第75話 新戦力(2)
〜笹野静香side〜
なぜこんな事になったのだろう……。
急に雷太くんが襲ってきて、私達と雷太くん達とで戦争になってしまった……。
これは私達と雷太くんとの戦争であって、葛城道場と如月道場の戦争では無い・・・、理沙師範へ迷惑を掛けられないので、もちろん相談はしていない。
「みんなごめんね。何か如月雷太くんがまた絡んできて、いつもみたいに断ったのだけど、何故か今日は俺の女になれなどと襲ってきたのですです。」
簡単に同盟のみんなへ事情を説明した。
「「「「雷太ってやつは、お前の事好きだろうからな……。」」」」
「っえ、そうなのですです?」
「お前今まで気づかなかったのか?」
「そうなのですです…。」
「誰だって気付くだろう……まあ、それは置いといて、厄介な事になったな。」
「あぁ、馬鹿とは言え、如月雷太は結構手強いぞ。しかもあっちには20人ほどのプレイヤーが集まっている。」
「静香のいう通り、これは俺たちの戦争だから、道場同士の争いまで拡大させて師範に迷惑をかけたくない……。」
「わかっている。まず後方のこのポイントに分岐点を作っておいてくれ。ピンチの際はこの場所を捨てて主拠点を移動するぞ!中郷工業団地だと師範にも影響が及ぶ可能性があるから、このポイントにしたがいいか?」
「「「「いいぞ(いいですです)。」」」」
流石、如月道場の門下生達である今まで戦ってきたプレイヤー達とは、一味も二味違う。強プレイヤーがモンスターを引っ張って戦う事により、モンスターたちも勢いに乗って攻め込んで来る。
そんなプレイヤーが20人ほどいるのだ……。
土地確保で発生する保護期間(6時間)をうまく使いながら、相手の進行を遅延させるのが精一杯といった感じだった。
プレイヤー同士の対決でも1対1の戦いに持ち込めればこちらに勝機があるが……流石に相手も馬鹿ではない。
敗ける可能性が高いのにこちらの作戦の乗ってこない。どこの戦場でも1対多数の戦いとなり数の勢いで押し切られるため、逃げるので精一杯の状況だった。
一日一日と徐々に領地を奪われていってしまう。理沙師範との稽古を休んでいるので、師範から連絡が来るが何とか誤魔化している。
そしてとうとう、念の為に用意しておいた避難用の分拠点へ主拠点を移動させて退避したが、そこに雷太くんたちが辿り着くのも時間の問題となった。
〜如月雷太side〜
「もうそろそろで、静香さんが俺の物になる…。」
笑いが止まらない。
「やはり、如月道場一門は最強だな。今の勢いなら、あの葛城(五十嵐)理沙にも勝てるのではないか!」
「そうですよ先生。この世界になって我々はかなりの力を付けました。葛城道場を潰すのも可能だと思います。」
「「「私も同じです。」」」
門下生達がみんな賛同してくれて、更にやる気が満ちてくる。士気も高い。
「葛城道場は高萩なので移動するにはいろいろと障害があるでしょうが、我々ならやれますよ。」
「そうだが、まずは目先の事に集中しろ!静香さんが俺を待っている。」
「………そうですな。まずは彼らを従属契約させて更なる力をつけましょう!」
「未来の同胞となるのだから、殺しはするな。力を示して、上手く逃げていける様に誘導し追い詰めろ!」
「「「「はい。」」」」
それから数日かけて、着実に静香さん達を追い詰めて行った。明日、明後日には相手の主拠点へ手が届く位置まで進軍している。
もちろんこちらのプレイヤーに被害は出ていない。相手のプレイヤーも怪我を負わせているが、死者を出しておらず上手くいっている。
そして、最後の仕上げとなる日の当日がやって来た。
「先生、やっとここまで来ましたね。あと一押しです。」
「ああ、みんなも協力ありがとう。これから更なる仲間を得て、この如月連合の力が更に増すだろう。」
「「「「おぉ〜。(パチパチパチ)」」」」歓声と拍手が鳴った。
俺は先陣をきって皆を引き連れながら、静香さんの主拠点へと入り占領を使った。
中へ入ると数千のモンスターが待ち構えており、襲ってきた。俺たちもモンスターを先頭にして消耗戦を繰り広げる。
相手は5人なので、モンスターの総数も全く違っている。こちらはモンスターが減れば20人で交互に随時補充していく。
1時間経過して1度解放領域から強制退場となったが、すぐさま占領を行いまたモンスターの殲滅を行う。
この繰り返しで半日ほどが経過すると、相手のモンスター数も少なくなってきて、相手プレイヤー自身が前線に立って戦う様になった。
「そろそろ仕上げと行こう!一旦モンスターを後退させろ。」
門下生達へ指示を出してモンスターを後退させて、俺たち自身が直接静香さんたちの方へ向かって行った。
静香さんたち葛城門下生の5人は至る所に傷がありかなりの激戦を物語っている。
「静香さんそろそろ諦めたらどうですか?俺と従属契約して、俺の女として共に生きていこうではありませんか!そうすれば、彼らも助けて差し上げますよ。どうしますか?」
「「「「「……。」」」」」
相手は互いに顔を合わせて、何か考えている様に感じた。
「私たちにその決断はありえません。これが答えです。」
そういうと各々短剣を取り出した。
すぐにこちらも剣を構えて身構える。
ただし、虚を突いて攻撃する訳でもなく、沈黙があり・・・・次の瞬間、真っ赤な血が舞った……。
そして、5人は共にその場に倒れ伏した……。
すぐに静香さんの元に駆け寄り身を起こすが、反応がない…。
静香さんも周りの人も腹から血を流して倒れている。
「切腹するなんて……何で……何でなんだよ。」
すると、部隊の後方からこちらへ向かって凄い音をたてながら砂煙が迫ってきた。
「今度は何が起こっている!」
「ぐあぁ〜。」「うぎぁ〜。」などと仲間たちの悲鳴も聞こえ、阿修羅がそこに現れた。
俺は静香さんを地面に寝かせその阿修羅の方を向いたのだった。
それは凄い気迫を放っていたので阿修羅だと見間違えたが、葛城(五十嵐)理沙だった……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒
・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます