第53話 巨大な木(3)

*訂正のお知らせです。


【支援スキル】の内容を一部変更しました。

 本編に影響はありません。

 興味があれば、「世界のルール等」(7話と8話の間)の章をご確認下さい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ねーちゃんたち3人がフィールドボスへ向かって駆け出した。


俺は慌てて気休め程度かも知れないが、【支援スキル】を使用して、ねーちゃんたちを追う様に走り出した。


〈対戦状況〉

俺 6人 vs 敵 巨大な木のバケモノ1体



ねーちゃんとヒデさんが臆する事なくフィールドボス目掛けて掛けていった。

巨大な枝が左右から2人に襲いかかるが、それを難なく躱して枝へ一撃を入れる。


ただし、ねーちゃんたちの攻撃は、フィールドボスへあまりダメージ喰らわせられなかった。かなり物理防衛力が高い様だ。

2人は次々と攻撃を決めおり、手数で勝負している。




ナビルは獣人の身体能力の高さを生かして左右からの枝攻撃へカウンター気味に鉄のナックルを合わせていく。流石【力】がC級まで上がっている猛者である。


巨大な木のバケモノの攻撃力にも負けていない。木の枝がナビルのナックルにより徐々に削られている。



ミレーネは火矢を使って木のバケモノへ攻撃をしている。

奈緒も遠距離からファイアアローやファイアボールで攻撃をしている。


火系の攻撃は思ったとおり、木のバケモノの弱点らしく、明らかに嫌そうにしている。フィールドボスに火系の攻撃が当たると一瞬怯んだりして隙が生まれる。


奈緒たちが攻撃に夢中になって木のバケモノに近づき過ぎると、根っ子攻撃が来るのでそれだけは注意が必要だ。そこは俺が声を掛けて注意を促す。



そして、そろそろ俺も本格的に攻撃へ参加してみることにした。


ねーちゃんたちが木のバケモノと正面から対峙しているので、俺はボスの背後から近づき枝を切り落とすように全力の一撃を放つ。


「天下一刀流 兜割り(ターゲットが腕バージョン)」


「ブギアギイイイイイイーーー」


フィールドボスは俺の存在に全く気づくこと無く、俺の渾身の一撃を受けてしまった。

木のバケモノの叫び声と共に、木の枝がズドンと地面に落ちた。


俺の【力】もナビルと同じくC級であり、天下一刀流の中でも力技である『兜割り』で隙を突いたので、一撃で枝を斬り落とせた。


斬り落とされた枝の根本からは、緑色の樹液のような液体が流れ出している。


フィールドボスは激痛に悶えるかのように暴れており、見れば至る所に細かな傷が出来ており、そこからも緑色の樹液が流れていた。


戦闘開始から1時間近く経ち、明らかにフィールドボスの動きが落ちている。微小かも知れないが、そろそろ支援スキルの効果も切れてしまう・・・その前に何とか倒しきりたい!


そして最後に俺の放った「天下一刀流 兜割り」の一撃で、フィールドボスを真っ二つに両断して、決着が着いた。


「やったな・・。」


「最後にいい所をフーマに取られちまったな。」


「いや、たまたま最後に俺がトドメを刺しただけだろう。皆んなのお陰だ。」


「最後は私がトドメを頂こうと思ってたのに風馬に取られちゃった。」ねーちゃんが少し怒ってる。


「ねーちゃんもナビルみたいな事言うなよ。たまたま、俺が仕留めちまったけどさぁ。」


「ねぇ。皆んな〜これを見てみて!」奈緒が何かを指差している。



フィールドボスが消えて無くなった辺りの地面が光っていだのだった。


近寄ってみるとそこに5つのアイテムが出現していた。その中でも直ぐに目に入ったのが真っ黒な剣だった。


俺はその剣を拾い上げると『ルーンブレード(R)を手に入れた』とステータス画面にログが流れた。


また、『髑髏の指輪』『傷薬』なとが落ちておりそれらを拾うと同じようにステータス画面にログが流れた。


ただし、ルーンブレードの入手に興奮しており、他のアイテムについてはあまり頭に入ってこなかった。


自分でも子供かよと思うほどにルーンブレードを手に入れたことに興奮しているようだった。


ワクワクしており、家に帰るなり早速、ルーンブレードの試し切りで大木を切ってみると、全く抵抗が無く大木が真っ二つになった。


「なんちゅう威力なんだ……こりゃすげーわ。」


明らかに鉄の剣とは全く違った感触だった。C級装備を手にしていないので比較出来ないが、相当な業物だろう。




〜田中美咲side〜


父上と数体のモンスターを連れて、巨大な木のバケモノを偵察しにきている。

何人か私たちと同じ様に偵察にきているプレイヤーがいた。


たまに配下のモンスターを使って攻撃を仕掛けている者もいるが全く相手になっていなかった。それぐらいにこのバケモノとの力量に差がある。


このバケモノはいったいいつまで此処にいるのだろうか?ふと疑問が湧いた。


「ずっとこのままなら、プレイヤー同士の争いが起こらずに済むかもしれない!」


ただし、このバケモノがいつまでも大人しくしているとは限らない。

期限付きで討伐しないと、ペナルティーが発生する可能性も無きにしも非ずだ・・・。


地球人の半分をあっさりと抹殺してしまうくらいの馬鹿どもが作ったこの世界だ、どんな変な事が起きるかわからない……。



「父上、このままあなバケモノを野放しにしておいた良いのでしょうか?」


「父にも分からぬ。ただし、私たちにはどうする事も出来そうに無いな。何か弱点でも有れば何とかなるかも知れんが……。」


「……相手は木なので火遁の術を使ってはどうでしょうか?木は燃えてしまうので火に弱いのでは!」


「その可能性はあるな。ただし、確認するにしても、かなり危険が伴う任務になる…。もう少し様子を見た方が良いと思う。」


「…わかりました。もう少し様子を見ましょう。」



父上と話しをして、もう暫く様子を見ることにした。


そうしたら、みんな考える事は一緒なのか、配下のモンスターに火を持たせて突っ込ませる輩も出てきた。その結果、明らかに火を嫌がっている様子だった。



巨大な木のバケモノは私達が後をつけているのがわかっていたのか、私達の方へ向かって来るようになった。


私と父上が別れて行動すると私の方へ向かって来る。

ちょっとヤバイ展開になってしまった。私がターゲットになってしまったのだ、今までこんな事は無かった。


ある程度敵のモンスターとも距離を取っていれば気付かれなかった。


「父上、どうやら私が狙われてるようです……。」






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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 6人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒




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