第47話 海岸の防衛(2)
〜風馬side〜
4月15日10時になった、約束の『高萩連合』を俺たちを含めた6同盟で同時攻撃する日だ。
事前に涼真さんとねーちゃんにも今日の事は伝えてあるし、今朝も念の為に再度連絡してある。
雨が少し降っており、あいにくの天気だがやる事は変わらない。どうせ解放領域に飛ばされれば晴れ晴れとした天気だ。雨の影響など全くない。
今回、奈緒には万が一に俺が留守中に攻撃を受けたりした場合などを考慮して、念の為に高萩海岸の分拠点に残ってもらっている。
最初、奈緒は自分だけが残ることに対し文句たらたらだったが、「奈緒にしか任せられないことだ。」と言ったら、すぐに機嫌を直してくれた。・・・・・案外チョロイもんだった。
今回は、敵プレイヤーの討伐数に応じて領地獲得の規模が変動するので、総力をつぎ込んでいる。
モンスターの詳細を割愛するが、こんな感じの部隊編成で臨む予定だ。
【部隊編成】
第1部隊 (200/200)
葛城 風馬 (リーダー)
ミレーネ
第2部隊 (200/200)
ナビル (リーダー)
第3部隊 (200/200)
ジェイド (リーダー)
第4部隊 (200/200)
サミュエル (リーダー)
第5部隊 (200/200)
田村 秀樹 (リーダー)
なお、5レベルになりクラスチェンジしてから、【副官】の機能が新たに追加された。
どういった機能かというと、設定された【副官】は、プレイヤーの【DP管理】と【部隊編成】の操作を代行できるというものだった。
普段は【副官】をミレーネかジェイドに任せているが、今日は臨時でお留守番の奈緒を【副官】に設定している。
万が一、不測の事態が起こったら、配下モンスターの召喚などを行なって拠点などの防衛に徹してもらう。俺が戻るまで時間を稼いでもらうのが一番の役目だ。
予定通りに『高萩連合』の領地へ攻撃を仕掛ける。協力している他5同盟も同じく『高萩連合』へ同時攻撃を仕掛けている・・・はずだ。
『高萩連合』は明らかに動揺しており、対応が後手に回っている感じだ。
3箇所目の領地を占領したとき、大勢のモンスターとプレイヤー1人が待機していた。
「悪いがこの場所はいただくよ!」
「大勢で総攻撃なんて卑怯だぞ!」
敵にも総攻撃を受けている情報がすでに回っているようだった。
万が一、裏切られることも多少考慮していたが、第一段階としては予定通りで大丈夫だろう。
「こんなご時世だし仕方ないだろう。みんなこの場所を欲しがっているからな。」
「それは、お前たちの所も海岸だから一緒だろう!」
「そうだな。明日は我が身にならない様に気をつけるよ。」
<対戦状況>
敵 2,000体以上 VS 俺 1,000体
俺は開戦と同時に【支援スキルLv1】を発動する。味方全体が薄い緑色に包まれている。
検証の結果、能力が多少向上していることがわかっている。1日1回で、継続時間は1時間なので、この主力戦で出し惜しみせずに使う!!
敵は総勢2,000体以上いるが、E級モンスターが主力のようだった。
装備も銅装備(E級)であり、数が多くても俺たちの相手にならなかった。
初手。
ミレーネの鉄の弓矢で敵がどんどん減っていく。
鉄の弓矢は使い切りに近いので、DPを結構消費するがその攻撃力はお墨付きだ。
相手も銅の弓矢で応戦してくるが、俺たちの鉄装備(D級)の防具を貫けないでいる。
鉄装備を供給してくれている、涼真さんありがとうございます。
次に、俺とジェイドの部隊が前衛として敵と正面から戦う。
俺の鉄装備のD級モンスターと敵の銅装備のE級モンスターがぶつかると、敵が力負けして吹き飛びそこへ追撃を加える。そして、敵の数がどんどん減る。
更にナビルとサミュエルの部隊が遊撃として側面や背後に回り敵を討つ。
敵も遊撃部隊を出してくるが、こちらのモンスターのスピードについて来れていない。更に力も装備でも負けもしており、敵モンスターは数が多いだけで壊滅的な状況だ。
どの局面をみてもこちらの圧勝であった。
開始から30分ほどで大体の8割近くの敵を殲滅していた。
そして、遊撃部隊のナビルが敵プレイヤーに逃走を許さず、トドメを刺す事に成功した。
初日の早い段階で敵プレイヤーを討てるとは、幸先が良いスタートであった。
俺たちはそのままの勢いで、海岸線を南下して領地を拡大していった。
他の協同で攻撃を仕掛けている同盟の所も似たように優勢になっていた。
そして、海岸線の攻防が開始して3時間後の13時頃のことだった。
奈緒、ねーちゃん、涼真さんの3人からほぼ同時のタイミングで、敵から侵略を受けているとチャットに連絡が入った。
〜???side〜
「上手くいっているな。このまま邪魔な『高萩連合』と『深緑の妖精』の2つの同盟をやっつけてたら、海岸線は我々のものだ。ククククゥ。」
「長い間、準備をした甲斐があったな。これで高萩市内も我々のものになる日も近い。」
「まあ、まだ予断を許さない状況だから、気を引き締めよう。」
「そうだな。このまま上手く事が運ぶのを待とう。」
高萩市内にある『深緑の妖精』の領地を30以上の同盟(100人以上のプレイヤー)と協力して、占領して回っている。
防衛している敵のモンスターがD級との事もあり、かなりこちらに被害が出ている。
ただし、敵の指揮官がモンスターなので対処が後手に回っている。
どうせこの数で攻めているので、『深緑の妖精』も時間の問題だろうがな・・・。だが、相手が弱っているこのチャンスを逃す事なく攻撃の手を休めない。
協力同盟の奴らがいくら死のうが、『深緑の妖精』さえ潰せれば、どうだっていい。
『深緑の妖精』に攻撃を仕掛けた場所は、高萩市内(葛城道場も含む)だけではない。海岸の拠点へも周囲から攻撃を仕掛けている。
下準備に手を抜かず、中郷町の海岸線を占拠している同盟へも話を持ち掛けており、三方から攻撃を仕掛けている。
海岸への攻撃は、高萩市街地への侵略(30以上の同盟、100人以上のプレイヤー)と比べると少ないが、それでも5同盟以上(20人を超えるプレイヤー)による侵略である。
13時から開始した戦いは日を跨ぐ頃には、高萩市内の『深緑の妖精』の領地をほとんど取り終わった。
ただし、lv5の領地は手が出せずにスルーしている。
プレイヤー5人が総戦力でlv5の占領を試みたが、惨敗だった……。この領地は、一旦保留として、最後の最後まで気を抜かずに徹底的に『深緑の妖精』を追い詰めることにしている。
海岸線の『深緑の妖精』の分拠点を破壊して高萩の海岸も中央から北側のほとんどを今回の作戦で取り尽くした。これで、忌々しい『深緑の妖精』もお終いだ。
「急に数ヶ月前に現れて、いきなり海岸の一部を占拠し始めた……あの忌々しい奴らなど滅びて当たり前だ。清正する。」
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おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒
・従属配下 : 6人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒
<他作品>
最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489
よろしければ、ご覧ください。
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