第81話 中郷町(4)
〜高木真一(空列激新団)side〜
俺は空列激新団の結成当初からの同盟リーダーの一人だ。
今では空列激新団も、13同盟で計62人のプレイヤーが集まる大所帯となった。
特にここ数ヶ月で、5同盟が加盟して人数も一気に増えた。
それも南中郷駅方面から避難してくるプレイヤーが増えておりその影響である。
例の『深緑の妖精』が暴れまわっているせいでこの状況に陥っている。
北茨城トップ会談でたかが同盟で選出された力は確かなのかもしれないが、4名のプレイヤー数だけである。
大きな連合との戦闘は行っておらず、同盟同士の戦いを繰り返して、中郷町の東半分をほぼ占領している。
油断できない点といえば、プレイヤーを従属契約しており、その中に有能な配下が数名いるらしいということだ。俺たちと同じように従属契約を有効活用しているようだ。
しかも、異世界人である獣人やエルフまで配下に加えているそうだ。
何度も異世界陣人たちを配下に加えようとしたが、今まで仲間に加わることは無かった………どうやったらそんな事ができるのか不思議である。
『深緑の妖精』の北茨城トップ会談でのやり取りが気に入らなかった。
たかが小さな同盟の分際で俺たち巨大連合と対等な条件での協定を提案されるなど……しかもそれを逆に断っている・・・まあ、それも近々でお終いである。
我が『空列激新団』が『深緑の妖精』を踏み潰して、中郷町を統合し・・・北茨城市の統一への足がかりとするのだ。
単独の同盟がここまで領地を拡大してくれたのは大変助っている。
1つの同盟だけ潰してしまえば、あとは簡単に中郷町の東側半分を手に入れられるからだ。「フハハハァァ。」笑いが止まらない。
しかし、現実は全く俺たち連合軍の想像と違っていた………。
最初こそ領地を取って取られてを繰り返していたが、10日も経ったいまでは全領域で後退させられている。
何といっても相手のマジシャンによる魔法攻撃が強力で全く対抗出来なかった。
唯一良い勝負をしているのは、魔力特化型プレイヤーが多くいる北側の戦地である。
それでも、マジシャンの数が全く違うため歯が立たない……。
「どうしてこんな事になったんだ。全戦地で劣勢が続いているじゃないか!!こんなはずでは無かったのに……。」
俺は同盟員へつい怒りのあまりにあたってしまった。
「そんなこと言うなって、みんなだってこんな事を誰も想像出来なかった訳だし……。だが、これからどうする?このままだとジリ貧だぞ。」
「ああ、そうだな。みんなすまん……。」
「なんでマジシャン系のモンスターが仲間にいるんだよ。防御側にもマジシャン系が混じり始めて、全く占領できない状況だぞ。」
「しかも、今日も1人連合員がやられてしまった。これで合計5人の被害が出てしまたぞ・・・。」
「・・・・とりあえず、最悪の事態も想定して後退できるように後方の領地確保を進めるべきだろうな。」
「確かにそうだな。厄介なのは磯原町の西に広がる無法地帯だ。異世界人との戦場で下手に手を出すと、逆に標的にされて反撃を受けて、挟み撃ちの形になるから注意が必要だよな……。」
「・・・そうなると、高萩方面の山中へ逃げるか、磯原町の東側に行くかどっちかだな。」
「考えられることは想定しておいた方が良いだろうから、各自いろいろと考えておいてくれ。」
「「「OK(了解)。」」」
それにしても、みんな連戦連敗で指揮がだだ下がりである。
何か打開策を見いだせないとこのまま、他所へ逃げることになってしまう…。
折角中郷町でここまで大きい連合を育てたのに・・・どうしてこんなことに。
そんな中、この状況を打開するために1つの案が提案された。
「なあ、このままだとどうせ敗ける可能性がある。ここは一勝負出ないか!」
「何か良い手があるのか!?」
「良い手って訳ではないが、どうせこのままずるずると行くより、何か手を打てないかと思ってな。俺たちが受け持っている中央の敵が最もプレイヤー数が少ない3人だ。そこで、この中央の3人をぶっ潰すのに全勢力を集中する!!」
「全勢力をぶつけるとか大きく出たな……でもそうでもしないとここは打開できないかもな。どうするみんな?ここは腹を括る場面だぜ。」
「そうだな、俺はこの作戦に1票だ。このまま、おめおめと尻尾を巻いて逃げ出すのも性に合わない。」
「俺もだ。」「私も。」賛同者が増えて行き、塞ぎきっていた連合体の集会場にも少し希望が出てきた。
この敵の中央部隊を倒せば、きっと何か流れが変わる、変えられると信じて……。
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おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒
・セフレ : 1人 笹野静香(恋人公認)
・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲
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