第82話 中郷町(5)





〜ジェイドside〜


ここ数日かなりのペースで中郷町を西に向かって占領している。

所々で今回の敵対連合と関係ない者達もいるが、その場合はリョウマ殿が事前に相手に連絡を取って敵対の意志を確認している。


敵対の意志が有れば戦うし、無ければ何処かへ移動してもらうか我々の傘下に配下として入ってもらう。基本的に攻撃しない方針としている。


攻撃すると少なからずそちらへ戦力を割く必要があり、今の良い流れを切ってしまう事に繋がる。



「ナビル兄さん今日も特に弱小同盟はどっかに立ち去っていったよ。戦えなくて残念だったね。」


「魔法でドンパチやってれば片がついちまう、もっと骨のある奴らが出てきてくれないものかねぇ〜。」


「それはそれで、僕にとっては良い事だよ。こちらに被害が出ないのは何より。 何か有ればよろしく頼むよ、兄さん。」


「そりゃ任せておけ!」


「本当にナビル兄さんは戦いが好きっすね。疲れるだけなのに何がいいんだか・・・。俺みたいに平和を愛する獣人にならないっすか? 楽しいっすよ。」


「サミュエルはそれで良い。俺が敵をぶっ潰してやるから、ゆっくりしていろ。」


そんなことを話していると、今までで一番の大軍が現れた。

それは、今まで見たこともない数のモンスターであった。

いや、高萩市の海岸線での戦いに近い数かな?・・・それ以上かもしれない。


「ジェイド、サミュエル、今までの倍。・・・・いや、それ以上の数がいるぞ気を引き締めろ。」


「何かの罠かもしれないね。これまで通り魔法攻撃を中心で攻めて見るから、ナビル兄さんも一旦後方で待機していてくれ。」


「じゃあ、俺も後方待機っすね。」


「とりあえず、ジェイドはフーマへ連絡入れとけ!もしかすると、援軍を依頼するかもしれないとな・・・。俺たちが撤退するとこの数が、領地へ押し寄せて来るだろうからな。」


「わかったよ。それにしても敵さんは凄い数ですね。1,000に対して10,000近くいるから、流石に火力が足りない気がするよ……。」


〈対戦状況〉

俺 1,000体 vs 敵 約10,000体



そして、敵モンスターが黒い波となって押し寄せてきた。

魔法攻撃で敵はどんどんと被害を受けていくが、そんなのお構いなしに攻めてくる。

敵が全滅する前にこっちの前衛を数の力で粉砕しようという作戦なのだろう。


「まあ、この状況だとそれが最善の手かも知れませんね。ナビル兄さん、作戦変更です。前線へ行って敵の殲滅をお願いします。ただし迎え撃つだけにして下さい。間違っても敵陣まで乗り込まないで下さいね。」


「いいねぇ〜。そうゆう作戦変更は大賛成だ!じゃ、ひと暴れしてくるぜ。」


「サミュエルは右翼のサポートへ向かって下さい。僕は左翼のサポートへ向かいます。」


「了解っす。」 


思ったより敵の戦力が大きく、こちらが殲滅されるスピードが早かった。


「こりゃちょっとヤバそうですね。前衛が抜かれる可能性があります……。」


僕は左翼のサポートを止めて、一旦中央へ戻り撤退のための準備へ入る。

後方にまでで敵が回り込んで来ており、こちらを外に出させないつもりのようだ。


本当に敵の手が休まらない、かれこれ30分以上猛攻を受けている。

敵を5〜6,000体ほど討伐したが、次から次へと補充されて開戦当初と変わらない状況だ。


下手すると開始当初より敵の数は増えているかもしれない。

更に玉砕覚悟の特攻隊であり、こちらの被害もいつも以上に大きい。


ナビル兄さんを呼び寄せて後方への退路を作るか悩ましい所だ。

なぜなら、最も攻撃が集中している正面から兄さんが抜けてしまうと、一気に前衛に穴が開きかねない状況だからである。


「っちぃ〜どうする……ナビル兄さんを呼ばないと後方に退路を作れなさそうだ……。僕が兄さんと交代して正面を受け持つか……それしか無さそうだな。」


考えている間にも次々と兵士が減っている。

敵もこの1時間内で決着を着けるためになり振り構わずに特攻してくる。

ナビル兄さんの元へ駆け寄り僕と交代する様に指示を出した。


「いや、この敵の勢いじゃあ、お前だけで正面は抑えられない……下手すりゃあお前は死ぬぞ・・・。」


「やっぱりそうか……僕の見立て通りだよ。ただし、このままだと全滅してしまうからやっぱり兄さんには退路を確保して欲しい!」


「何言ってんだ、だったやる事は一つだな。俺はここで正面を阻止するからお前は中央に戻って、前衛の崩壊を阻止するために全体に指示を出してろ!」


「何言ってんだよ、そんな事していたらいずれ全滅だよ!」


「わかってないのはお前の方だ。あいつフーマを信じろ…。」


「・・・・・そっかそうだね。了解わかったよ。」


僕はすぐに全体の指揮のため中央部へ戻った。





〜風馬side〜


時間を遡る事30分ほど前。


中央部隊のジェイドから相手の様子がおかしいと連絡を受けて、各部隊の状況を確認すると南側のヒデさん達の相手もかなりの数が身構えている事がわかった。

中央部隊の戦闘が始まってから遅れる事10分ほど、南側でも敵の猛攻が開始された。


撤退の指示を出すか迷ったが、静香さんたち門下生や如月一家の力量も測る戦争であるため、彼らに判断を任せた。


そこからは、中央部隊と同じ様に敵の玉砕覚悟の特攻攻撃が始まった。

ジェイドたちもヤバそうだが、ヒデさんたちの方が状況が悪そうだった。


「奈緒、ミレーネ、南側のヒデさんたちが結構ヤバそうだから窮地に陥る前に対処しに行くぞ!」

「シズカたち大丈夫かしら?」


「まだ、そこまで危機的な状況では無いが、他所のフォローなどを考えると早目に手を打っておこう!」

「それが良いと思うわ。」


「ナビルたちもヤバそうよ。早めに南側を対処して中央の応援に行きましょう!」

「良し行くぞ。」


そして、すぐにヒデさんたちが占領している領地へ入り、ヒデさんたちの背後に取り付いている敵を殲滅していった。


「大丈夫ですか、ヒデさん。」


「風馬くん、ありがとう助かったよ。この数量を叩けば相手に大規模なダメージを与えられると思ってちょっと無理をしてしまったよ。」


「無事なら何よりです。」

「風馬くーん!(ドカッ)」

「い、痛いよ、静香さん。」


こんなキャラだったのだろうか、いきなり静香さんが俺に抱きついてきた。

ただ、胸のクッションのお陰で痛気持ちいい…。


「助けに来てくれたんでしょ!流石、理沙師範の弟ですです。」


ねーちゃんは関係ないと思うが…まあいいや。


「それより、早く行きますよ!」






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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・セフレ : 1人 笹野静香(恋人公認)

・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲








<他作品>

最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489


よろしければ、ご覧ください。




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