第87話 中郷町(10) <2031年11月>




チーム高木たちが仲間になってから、更に2〜3週間が経過した。


その後は大きな動きも無く、膠着状態が続いているが、ウチは常磐自動車道を越えた辺りまでジリジリと占領を続けている。


北側部隊の如月一家が先行して常磐自動車道の先の大北川辺りまで占領を進めてそこから徐々に南下して中央部隊と合流する勢いだ。

後は異世界人たちもいる山中と石岡小学校付近を残すのみとなっていた。



◯ : 深緑の妖精

△ : 空列激新団

= : 川(大北川)

◆ : 如月一門(攻撃隊)

◉ : 獣人たち

◀ : ヒデさん+静香さんたち

◇ : 異世界人


✕ : 攻撃ポイント


【地図】※横向き推奨


      磯 原 町

◇◇△△△△△========◯=

◇◇△石岡小△‖△✕◆◆◯◯◯◯

◇◇△△△△△△✕◆◆◯◯◯◯

◇◇△△△△‖△✕◆◆◯◯◯◯◯

====△=△△△◉◉◯◯◯◯ 海

◇◇△△△△△△◉◉◯◯◯◯◯ 岸

◇◇△△△△△△◀◀◯◯◯◯◯

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

      高 萩 市



この中郷町での戦いを通して、小さな同盟と幾つか戦い、涼真さんと斉藤くんが従属契約した者が何人か出てきている。

俺の所ばかりに従属配下を入れても良いが、何かあった時の為に各々動けるメンバーを配下に入れた方が良いとの考えである。


もちろん、従属契約したからといって、他所の様に虐げられることはないので、安心してほしい。




俺の家のダイニングでみんなで食事している。


「そろそろ、『空列激新団』との戦いも終盤に差し掛かった。後は大北川手前と石岡小学校付近の拠点郡を占領すれば終わりだろう。」


「だけどこのままだと、磯原方面へ逃げられてしまうんじゃない?大丈夫?」


「私もそう思ってるけど……。」


ミレーネと奈緒が心配してくれている。


「それが大丈夫なんだな〜。一応考えてはある。」


「っえ、そうなの?どんな事を隠してるのよ!」


「私も知りたーい。」


「それは……。」俺はナビルとチーム高木たちを見た。


「まあそれは、俺たちがここ2〜3週間頑張って来た結果だな!」


ナビルが具体的な話はせずに自慢げに言った。


「華川町で何を頑張って来てたのよ!勿体ぶって無いで言いなさいよ。」


「まあ、待て待て、慌てるなって。」




◇◆◇◆◇◆



『空列激新団』は川辺に防衛線を引いた様で、そこまはほとんど邪魔される事なく、占領を進める事ができた。

そして、更に1週間が過ぎると、大北川まで占領を完了した。



◯ : 深緑の妖精

△ : 空列激新団

= : 川(大北川)

◇ : 異世界人


【地図】※横向き推奨


      磯 原 町

◇◇△△△△△========◯=

◇◇△石岡小△‖◯◯◯◯◯◯◯◯

◇◇△△△△△◯◯◯◯◯◯◯◯

◇◇△△△△‖◯◯◯◯◯◯◯◯◯

====△=◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 海

◇◇◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ 岸

◇◇◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

      高 萩 市



中郷町にいたプレイヤーたちは7割以上が磯原町や高萩市へ逃走していった。

約2割が戦死して、残り一部のプレイヤーが俺たちや何処かのプレイヤーの元に従属契約して降った。


中郷町の残りは、山中から来る異世界人たちと石岡小学校付近に陣取っている『空列激新団』たちとなった。


そして、俺たちは山中からの異世界人の攻撃にも警戒しつつ、『空列激新団』への攻略へ打って出たのだった。




石岡小学校方面へ攻め入る道は3つの橋だ。

基本的に川は侵入禁止エリアなので、進行出来ないためだ。

北側に1つに中央部に2つ固まっている。3箇所から攻めるが本命は……。


「高木たちに確認してもらったら、相手の北側部隊がそのままの北側の橋を防衛しており、残りのプレイヤー数は如月一家が8人倒していることから14人との事だ。そして、残り中央の橋2箇所を防衛しており、こちらは16人だ。」


