第62話 候補者(3)
〜斉藤和人side〜
僕達はさっきのバスケットボールほどの物が何なのかを知ることになった・・・・。
それは、愛華の頭だった…。
「愛華ぁ〜〜!よくもよくもよくもー。」
昌光が我を忘れてバケモノ目掛けて向かって行った。
怒りで萎縮はしていないためか、かなり押されてはいるが何とかバケモノの攻撃を躱しながら攻撃をしていた。
「昌光は凄いな。これはイケるんじゃないか、フォローするぞ!」
「そんな訳ないだろ。昌光戻れ、逃げるぞ。」
一郎が倒せそうなどと言い始めたので、慌てて引き止めるが僕の声が届かなかった。
彰も愛華が死亡したことを受け入れられないようで混乱しており、俺の声が聞こえていない様だった。
冷静になって考えれば逃げの一手であるが、同盟員を見捨てていける訳がない…。残りの配下モンスターを敵へ向けて攻撃させた。
少しでも敵の注意を引いて、昌光達の負荷を減らして、こちらの攻撃が当たるようするためだ。
配下モンスターをボスへ突撃させるだけでも、ボスの片方の頭の注意を引くことができた。出来る限り仲間のフォローを続けるだけだ。
「ウィンドカッター!」彰が遠方から魔法攻撃を仕掛ける。
「ウリャラララー。」一郎がボスの側面から攻撃を仕掛ける。
一郎の攻撃に合わせて昌光も攻撃を仕掛ける。僕のモンスターを背後と正面からボスへ突撃させる。
ボスは四方からの攻撃を捌きながら、昌光と一郎へ余裕で反撃をおこなっている。
ボスは全く疲れを見せていなかったが、次第に昌光が疲れを見せ始めボスの攻撃を捌ききれずにとうとう鋭い爪を腕に受けてしまった。
「うがぁーー!」
昌光が左腕に重傷を負ってしまい、おびただしい量の血が辺りに飛び散っており、まともに動ける状態でない。
「昌光〜逃げろ。」
一郎が叫ぶが、その言葉は彼に届かなかった。昌光は右腕もまともに動かせなく、立っているのがやっとの状態だ…そこへボスの爪が深々と昌光の身体を突き刺した……。
僕は、ありったけのモンスターをボスへぶつけて時間稼ぎを行う。
「みんな退避しよう!一旦引くぞ。」
再度、僕はみんなへ声をかけてる。
3人で全力で逃げる…脇目も振らずに逃げる。
ある程度ボスと距離を取ることが出来たが、モンスターの残りがほぼいなかった。
「早く拠点へ戻って一旦冷静になろう。それからどうするか考えよう。」
「そうだな……。」
「わかった……。」
2人ともすでに心が折れており、ギリギリの状態だった。足取りが重いまま拠点へ向けて警戒しつつ動き出した。
「嘘だろ……。」
「何でいるんだよ…。」
「……。」
バケモノは、クンクンと鼻を鳴らしながら薄気味悪く、ニタリと笑った仕草をみせて目の前に佇んていた……。余裕の表情だ。
「たぶん匂いだ!獣だから鼻が人間よりかなり効くんだよ……。」僕が推論を喋った。
「そんなのどうやって逃げればいいんだよ。」
彰が取り乱したが、そこへ少し落ち着いた一郎が覚悟の一言をいった。
「もう、俺たちも腹を括るしか無いな。昌光と愛華の分も最後の勝負に出るぞ!」
「……やるしかないか。」
「お前たちとここまでやってこれて楽しかったぜ!来世でもよろしくな。」
一郎、僕、彰の順に言葉を発した。本当に気持ちの良い仲間に恵まれたと心から思う。
「行くぜ!うおー!」
そこからは一方的であった。
一郎が散り、彰が散り、最後は僕の番だ。すでにボスは僕の存在に興味が無さそうだった。
右腕を振り上げてそのまま僕へ向かってきた、奇跡的に何とかボスの攻撃を剣で受けとめられたが、勢いは殺せずに左腕はグチャグチャで使い物にならない、何とか痛みで意識を保っている状態だ。
ボスはそんな僕にとどめを刺すためにゆっくり接近してくる。最後にみんなの分も一矢でも報いたく残りの右腕で剣を構える。
「こんちきしょ〜!」
そのとき突然、僕の目の前に凄い勢いで可憐な女性が現れて、ボスの攻撃を受けようとしていた。
「危な〜〜い。」
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おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒
・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲
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いつもご愛読ありがとうございます。
現代ファンタジー週間ランキング【41位】となりました。これも皆様のお陰です。重ねてありがとうございます。
今後の執筆活動の頑張り甲斐のためにも、お手数ですが、☆評価およびブックマークを頂けましたら幸いです。
これからもよろしくお願いします。
<他作品>
最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489
よろしければ、ご覧ください。
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