ちなのはそういう理由だったのね。お母さん、それ犯罪です。


「おねーちゃん、なにしてるの!」


 妹が楽しそうに近寄ってきた。私と妹はけっこう仲が良い。仲良し姉妹だ。


「学校の宿題で、家族インタビューしてるの。ちょうどお母さんが終わったから、今からやろうか。お名前は?」


「長辺 奈子二なこツーです! 高校1年生です!」


 ちなみに妹は2歳下で、私と全く同じ見た目をしています。好きな食べ物を聞きましょうか。


「人参! あんな美味しいものは無いよ! 色も綺麗だし、何にでも合う!」


 健康的でいいですね。うさぎみたい。学校では馬と呼ばれてるみたいです。部活の様子を聞いてみましょう。


「ぬるぬる部です! 部室に来てくれた人をぬるぬる洗います!」


 春の大会では準優勝したそうです。


「お姉ちゃんのインタビューは私がしてあげようか?」


 やるつもりは無かったが、自分のもやってきたとなると先生に点数貰えそうだな。よし、やろう。


「名前!」


長辺ちょうへん 奈子なこです! 」


「部活!」


「ネチネチ部です! 学校内でレコード大賞を受賞しました!」


「最近あった嬉しいこと!」


「クラスの三村くんと話せた!」


「最近あった悲しいこと!」


「下着泥棒がやっぱ要らないって返しに来たこと! 死ね!」


 こんなもんかな。これをまとめて明日学校で発表だ。

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