第40話 審判の日(2)
〜奈緒side〜
とうとう『審判の日』が明後日まで迫ってしまった。
レベル上げや防衛の手伝いなど、やれることをやって来たが、ボーダーラインの日本人ランキング3,400万位には届かなかった。これから数百万位のランキングアップは流石に考えられない……。
「フーくんの横をこれからもずっと一緒に歩んで行きたいと思っているけど、この先どうすればいいのかな……はあぁ。」
この思いをフーくんに伝えられていない・・・。
そのなことを夜の浜辺で1人になって考えていた。
「フーくんは私の気持ちを知ったらどう思うかなぁ?」
「何がだ?」
今までそこに誰も居なかったが、いきなりフーくんが現れて、私の独り言に反応した。
「っふ、ふぇ!!・・・・うんん、何でもないよ。」
慌ててごまかしてしまった。
「そっか…。」
「急にどうしたの?いきなり居たからビックリしちゃったよ。」
「ごめんごめん。奈緒が家の中で見当たらなかったから、ちょっと気になって探してたんだ。」
フーくんはそう言って、ツカツカと浜辺を歩いてきて、私の隣へ座った。
「そっか、ありがとうね。……そろそろ『審判の日』じゃない。その事でちょっと考えてたんだ。」
「そうだよな、その為にやるべき事はやったんだよな?最善の結果にはならなかったが……。」
「うん。やれる事はやって、この2ヶ月もがいてみた!結局はボーダーラインまで届かなかったけど、後悔はしてないよ。」
「「………。」」
ザッパーン、ザッパーンと波の音だけが2人の間に流れる。
吐く息が少し白くなってはすぐに消える。今日はいつになく冷える日であった・・・。
空を見上げると雲ひとつなく、その闇の中にまん丸なお月様が、その存在感を出していた。電灯が煌々とついていた1年前の日本と違い周りは必要最低限の光だけの世界が広がっている・・・・。
そのため、今まで見たことも無いような星空がそこには広がっていた。
こんな綺麗な夜空にこれまで気づかないくらい切羽詰まっていた自分に気がついた。
そんな中、フーくんが口を開いた。
「昔は良くこの海に2人で来てたよな。あの時は良かったよ。平凡な日常だったけど、楽しかった・・・・。」
「うん。あの時は楽しかったね。普通がこんなに素晴らしい事なんて知らなかった。それをフーくんからもらったんだ。あの時、2ヶ月前に助けに来てくれたのが、本当にフーくんでよかった。」
「俺も奈緒を助けられて良かったよ。」
「チャットで助けを求めたときにフーくんが助けに来てくれないかなって、思ってたんだよ・・・・。そしたら、本当にフーくんから連絡がきて、凄く嬉しかったんだ。」
「俺も何故か胸騒ぎがして・・・、もしかしたら奈緒かもしれないって……。そしたら奈緒で、そこから必死だった。
・・・・・・中学のときに突然奈緒が転校してしまって、それからずっと会えなくて・・・・あのときは子供だったから、何もできなかったけど……。今は自分の意志でやろうと思えば何でもできる。今後ずっと会えなくなるかもしれないと思ったら、もう後悔したくなくって必死だったよ・・・・。」
「ありがとう。でも、私はこのままだと『審判の日』を乗り越えられそうにないよ……。 本当は薄々気がついていたんだ。このままだと難しいんじゃないかって、でも諦めたくなかった・・・・。
フーくんに出会えて、いっぱい助けてもらって、必死にやってみてそれでもダメだったら仕方ないけど・・・・。折角助けてもらった命だもの、精いっぱい頑張ってみたいって・・・・・、それでも、それでも・・・ダメだった……。」
フーくんとこのままさよならするのは嫌だなぁ。
それに、これからもフーくんとはずっと一緒に居たい……。
ミレーネには許可もらっているから、私もフーくんとお付き合いもしたいし……。
でも、私から従属契約して下さいなって言ったら、フーくんどう思うだろう……。
真冬の月空の下、浜辺で2人。
ただ、波の音だけが響いていた。
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おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 1人 ミレーネ
・従属配下 : 5人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹
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