第2話

 4月5日夜、宇都宮市の高級アパートメントから売春婦が飛び降り自殺する。東武警察署の剣持部長刑事が、現場に臨場。死んだ売春婦は、剣持の旧友の娘であった。


 この飛び降り自殺に事件性があるのか捜査を始めた矢先に、薬物対策課から異動してきた相馬卓弥そうまたくやを、剣持は新しい相棒としてあてがわれる。

「イチローが退院するのは来月になりそうだ。ケン、タクの面倒を頼んだぞ」

 相馬は剣持よりかなり若いが、5年前に起きたロシア軍による五稜郭占拠事件では陸軍特殊部隊員として死線をくぐりぬけた経験があり、拳銃射撃と格闘の力量は極めて高い。

 尚、相馬の祖父、長介は第2次世界大戦で大活躍し米軍を撃破し、日本を勝利に導いた。

 相馬は3年前に愛妻を事故で亡くして以来、自暴自棄になることが多かった。

 宇喜多もかつて陸軍に所属しており、階級は伍長だった。相馬は宇喜多の直属の部下でその為、『伍長』と呼ぶ。


 剣持はこの新しい相棒に困惑しながらも、自宅に招くなどして、次第に打ち解けるようになっていく。そして相馬と共に、売春婦の飛び降り自殺を捜査していくと、背景に麻薬GメンのOBたちによるヘロイン密輸組織が浮かび上がってくる。だが、捜査の過程で剣持と相馬、さらには相馬の家族まで命の危険にさらされ始める。


 4月7日 - 漫画家の藤子不二雄Ⓐが死去。

 東武警察署薬物対策課の月島哲也つきしまてつや刑事。彼は薬物捜査のベテランだが、捜査のためならば強引な手法も厭わない。


 麻薬の売人を逮捕したある夜、月島は相棒の富樫夏美とがしなつみと共にオリオン通りのナイトクラブ『メビウス』に飲みに出かける。そこには有力マフィアの組長たちが妻同伴で来店していた。その際、組長夫妻たちと共にテーブルを囲み、札びらを切っている若い夫婦がいた。不審に思った月島と夏美は、その夫婦を捜査する。


 夫婦は表向きはバンバ通りで雑貨屋を営んでいるが、夫の新見沼男にいみぬまおは強盗事件などで何度か捜査対象になるなど、犯罪やマフィアに近いところにいた。工員、ピザ屋などに偽変しながら夫婦を視察下に置く月島と夏美。すると、夫の沼男が北関東の麻薬取引の元締めで大物、根津紀彦ねづのりひこの舎弟であることが判明した。また、沼男は近いうちにブラジルとのヘロインの大口取引を任されるという。


 財務省麻薬取締部の捜査官たちと捜査を進めると、ブラジルマフィアの黒幕のハイアンが宇都宮を訪れていることが判明する。ハイアンは、トラックに麻薬を隠して密輸しようとする。ハイアンを執拗に追及する月島。ハイアンはこれ以上追及の手が迫ることを恐れ、殺し屋・氷室ひむろを月島のもとへ差し向ける。


 月島は東宿郷ひがししゅくごうにあるアパートで夏美を襲った。

「ああっ…や、やめて下さい」

 夏美は髪を振り乱しながら必死になって声を出している。

 しかし、月島の力には勝てずベッドに押し倒された勢いで組み伏されてしまった。

「いやっ!いやだってば……」

 まだ抵抗してくる夏美の頬に月島が平手打ちを与えると急に静かになった。

怯えるように男を見つめている。

「ああっ……や、やめ……て」

 夏美の声が哀願するようにか細くなった。

月島は余裕が出来たのか薄笑いを浮かべ、夏美が大人しい内に素早く服を剥いでいく。

 月島はクンニや手マンをして夏美のアソコを濡らした。そして、バックで交わった。

 パンパンパンと肉が叩かれるような音。

「あんっ!あんっ!あんっ!」

 同じリズムで夏美の短い叫びが聞こえる。

「あんっ!!」

 夏美の声が大きくなる。

 月島が窓辺に立った瞬間、窓ガラスが割れた。最寄りのビルの屋上から氷室がスナイパーライフルで狙っていた。弾丸は月島にではなく、夏美の頭をぶち抜いた。月島は難を逃れた。

 

 4月8日

 甲府地方検察庁は昨年10月に山梨県甲府市で発生した放火殺人事件でこの日起訴された19歳の被告の氏名を公表。改正少年法の施行に伴う特定少年(18、19歳)の氏名の公表は初。氏名の報道は報道機関各社の判断に委ねられる。


 外務省は、在日ロシア連邦大使館の外交官及び駐日ロシア連邦通商代表部職員計8人の国外退去を要請。


 山口県阿武郡阿武町で、町が1世帯10万円の臨時特別給付金を町内の463世帯にそれぞれ振り込んだ際に、事務手続き上のミスで対象の1世帯に4630万円を二重振込みした問題が発生。5月18日、誤入金と知りながら一部を決済代行業者の口座に移したとして、振込みを受けた24歳の人物を電子計算機使用詐欺容疑で逮捕。


 東武署の会議室で、北関東最大の麻薬組織を摘発する重要な捜査会議が行なわれていた。ターゲットは、殺人にまで手を染めていたボスの根津紀彦。


 5日後、宇喜多は日光の山奥にあるスラム街で張り込みをし、根津の秘書・新見冬美を逮捕した。その隙に根津に逃げられてしまうも、車でスラム街を突っ切り、途中で乗り捨てて、根津一味にジャックされた路線バスを必死に追いかけ、何とか根津も逮捕することに成功した。


 4月20日、突然冬美が釈放される。彼女には検察側証人になる司法取引が結ばれていたのだ。

  

 25日、剣持は宇喜多を通じて尾崎克也から人探しを依頼される。コロナ蔓延以前に人気があった歌手の逸見保奈美へんみほなみは、コロナ発病後に精神を病んで精神病院に入院していた。宇喜多の下へは証明書が送付されており保奈美の生存は確認されていたが、尾崎を伴って病院を訪れたところ、保奈美は病院にはいなかった。尾崎は事を荒立てずに保奈美の生死を確認するため、調査を依頼したのだ。


 依頼を受けた剣持は、保奈美が入院していたという万城目まきめ記念病院を訪れるが、ナースの三浦睦月みうらむつきに去年の12月に転院したとの書類を見せられる。しかし、転院日付の文字が明らかに別の筆跡だった。


 剣持は続いて、保奈美の担当医だった目黒茂吉めぐろもきち医師と連絡を取ろうとするが果たせず、電話帳から住所を調べ、留守の目黒宅へ忍び込んだ。目黒の家は田川の支流である釜川かまがわの近くにあった。川は汚れておりヘドロ臭がした。


 冷蔵庫の中にモルヒネを不法に所持しており、自身が中毒になっていた目黒を問い詰め、10万と引き換えに男女に保奈美を引き渡した上で入院中のように擬装を行ったことを聞きだすと、さらなる証言を引き出すべく、禁断症状を起こしかかっていた目黒からモルヒネを取り上げ、監禁、放置。一旦、医師宅を出て餃子屋で食事を採り戻るが、目黒は右眼を銃で撃ち抜かれた死体となっていた。剣持は、目黒が自殺したかのように擬装し、部屋の中に残っている自分の指紋を拭きとって、医師宅を後にする。


 レストランでステーキを食べていた尾崎へこれまでの調査結果を告げ、自分が目黒の殺人容疑者になることを理由に依頼を打ち切ろうとした剣持だが、尾崎の提示した50万の即金に、調査を継続することにした。


 剣持は、東武新聞に勤める女性安田由美やすだゆみに依頼して、逸見保奈美の情報を得た。保奈美の行きつけのバー、友人の横峯蘭よこみねらん、婚約者の龍宮塁りゅうぐうるい、愛人の氷室といった情報を得る。調査を続ける剣持は隠岐の島へとおもむき、そこで今は占い師をしているマ新見冬美に会う。占いにかこつけて情報を得ようとした剣持だが、分かったのは保奈美と剣持が同じ年に生まれたことと、冬美は保奈美が12年前に死んだものとしていることくらいだった。

 せっかく隠岐の島に来たのだから散策することにした。


 お土産屋でイカの干物やのどぐろ釜飯の素、藻塩大福などを買った。それから内航船で海士町に向かった。ランチは隠岐牛のステーキだ。レンタサイクルで町を巡った。隠岐神社を経由して知夫村に向かった。夕日に輝く赤壁を眺めた。夜の隠岐神社を参拝した。灯籠が神秘的な光を放っている。

 民宿に泊まりゆっくりした。


 翌日はレンタカーを借りて赤ハゲ山から絶景を堪能した。途中の牧場に牛がいた。昼飯はサザエ天丼を食べた。港の上の展望台で休憩をした。道路沿いには湧き水があり、地蔵の水と呼ばれており。飲むと長生きするらしいから剣持は飲んだ。

 内航船で西ノ島へ向かった。島の西海岸には摩天崖まてんがいという大絶壁があった。サスペンスドラマにでも出てきそうだ。摩天崖の下には巨大なアーチが出来ている。海にせり出した侵食して出来たものだ。隠岐の島北西部にはローソクの形をした島、北東部にはトカゲ岩🦎が存在する。

 剣持は冒険中、隠岐の島でしか見られないオキノウサギ🐇を見かけた。


 次ぐ日は浦郷港に赴きクルージングをした。チケットをターミナル1階で買い船に乗り込んだ。🛳

 西ノ島大橋を潜り、美田湾を進むと船越集落が見えてきた。船酔いと戦っていた剣持だったがスピードを緩めたので落ち着いた。海上から摩天崖を見上げる。岸壁には赤い縞模様が見られるが火山の噴火の痕跡らしい。国賀浜、観音岩、象鼻岩などを経由した。出港後1時間が経過した。明暗の岩屋と呼ばれる洞窟の中を潜る。何かがプカプカ浮いている。

 それは逸見保奈美の遺体だった。

 剣持は島根県警と東武警察署に連絡を入れた。


 

 

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東武警察2022 鷹山トシキ @1982

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