第10話 気付き

 4歳に入る時点で運用のホールドポイントは約17500ポイント、すぐに使えるストックポイントは約840ポイントとなっていた。ステータスは体力が5、魔力が3で他は全て4という状態だ。


 この世界には保育園や幼稚園などはないので、基本的に家で遊んだり近所で同世代と集まったり、たまに家の手伝いをしたりである。学校というのも特になく、大体5歳くらいになると家の手伝いをしながら社会性を学んだり、伝手を使ってどこかに弟子入りしたりする様だ。例外として、貴族や教会が推薦した子、外部からの受験で特別優秀だった子などは国が運営する学校に入ることもあるようだ。


 まぁ、その学校も10歳で受けるステータスチェック、スキルチェックの結果によるらしいので超平均的ステータスの僕には関係ないことだろう。


 そんなこんなで今日も近所の子供たちと遊んでいた僕(ラーツ)なのだが、僕(意識体)が起きてポイント管理をしている時に立ち止まり不思議そうな顔をしていた。

 周りの子たちが心配して声をかけると、慌てて遊びに戻るのだが。


 もしかして?


 そう思い、今度は夜一人でいるときに意識体を浮上させてみた。するとどうやら気付いているらしく、恐る恐る声をかけてきた。


「だれ?だれかみてるの?」


 とても不安を感じてる様だ。繋がっている僕にもすごい勢いで感情が流れ込んでくる。そろそろ中からこっそり見守る時期を過ぎて、一人の人格となる準備が必要なのかもしれない。真の転生というか、継承というか。


 とりあえず、今は不安を取り除くべく脳内に直接語り掛けるのだった。


(初めましてラーツ、僕は君のスキルを支える脳内ポイ活アドバイス妖精だよ。)


「?????」


 ラーツの困惑が脳内をいっぱいにするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る