第38話 門下生 <2031年3月上旬>
高萩市の海岸線に領地を確保してから数日後。
高萩市海岸線の北側を無事に占領することができた。
北側は隣の北茨城市(南中郷町)の境まで領地を拡大し、南側も徐々に領土を拡大している。
◯ : 北茨城市(他者領地+未開拓地)
△ : 高萩市(他者領地+未開拓地)
= : 海
◉ : 風馬領地
▶ : 涼真領地
◀ : 奈緒領地
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯==
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯==
△△△△△△△△△△◉◉==
△△△△△△△△△◉◉==
△△▶◉◉◀◉◉◉△△△==
△△△△△△△△△△△△==
△△△△△△△△△△△△△==
△△△△△△△△△△△△△==
△△△△△△△△△△△△==
△△△△△△△△△△△==
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
もちろん『ドラゴンブレス』は、奈緒に対し戦略した行いもあるが、それ以外にも数々の非道な行為をこなっていたとの情報があったので、慈悲を与えず壊滅させた。
ドラゴンブレスを潰した際にもちろん人気が高い海岸線は、いくつもの同盟がひしめき合い、壮絶な戦いが繰り広げられた。しかし、うちのメンバーたちは、華川町南側での攻防などで十分な経験があり、更にD級鉄シリーズの装備も豊富に揃っているので、最小限の被害で高萩市北部の海岸線を手に入れることができた。
今は主に海岸の領地拡大を優先的におこなっている。
そんな中、高萩市でlv5の土地を獲得していたら偶然に昔の知り合いを見かけた。
葛城道場の元門下生で俺も良く知っている人だった。
「名前は確か……ヒデさん。そう、田村秀樹さんだ。」
ヒデさんは剣の才能があったが、運悪く乗っていた車が事故を起こして、利き足に障害を負ってしまった。その後暫くして葛城道場を退会してしまいそれっきりとなっていた・・・。結構仲が良かったので、気になっていたのだが……何の相談もなく、突然、道場を去った。
多数のモンスターを引き連れて領地拡大を図っており、ヒデさんは俺だと気づいておらず、こちらを警戒していた。無用に警戒させるのも悪いので、モンスターを引かせて、俺だけがヒデさんに向かって歩いて行った。
「ヒデさん、お久しぶりです。俺のこと覚えてますか?」
「・・・・あぁー、葛城道場の風馬くんか! あんな大軍でこっちへ向かってたから警戒してしまったよ。」
「驚かせてしまってすみません。こんな世界になっちゃいましたが・・・元気でしたか?」
「まあ、何とか生きてはいるよ。風馬くんはやっぱり凄いね。あそこはlv5の土地だろう?」
ヒデさんは、【地図】で周囲の領地情報を見ながら話を返しているようだった。
「まあ、そうですね。被害が大きいですが何とか取れます。最近、海岸線の一部を占領できたので、この辺りにも手を伸ばしてきました。」
「チャットで大々的に宣戦布告してたから知ったよ。海岸はここから近いし、この前まで大きな戦いが続いていたよね。こっちも戦場が広がらないか結構警戒していたんだ。」
「そうですか、ご迷惑おかけしました。ただ、今は俺たちが海岸線を制圧したので、落ち着いてますよ・・・・・。」
少しの沈黙が流れるが、ヒデさんが話を続けてきてくれた。
「・・・・・葛城道場へ通っていた昔が懐かしいよ。あのときは、・・・・・俺もそれなりに動けていたし、健全な状態でこの世界に挑戦してみたかったよ。」
「……。」
「風馬くんは『審判の日』も問題なく超えれそうだが、僕は……。……すまないね、辛気臭くなってしまった。」
「……因みに今ヒデさんの順位ってどのくらいですか?」
「4,700万番台かな…あと1ヶ月だし絶望的だよ。」
4,700万番台で残り1ヶ月だと、どう足掻いても3,400万番台になるのは難しそうだった。
ヒデさんは本当に葛城道場の門下生の中でも突出して優秀だった。障害が出るほどの事故が起きていなければ・・・。言っても、過去の事は変えられないが、こんな世の中になってしまったので、ダメ元でヒデさんへある提案をしてみることにした。
「そうですか………でしたら、俺の仲間になりませんか?従属契約を結べば『運命の日』を乗り越えます。」
「その話はうれしいことだけど、どうせこの足だと迷惑になるだけだよ………。」
それはそうだろうが、俺には一つ試してみたいことがあった。
「だったら、騙されたと思って一度これを飲んでみてもらえませんか。もしかしたら……。」
「なんだいこれは?」
「良くゲームやファンタジーでお馴染みのポーションですよ。」
変な期待を持たせてもまずいので、四肢が生えるほどの効能がある事は話さなかった。
このポーションに四肢が生える効果まであるが古傷に聞くかどうかは不明である。期待だけ持たせて、実際飲んでみて何も起きなかったら、ショックが大きいだろう・・・。だったら最初から多大な希望を与えるのは良くないと判断した。
「この世界にはそんなものまであるのか……。」
ヒデさんはポーションを受け取ると、少し眺めて、迷うことなくポーションを一気に飲んだ。
「・・・なんかスポーツドリンクみたいな味がするね。」
するとヒデさんの右足と右手が光りその後暫くすると光が止んだ。
そして、そこにはボロボロと涙を流しているヒデさんの姿があった・・・。
「動く……右足が動くんだよ。それに少し違和感のあった右手まで完全に元通りになったよ。ありがとう風馬くん……。」
「よかったですね。」
その後、ヒデさんは取り乱しながらも、このままでは1ヶ月後の『審判の日』を乗り越えられないと判断し、俺と従属契約を行ってくれ仲間に加わってくれた。ヒデさんは力と配下にステータスポイントを振っていた。
これまで、僻地を拠点にしており、どうにかのらりくらりと敵の追撃を躱して生き延びていたようだ。
そして、少しして落ち着いたヒデさんからお願い(要望)が出た。
「風馬くん俺と一度手合わせをしてもらえないか?」
「いいですけど、レベル差があるので大丈夫ですか?」
「構わないさ。今の自分がどれだけ出来るか確かめたいんだ・・・。ここが俺の新たな原点となるんだ。」
「わかりました。」
俺たちは一度、主拠点を経由して、木刀を2本【創造】し、1本をヒデさんへ渡して、ある場所を訪れた。そう、葛城道場だった・・・・。
「懐かしいね・・・・・・・。では、よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
少し距離を取って、2人で互いに向き合い手合わせが始まった・・・。
先手をヒデさんへ譲った。
レベル3とは思えない踏込みで俺へ迫ってくる。
1撃、2撃、3撃とヒデさんの目にも止まらぬ連撃を全て受けきる(結構早いな!)。
お返しに俺も1撃を放つ、ヒデさんが受けるには難しいくらいの強さの1撃だが、ギリギリ受け切っていた(いい反応だ!!)。
レベルアップで【力】をC級まで上げているので、ヒデさんにとっては、相当の衝撃があったはずだ。それでも受け切った。流石のセンスとしか言いようがない。
大体ヒデさんの力量を掴んだので、それに合わせて攻撃を行う。
20分後、俺の1撃でヒデさんの木刀が飛び決着がついた。
「「ありがとうございました。」」
互いに向かい合って、礼をして手合わせが終わった。
ヒデさんは肩で息をしている。
俺は軽く息が上がっている程度だ。
「ここまで強くなっているとは……手を抜かれていたね。」
「いやいや、そんな事はないですよ。ヒデさんも凄く強くて仲間になってくれて心強いです。」
「手足も万全だし、ここからまた這い上がっていくさ。」
「それは楽しみです。また手合わせしましょう!」
そう言って、俺とヒデさんは握手をした。
名前 田村 秀樹
レベル 3
クラス なし
ステータスポイント 3
能力値
力 D (15)
魔力 F (0)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます