第30話 高橋 奈緒
奈緒をドラゴンブレスの侵略から無事に守りきり、うちの同盟へ加盟させる事ができた。
しかし、奈緒はレベル2であり、日本人のランキングも凄く低かった。
50,556,729位/52,675,224人
※ボーダーライン 34,271,678人
下から数えた方が早い。
かなり厳しいがこれから2ヶ月ちょっとをどれだけ追い込めるかが勝負になってくる。
厳しいからと諦めるなんて出来るはずがない。
1ヶ月目の『審判の日』は、急激な環境変化で、各地で戦争が激化した。
その影響で日本人の人口が1割以上減ったので、たまたま生き残っただけだった。
「どうしても後2ヶ月後の『審判の日』以降も奈緒に生き残って欲しい。これからどこまでやれるかだな。」
因みに、涼真さんはボーダーラインを超えて、安心出来る順位まで上がっている。
奈緒の同盟加入の待機時間が終わる前に俺は、主拠点近くのlv1領地を解放しておいた。
そして、奈緒の同盟加入と同時に、俺が解放しておいたlv1土地を奈緒に「占領」してもらい、俺の隣りへ奈緒の主拠点を移させた(分拠点を建てて、主拠点の移動の手順だ。)
それから、奈緒を俺の家に呼んで今後の方針について話しをする事にした。
昼間だったので、ミレーネは南側の攻防に出ていた。
「フーくん・・・・・この豪邸は何なの?」
「っう、俺の家だよ…。」
奈緒が凄い呆れた目で俺を見てくる。
「こんな家、創造では出せないでしょ……。」
「まあ、そこは創造のカスタマイズ機能を最大限使って作ったんだよ。完成までに何と2週間かけて建てた大傑作だ。」
「・・・・そうなんだ。まあ、そんな事を聞きたい訳じゃ無いんだけど…。今後の話の前にちょっと中を見せてもらっても良い?」
奈緒はソワソワしつつ、顔をニコニコ、ワクワクさせながら聞いてきた。
「ああいいぞ。」
まず、1階の30畳以上あるリビングダイニングを案内する。
「うわぁ広ーい。しかも家具もオシャレね。ソファーもフカフカ。」
「そのソファー良いだろ。結構作るの苦労したんだぜ。」
「これもフーくんが作った(創造)したの!凄いんだね。」
「次はここ〜〜〜〜〜〜、次は〜〜〜〜ってな感じで、俺のお気に入りはこのお風呂だ!」
そういって1階の各所を奈緒と一緒に見てまわった。
そんで、1階で残すところはお風呂のみだ。
ガラガラとお風呂場の引き戸を開ける。
高級旅館のように大きめの脱衣室、洗面台も3つある。
扇風機やマッサージチェアーまで完備だ。
浴槽を檜で作ってあり、10人くらいは足を伸ばしても余裕で入れる大きさだ。
「なななな何これ〜!もう個人の家にあるレベルじゃないよ。」
「この風呂はかなり力を入れたからな。良いものを作ると決めたら妥協せずに作った。かなり時間かかっちゃったけど……。」
「いいなぁ、私も一緒にここに使いたいな〜。」
奈緒がちょっともじもじしながらそう言ってきた。
今も変わらずの美人で、好きだった女からそんな事を言われ、俺はちょっとドキッとしてしまった。
どうゆう意味だろう?
「……別に奈緒ならいつでも使っていいぞ。」
「っえ!いつでも使っていいの?」
「ああ別に構わないぞ。」
「ありがとうフーくん♡」
奈緒の視線に熱がこもっているような気がする・・・。神様気のせいでありませんように!
その他、娯楽部ルームやカラオケなども見せて回ったが、2階は客間など含めたベッドルームしか無いため、省略した。
その後、リビングへ戻って今後の方針について話した。
「奈緒には2ヶ月後の『審判の日』までにどうにかボーダーラインの3,400万位まで行ってもらう!その為には、まず、レベル上げだ!
俺がこの近く(北茨城市華川町)のlv1、lv2領地を多数放棄するから、奈緒はその土地を積極的に取得してレベル上げを頑張ってくれ。」
「うん、わかった。」
「奈緒の配下モンスターが少ないから、増えるまでは無理せずにlv1土地を占領。徐々に手持ちモンスターが増えたらlv2土地へ移行だ。」
奈緒は俺の説明に納得してくれた。
「lv2を占領するタイミングや目安はある?」
「それは俺が様子を見ながら指示するよ。」
「よろしくね。」
そして、ここでレベル上げの切札を出した。
「それと、この装備を使ってくれ。D級の鉄シリーズの装備だ。とりあえず、倉庫に置いてあるから、200セットくらい持っていっていいよ。」
「っえ!ええ!そんなの借りちゃって良いの?」
「たくさんあるので差し上げますんで、遠慮なく使ってくれ。」
「って、くれちゃうの!フーくんって何者?」
奈緒がメチャクチャ驚いている。
こんな奈緒を久しぶりに見る。っていっても、昔の奈緒しか知らないが、文武両道でこんなに驚いた様子はあまり見たことない。
「いやこれは、同盟員の義理の兄さんから貰ってるんだよ。そういえば、今夜にでもねーちゃんたちに改めて挨拶しておこうか。連絡しておくから夕方にはここに来てくれる?」
「わかったわ。何かフーくんの同盟って凄いのね。そういえば、フーくんの領地も凄い広さだしさ……。」
「まあ、ここまで来るのには苦労したさ。」
「そうだよね……。」
「まあな……そういえば、おじさんたちは無事なのか?」
「うん。チャットで連絡は取れたんだ。東京は結構戦争が激化してるみたいで、そこで生き残っているだけあって……ランキングはそこそこみたい。家族で同盟を組みたかったんだけど、私だけ距離が遠すぎるので組めなかったの……。」
「そっか……生きていればいつか会えるだろうから、今はランキングをあげて『審判の日』を一緒に乗り切ろう!」
「うん、ありがとう。」
そういって、奈緒はレベル上げに向かって外へ出かけていった。
奈緒がレベル上げに励んでいる中、ねーちゃんと涼真さんへ連絡を入れて、今夜に奈緒の歓迎会をする事にした。
俺の従属配下たちにも連絡を入れて集合してもらう事にしている。
〜奈緒side〜
フーくんから貰ったD級鉄シリーズの装備1セットをつけている。
鉄の杖を装備すると魔法の威力が格段に上がった。
体感的なことだが、ファイアボールの威力が木の杖を装備していたときと比べて2倍近くになっている。
しかも、配下のモンスターの装備まであるのだ。
配下のモンスターは、ゴブリンを紙切れのようにスパスパ切っている。
何の抵抗も無くゴブリンの肉が切れ、光と共に消えていく……。
こんな無双の状態で、2部隊で効率よく領地を拡大している。
3時間ほどで30以上の領地を手に入れられた……。
今まで市街地ではこんな事考えられなかった。
市街地では人口が密集しており、土地の取り合いが多発しているため、ここまで領地を増やす事なんてまず無かった。
それが、フーくんと連絡を取ってからまだ1日〜2日程度で劇的な変化である。
今までのことが嘘みたいだ。
「このままフーくんについて行けば、諦めていた『審判の日』を越えられる……かもしれない。いや、絶対に生き残ってみせる。」
私は硬い決心をしたのであった。
「それにしても久しぶりに会ったフーくんは幼さが消えて凛々しくなってたなぁ。
同盟員もお姉さんと義理のお兄さんだけだって言ってたし、お付き合いしてる人もいなそうだよね?」
そう、久しぶりに会ったフーくんは凄くカッコ良くなっていた。
良くマンガなどに出てくる白馬の王子様のごとく私の窮地に現れて助けてくれた……あの時フーくんがいなければ今頃酷いことになっていただろう……。
中学生の時もずっと好きだったのだが、告白する前に私が転校してしまいそれっきりになってしまった。
最後に告白をとも考えたが、結局出来なかった・・・あの時告白しなかった事を未だに後悔している。
私もいい大人なので、それなりに男性とお付き合いもしてきた。
ただ、仕事も忙しくて、ここ2年はそういった相手もいないけど……。それなりに言い寄ってくる人いたのだが、受け入れていなかった。
特にこの世界になってからは下心見え見えの人しか近寄って来なかった。
この前の『ドラゴンブレス』が来るまで、よく耐えて来れたと思う。
「『審判の日』を生き抜けたらフーくんに中学時代に言えなかった告白をしよう!」
私はそう心に誓うのだった。
しかし、奈緒はこのとき知らなかった。
すでに風馬にはミレーネという結婚前提に付き合っている、エルフ配下がいることを……。
<他作品>
最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489
よろしければ、ご覧ください。
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