第46話 海岸の攻防(1) <2031年4月中旬>



先日、『共同革命軍』との協力体制の調整も完了し、一段落ついた。


今日はlv5土地を占領するために大勢のモンスターを連れて高萩市内にやって来ている。最近はねーちゃんにもlv5土地の占領の場合に参加してもらっている。その方が配下モンスターの損害が半分以下になるので、節約のためにも必須だ。本当にねーちゃん様々である。


更に奈緒の存在も大きい。

奈緒は【魔力】を上げているので、魔法防壁を張って敵Cランクのウィザード系からの魔法攻撃を防ぐことができている。うちの同盟は、Cランクモンスターを召喚できないので、強敵である敵Cランクのウィザード系の魔法攻撃を防げる【魔力】重視型の味方は物凄く重宝している。


また、遠方から攻撃をおこない敵の数を意外と減らしているので、活躍している。【魔力D】で鉄の杖を装備しており、魔法攻撃力が高まっている。


よくあるマンガの一撃で数百〜千体の敵を一網打尽に倒すっていうのは難しい。

実際にそんな凄まじい魔法攻撃があったら……敵が使ってきたら、お手上げ状態だ。


奈緒はまだまだ発展途上なのでこれからに期待だが、いま俺と同じ戦場で戦えているのが嬉しいそうだ。本当に自分の活躍の場が出来て、生き生きしている。



そして、最近『深緑の妖精』に対して、近場のいろいろの同盟から交渉や連絡の数が急激に増えた。その内容は、「協力体制を組まないか」「どこどこの領地を譲って欲しい、交換して欲しい」などの話だ。


理由は明白、この前の『共同革命軍』と協力体制を組んだ事が原因だ。

『共同革命軍』の誰かがチャットで協力体制を組んだとの情報を流してしまってから、こんな事が起こった。


確かにこの協力体制について、守秘協定などを設定していなかった・・・。

別に隠すことでもないが、大々的に宣伝するとどうなってしまうのか少しは想像して行動して欲しかった。


そのおかげで、高萩市内でいろんな同盟から協力体制の申し出が絶えなかった。連合までの縛りは無く、条件はそこまで強くない。そんな協力体制なら結んで置いて損はないとの話なのだろう。


これは涼真さんが対応してくれているが、高萩市内の同盟と組むメリットがうちに全然感じられなかったため断っている。




そんな申し出の中に毛色が違う連絡があった。

それは、高萩の海岸線を協同で攻めないかとの誘いであった。


成功報酬は占領した領地。

報酬の分配方法はによりというものだった。シンプルでわかりやすく、戦闘狂が多いウチの同盟には好都合な状況だとも言える。参加同盟は高萩中央部の海岸を取り巻いている5同盟とウチを合わせた計6同盟であった。


ちょっと怪しい気もするが、折角の話なので参加する方向で調整する事にした。

一応、涼真さんにも相談したが、他同盟との交渉に忙しくて危なそうなことでないので最終決断を俺に任せてくれるとの事だった。

ねーちゃんは「良いんじゃないの」と結構投げやりな回答だ。


という事で、オレはオレで領地拡大を図るために動くことにした。

ここでの決断がとはその時何もわからなかった。



高萩の海岸線を協同で攻めるための話し合いで、本計画のまとめ役である『聖なる希望』と隣接する領地で簡単な作戦を確認した。


目的の場所には30代後半の男1人がいた。

他の同盟とも調整・連絡をしているようで、人手が足りておらず1人で来たとの事だった。


「今回は急な協同攻撃の作戦へ参加してくれてありがとう。俺は『聖なる希望』の亀梨だ。」


「いや、こちらこそ誘ってくれて、ありがとう。俺は『深緑の妖精』の葛城だ。俺たち単体だけだと『高萩連合』を攻略するのは大変だと思っていたから助かる。」


「どこも一緒だと思うよ。自分達だけだと難しいことは互いに協力する。お互いに利益が出るから協同攻撃を仕掛ける訳だよ。」


「そりゃそうだな。」


「状況の確認だが、今回の『高萩連合』を協同で攻めるのは6同盟だ。それぞれが近場から同時攻撃を行う手はずとなっている。『深緑の妖精』さん達はそのまま海岸線を南下して攻めてくれ。作戦開始の時間は明後日の4月15日10時だ。特に侵略に対しての決め事などは無い。各自のやり方があると思うから、それに関して口出ししない。」


「作戦はわかったが、結構急な作戦なんだな。準備期間も必要だし、もうちょっと遅らせることは出来ないのか?」


「作戦開始時間については、申し訳ないが、他所との調整もあって変更難しい・・・。すまないが、そこまでに出来る限りの準備を頼む。」



『聖なる希望』の亀梨が、ちょっと申し訳なさそうな顔をして、軽く頭を下げてきた。まあ、急遽、ウチの同盟にも声を掛けた感じだし、仕方ないか・・・。


「いや、まあ、仕方ないな。作戦開始時間は承知した。そこまでに、どうにか準備を完了させるよ。 あと、一応念のために報酬の確認をするが、撃退したプレイヤーが多ければ領地の配分は多いんだよな?それに場所は自分達の領地に近い場所を優先してくれると考えていて良いんだよな? 飛び地になるのは嫌だぞ。」


「領地の配分は、撃退したプレイヤー数が多いほど高い。あと、配分する領地の場所だが、飛び地についての配慮は大丈夫だ。 最終的には今回参加した同盟同士で調整はあるだろうが、みんな飛び地は欲しくないから大丈夫だろう。」


「わかった。ではよろしく。」


亀梨と明後日の『高萩連合』占領の確認を簡単に済ませて、何事もなく解散した。



〜???side〜


高萩市の某所。


「4月15日の13時から行動開始だ。」

「わかった。本当に大丈夫なんだろうな?」


「ああ、大丈夫だ。ちゃんと計画通りに調整はしてある。後はあんた達が手筈通りに動いてくれれば上手くいく。」


「それならば良いが。何かあったらそっちに責任を取ってもらうからな。」

「…ああ、わかっている。そんな事は万が一にも起こらないがな。」


高萩市のとある同盟と話をつけた。

弱いやつほどすぐ吠える。


折角誘ってやったのに何かあれば、そっちの責任だと言ってくる。

だったら、自分で作戦を計画して行動してみろってんだ。

何も出来ない奴らはコレだから相手にするのが大変だ。


ただ、ご機嫌も多少とっておかないと、ゆう事を聞かなくなるしな…。

こんな感じで、10以上の同盟に声をかけて調整している。


高萩の海岸線を手に入れるための準備を着々と進めている。





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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 6人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒





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