第69話 北茨城市トップ会談(1) <2031年8月>


2031年8月某日。

北茨城市の大体の人口は以下の状態だ(田中家調べ)。


【北側】大津町・関本町 約3,000人

【中央】磯原町・華川町 約4,000人

【南側】中郷町     約2,000人


斉藤くんが加入してから約3ヶ月が経ち、中郷町の領地拡大もかなり進んできている。


南中郷駅は海岸から500m程度しか離れていなかったが、現在、内陸1.5kmの地点(中郷第二小学校を越えてた辺り)まで領地の拡大に成功した。


そして、中郷町の海岸線はほぼ全て占領することに成功している。1つの同盟にしては、かなりの大部分を占めていることになる。


しかし、中期的な目標は北茨城市の統一なので、このまま手を休める事なく中郷町の領地拡大に力を入れる。


因みに【配下】重視の仲間探しの件は、斉藤くん以外の候補者とコンタクトを取ったが結局誰も仲間に加える事が出来なかった。


同盟の加入は残り1枠であり、慎重に考える必要がある。





◇◆◇◆◇◆◇◆


〜???side〜


俺は北茨城市にある某連合に所属している。

これからこの一帯を我らのものにする為に大型の同盟・連合と敵対関係になるのは良くない。


少しでも有効な関係を築くために今のご時世ならではのチャット会談を計画している。本当は面直で会談をしたいが全員が1つの場所に集まるのは物理的に不可能に近い。実施したとしても、効果に比べて時間も手間もリスクも大き過ぎる。


携帯やパソコンのテレビ電話機能が使えれば良いが、この世界になってから電気を発電出来るが、によって通信関係だけが使えないのだ……。


これのについて、エンジニアたちが研究を続けてたが、解決に至っていない。


この不思議な力をどうにか看破できれば、様々な情報技術を使えるのだが、実に悔しい。



このチャット会談のため、すでに数ヶ月前から北茨城市内の各地域で同盟・連合の絞り込みを行なっている。


その最終的な絞り込みが最近になり完了して、後はそれぞれの同盟・連合メンバーへ連絡をして参加の可否を確認するだけだ。


まあ、この調整は別の者に頼んであるので、報告を待つだけであり、その結果がこの様になった。


【北側】大津町・関本町 3連合

【中央】磯原町・華川町 5連合

【南側】中郷町     1連合、1同盟


中郷町だけ同盟が含まれている。


『深緑の妖精』という同盟がここ数ヶ月でいきなり中郷町へ現れて、急成長を続けている。高萩市から追いやられてきたとの事だが、今では中郷町で結構な領地を確保している。


「チャット会談の調整ありがとう。この機会を十分に生かして、この北茨城市10同盟・連合で強固な関係を少しずつ築いていきたいな。」


「そうですな。今回の会談を調整する際に直接会える連合とは、なるべく直接会って調整を行いましたので、多少顔がつながりました。」


「それは何よりだな。」

「今後も直接会っての調整は信用を生むから続けてくれ。」

「そうですな。」


ここには我が連合の数名が集まっている。


「では、今回のチャット会談の目的と落とし所だが〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」


それからいろいろと議論がなされ数時間後・・・。


「では、会談の落とし所を決めたことだした、これからもよろしく頼む!」


「「「「「我が連合に幸多からん事を」」」」」





〜風馬side〜


順調に中郷町制覇へ向けて動いている、今日この頃。


何やら変な連絡が涼真さんへ入ったとの事で、夕方に俺の家に集まる事になった。涼真さん、ねーちゃん、斉藤くんが集まって話を進める。といっても、俺ん家なのでミレーネや奈緒も同席している。


ミレーネは外から戻ってくるなりお風呂に入って汗を流して、髪が半乾きのバスローブ姿でダイニングへやって来た。


恥ずかしいのでそんな格好でこの会議へ参加しなくても良いのに……。


「それで変な動きってなんだったんですか?」


「その事だけど、北茨城市のトップ会談へ参加してくれないか?との連絡があったんだ。中郷代表としてだそうだ。」


「華川代表じゃなくて、中郷代表なんですね。」


「領地に関しては、コンタクトをしてきた人もウチの同盟のすべてを把握していないのだろう。まあ、それは仕方のないことだよ。」


俺と涼真さんが話を進めているところで、奈緒が質問してきた。


「それで、そのトップ会談へは参加するのですか?しないのですか?」


「まあ、どうするか決めかねているよ、それでみんなにも意見を聞きたくて集まってもらったんだ。」


「私たちの意見を聞きたいと言っても、涼真の意見はどうなのよ?」


ねーちゃんが言い放った。


「まあ、僕は参加しても良いかなと思っている。全員集まって面直で会談するなら、何か罠があるかも知れないが、今回はとなるらしい。特に会談への参加に対して、デメリットは感じられないし、良いかなと。」


「チャット形式ですか、・・・・まあそれなら危険も無さそうですし良いと思います。」


俺は涼真さんの意見を肯定した。

質問をした奈緒も首を縦に振っている。


「こんな大それ事をしているのだから、相手の目的が何なのか早く知りたいしね。」


「斉藤くんは何かあるかい?」


「何かこちらの情報を探ってくるようなら警戒すべきと思います。」


ちょっと小声だったが、みんなちゃんと聞こえている。これでもずいぶんとマシになった。最初は本当に聞き取れなかった。彼も彼なりに頑張って馴染もうと努力している。


「それは言えてるね。」


「それで、会談の構成や日時は、もう決まってるんですか?」


「ああ、これが北茨城市のトップ会談のリストだよ。」


涼真さんは1枚の紙を用意しており、テーブルの上に広げた。簡単な情報のみ載っている。町名と同盟・連合名程度だ。


構成員やどのあたりに領地を構えているかなどの情報は載っていない。


まあ、気心しれている中ではないので、大ぴらに情報を流されても困るし、そんなのが主催者だったら・・・先が思いやられて参加すらゴメンだな。


「会談に選出された理由までは教えてもらえていない。その辺りの情報はデリケートだから、仕方ないと思う。」


「田中さんたちに可能な範囲で調べてもらいます。とりあえず、今ところ急ぎのミッションを与えていないので、可能な範囲でやっておきます。」


「風馬くん助かるよ。」


そしてある程度話を終えたので、家で夕飯を取って解散した。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲



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