「結構残っているのね。後は橋をぶち抜いて進んで行けば良いわけね!」


「まあ、簡単に言うとその通りだな。」


俺の話にミレーネが返してきて、更に奈緒が質問してくる。


「でも、何処から攻めるの?3箇所?それとも何処かに絞って攻めるの?」


既に涼真さんと斉藤くんが話合っており、概ねの方針が決定している。


「それは、中央の手前の橋に戦力を集中させて攻略する。一気に敵の防衛ラインをぶち抜くぞ!」


「私たちの遊撃部隊も最初から参加するの?」

「戦場には入るが、最初は待機だな。ここぞの場面で動くとしよう!」

「メンバーはどうなるんだ?」


参加部隊が気になるようで、ナビルが聞いてきた。


「当初の攻撃メンバーがそのまま今回も攻撃部隊だ。そのため、チーム高木たちは華川町で待機して貰うつもりだ。」


「じゃあ、俺も参加で良いんだな?」

「ああ、ナビルも参加してもらう。期待しているからよろしくな。」


「まあ、任せておけ。」

「ジェイド、サミュエル、ヒデさんもよろしく。」

「「「はい(っす)。」」」




2031年11月某日12時に攻撃を開始した。


北側の如月一家の橋、及び中央の奥に架かる橋は防衛が主体である。

防衛だといくらでもモンスターが補充出来るので対策は万端だ。


そうそう、抜かれる事はないはずである。

相手は最初から防衛一方のつもりだったのか、北側の相手部隊に始め動きが無かった。


【中央部隊(橋の攻略中)】

〈対戦状況〉

俺 約3,500体 vs 敵 約20,000体


前回の大戦の様に相手は特攻部隊となって突っ込んで来る。

こちらも前衛が結構な被害を受けるが、斉藤くんのC級モンスター1,000体を投入しており、殲滅力が格段に上がっている。


時間が掛かると思っていた戦いも4時間もすれば、敵の25,000体のモンスターを葬り去り、更に追加された10,000体も残すところ後僅かのところまで来ていた。


その際に一騎討ちを挑んでくる勇敢な者までいた。

そういった奴らは気持ちがイイ。

俺かナビルが受けて立ったが、結果はみな俺たちの前に敗北した。


相手を切り捨てるフリをして、全て峰打ちで気絶させて倒している。

ナビルの場合もフィニッシュは気絶させている。


「高木から聞いてた通りだな。後でこいつらには配下に加わるか聞いてみるか。」


「まあ、俺の弟子たちが増えるわけだな。」


「お前の弟子って……、チーム高木の面々もお前に任せているが、別にお前の弟子じゃないだろう…。」


「っえ、そうなのか!フーマが好きにして良いって言ったじゃねーか!」


「まあ、確かにそんな様なことは言ったがだなぁ〜…。」


「だろ!言ったよな。だったら、今回の面々も俺預かりで良いだろ?な!な!な!な!な!?」


「あぁーーーわかった。基本はお前に任せるが、有事の際は別の話だからな。」


「おう、任せておけ、稽古もつけておいて使える人材に育てておいてやる。」


「そーですか、ありがとうよ。」


「それじゃ、残りの奴らもちゃっちゃっとやっつけるか!」


「・・・・そうだな。」


更に1時間後、合計30,000体ほどの相手モンスターを葬り、プレイヤーは5〜6人が撤退した。


ここで仕留めきれなかったが、大勝利と言えるだろう。

結構あっけなく終わってしまったが、何か相手の策略かもしれないな・・・。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・セフレ : 1人 笹野静香(恋人公認)

・従属配下 : 14人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲、チーム高木5人







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る