第67話 同僚



斉藤くんが『深緑の妖精』に加入してから数日後、守備の面から主拠点を華川町へ移してもらった。


そして、モンスターの量産に入ってもらうために最も重要なのは、DP獲得量だ。


そのため、早速領地の確保を進めてもらっていた結果、同盟へ加入した当初と比べてDP獲得量が大幅に増えた。


D級モンスターに鉄シリーズ装備(D級)をさせて、無理なく次々とlv3の領地を獲得させている。


大幅に増えたDP獲得量が毎時あたり250DPをすでに超えており、一日辺り20〜30体のD級モンスターの召喚を行っている。


ただ、斉藤くんがまず目指すのは、レベル5になってCランク配下モンスターの量産だ。


斉藤くんは【配下】へポイントを極振りしてるので、レベル5でクラスチェンジと合わせて、【配下】をC級まで上げられる。


そのタイミングで防衛力が強化されることはもちろんだが、多方面へ侵略の幅を広げることができ、更に魔法攻撃が可能なモンスターの召喚により、戦術の幅が大きくなることが期待される。




◇◆◇◆◇◆


今日は斉藤くんが活動していた中郷工業団地付近の散策をしている。


ここは、俺が1年近く前まで勤めていた会社がある地域である。結構懐かしい……。


【地図】で確認すると、フリーの土地が無くなっている。


この前のフィールドボスの戦いで結構な被害が出ており、プレイヤーも結構な数亡くなっていたのだが、この短期間ですぐに領地が確保されている。


その影響で土地の獲得争いが多発しているようだった。


この中郷工業団地でのフィールドボス討伐の知らせは、地域チャットで共有されており、葛城道場の師範が討伐したと知れ渡っている。


それなので、中郷工業団地で【深緑の妖精】の領地に手を出してくる者はここ数日ではいなかった。


人の噂も七十五日と言うし、2〜3ヶ月するとどうなるか分からないが、まだこの辺りの防衛には余裕があるだろう!そうは言ってもちゃんと防衛のモンスターは配置してある。




斉藤くんの領地が、俺の勤めていた会社の近くにあったので、ふと会社まで行き少し遠目から眺めていた・・・。流石に護衛がいないのはまずいので、多少のモンスターを連れている。


それに警戒したのか、会社から人が数名とこちらの数以上のモンスターが現れた…。


「そこで何をして……!」


「よう、久しぶりだな。元気にしてたか?」


「風馬なのか!生きてたか・・・良かった。・・・・こっちは大丈夫だ。コイツは製造部の同僚だよ。」


和也元同僚はそう言って、一緒に連れてきた仲間を帰した。


「ここに和也が居るとはな……。みんないるのか?」


「いや、ここに集まった会社の奴らは20人ほどで、会社全体の約1割ってとこかな。自然と集まって獣人たちと戦っているよ。」


「そっか、俺は華川の山中に拠点を置いちまったよ。あんな夢見たいな出来事、誰も信じられる訳ないよな…。良く釣りやキャンプしてた華川が良いと思い設定しちまった。……来れなくてすまんな。」


「いや、最初の設定は夢だと思うもんな……。俺はニュースなどで少し情報が上がって来てから、チュートリアルを開始したから、いろいろ考えて行動出来たよ。・・・ある程度電話が使えるうちに連絡を取り合って、同盟を組むことができたよ。」


「それはよかったな。この辺りは他のプレイヤーの動きとか大丈夫なのか?」


「まあ野蛮な日本人はあまり居ないな。ただ、獣人との戦いが多発していて、何人かその戦いでやられちまったな。三越さんもな……。」


「っな!!三越さんがやられちまったか…。」


「ああ、最後はみんなを逃すために殿をつとめて亡くなったよ。あの人らしい最後だったよ……。」


「そっか、責任感があって後輩たちの面倒見が良かったもんな。俺もかなりお世話になったわ。」


「俺もだ。最後の最後まで世話になっちまった…。」



和也は空を眺めて何か思い出しているようだった。

俺も同じく空を眺めた…会社の仲間との日々を久しぶりに思い出していた。


「そういえば、この前この辺りに出現したボスを倒してくれたのってお前のお姉さんなんだろ!」


「まあ、そうだな。俺も居合わせたが、ねーちゃん1人で倒しきったよ。」


「っな!…そりゃ凄いな。」

「そうだろ…戦闘狂だから異常なんだよ。」

「まあ、そっちも元気でやってそうだな!」


「「…………。」」


「まあな。ところで、話は変わるが和也たちの当面の目標ってどんななんだ?」


「何だ急に真面目な話を持ち出して……。まあ、俺たちは日本人で団結して異世界人をやっつけたいと思ってるよ。一応、ここの周りでいくつかの同盟と合わさって連合として動いている。」


「そっか…異世界人にも話の分かる奴らがいるが、話し合いで解決にはならないよな〜やっぱり。」


「・・・・いろいろあったし、話し合いで解決は無理だろな…。異世界人にもいろんな人がいるだろうから、話の通じる異世界人と話し合いをするのは藪坂じゃないが、今のこの辺りの奴らじゃ無理だろうな。 それほど互いに多くの犠牲を生んでいると思う・・・・。」


「そっか、まあ俺の目的はゆっくり平和に過ごす事だから。そのためにまず北茨城の統一だな。」


「っぉお、大きく出たね〜。こっちとしてはあんなフィールドボスをやっつける様なお姉さまがいる所と争いたくはないから、友好的によろしく。」


「まあな、俺も知り合いと争いたくは無いから、友好的によろしく。」



軽く握手をした。


「そういえば、さっき一緒に来てたのって、お前が気になってた総務課の秋田さんだろ!?一緒の同盟になったてことは、何か進展あったのかよ!どうなんだ!!」


「ああ、そのことだが……………じゃ~ん。」


和也がを見せてきた。

そこには、薬指に指輪が輝いていた。


「おお〜やったじゃんか。あの子可愛いし気が利く良い子だから人気あって、狙ってる人が結構いたからなぁ〜。って、秋田さんじゃないとか言うオチはいらないぞ。」


「実は、秋田さんじゃないんだよ〜〜〜〜ってなのは冗談。秋田さんと付き合ってるんだ。いいだろ?ってお前はどうなんだ? まだ、学生時代の子を引きずってるのか? 結局、智子ちゃんともそれが原因で分かれたんだろ……。」


「それがよぉ〜人生って分からないもなだな……。」

「どうしたんだよ、意味ありげな話し方しちゃって。」

「俺もよぉ〜〜〜〜〜〜じゃ~ん。」


俺も和也に習って右手を顔の前に持っていき見せた。

そこには2がハマっていた。


「おお〜〜って誰なんだ?俺も知ってるやつか?」


「お前も1話だけ知ってるやつだな。・・・・・・・実は、その学生時代から好きだった子と偶然出会って、それで付き合うことになった。」


俺はいまどき古いかもしれないが、ピースサインを出して嬉しさを表現した。


「どういった経緯かはさておき良かったじゃないか!!後で聞かせろよ。って、聞きづてならないのだが、1人はってどうゆうことだ?」


「それは、つまり、一夫多妻性を目指しているということだ。成り行きでそうなってしまった……。」


「ななな、なんですとーーーー。そんな事がこの日本で許されるのか!!ありえないだろう!!」


「なんと言ったらいいのか……。無理やりってわけじゃなくて、奈緒もミレーネも認めているわけで……。そこは、上手くいっている感じだ。」


「しかも、もう1人は外国人かよ!あとで紹介しろよ。」

「まあ、外国人ってか……………〜〜人だ。」


和也は俺の声が聞き取れなかったのか、聞き返してきた。


「んん?小さくて聞こえん。」

「だから、異世界人だ。しかも、エルフだ!!」


「はぁ〜〜〜なんだそりゃ。どうなっている!!異世界人とは同盟を組めないはずだぞ。」


「だから、配下に加えたってわけなんだよ。だからって無理やり関係を迫ったてことじゃないぞ。相手の境遇もあって、まあ、いろいろあったんだ。しかも・・・・・超〜〜〜絶美人だぞ。」


「なんだそりゃ〜〜〜ズルい。」

「お前には秋田さんがいるじゃないか!!」


その後も暫く世間話やら情報交換を行なって解散した。




そして、その夜は、なぜか奈緒とミレーネを別々に2人ともたっぷりと堪能したくなって心行くまでイタダキました。





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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲



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