第27話 レベル5(2)
俺の配下たちがドカン、ボッカーンと激しい音を立てて弾け飛び始めた。
「何が起こっている!ジェイド、サミュエル無事か?」
「なんとか大丈夫です。たぶん敵の魔法攻撃だと思います。C級モンスターはウィザード系のモンスターがいたはずです。」
「こっちも大丈夫っすけど、結構モンスターどもに被害が出てるっす。」
俺の問いかけにジェイドとサミュエルが答える。
「ナビル、敵のウィザードを優先的に倒しにいけ。」
「やっとか、わかったぜ任せろ。行くぞヤローども。」
「「「「「「ガウーーー」」」」」」
「「「「「「シャーーー」」」」」」
ナビルと共にプチタイガーとスネークの俊敏性重視のモンスターたちが一斉に動きだした。
よく敵の方を見ると、奥の方にウィザード系のモンスターがいるのがわかった。
そいつら目掛けてナビルが進軍する。
「あいつらか……ミレーネ、あの奥にいるウィザードを攻撃できるか?」
「いや、流石にあそこまでは弓じゃ無理だわ……。」
「そうかわかった。引き続き、出来る範囲で敵を攻撃してくれ、くれぐれも無理はするなよ。」
ナビルの遊軍部隊の破壊力はすごかった。
100体ずつの2手に分かれて、左右の敵側面から攻撃を仕掛けている。
敵も左右からの攻撃に応戦するため、陣形が崩れはじめる。
また、敵正面の歩兵がナビルの攻撃を防ぐように側面へ移動することにより、俺の目の前の敵の兵が減りはじめた。
俺は敵正面の穴が空いた箇所へ突撃すべく指示を出した。
「ジェイド、敵正面に対応する指揮はお前に任せる。サミュエル部隊は俺と共に敵軍に突っ込むぞ。ナビルの側面からの攻撃で俺たちの目の前の敵の兵が減りはじめた、ここで一気に敵本陣へ突っ込む。」
「了解です。」
「わかりましたっす。」
俺の正面突破と側面からのナビルの突破によってウィザードまで届くところまで来ていた。
ただ、ウィザード系約10体を守るように、約40体のC級モンスターが周りを囲んでいた。
コボルトアサシン、ゴブリンソード、オークナイト、イグアナ、ゴーレム、オニ、コモドラゴン・・・。
特にオニ2匹からは、かなりの威圧を感じる。
次にゴーレム辺りが厄介そうかな……。
「出し惜しみなしだな。サミュエル、無理はするな。お前はコボルトアサシンやゴブリンソードを中心的に倒せ。オニには絶対に手を出すな。」
「…了解っす。」
サミュエルもオニが相当ヤバい相手だと感じ取っているようだ。
「ナビルもわかったか、オニには手を出すな。俺がやる!」
「何言ってる俺もやるぞ。あいつは相当やりそうだ。ここまで待たせたんだ、やらせてくれ。」
「……わかったが無理はするなよ。無理そうなら強制的に命令して撤退させるからな。」
「・・・了解ボス。」
そうゆうと、ナビルはオニ目掛けて駆け出していった。
俺も敵C級モンスターの群れに向かって走り出した。
配下のD級モンスターたちには俺に続きコボルトアサシンやゴブリンソードを狙うように指示を出した。
俺はなるべく厄介な奴を相手にして敵を切り捨てていく。
「天下一刀流 空刃斬」
俺が剣を振るうと剣先から放たれた風の刃がオークナイトを切り裂き、その後ろにいたウィザード系モンスター2匹を更に切り裂いた。
力がC級に上がったことによって、技の切れが格段に上がっていた。今までの空刃斬なら、オークナイトを切り裂いて終了だったろう。
更に体の耐久力も上がっているようで、これなら技もあと数回使えそうだな。
そんな空刃斬の打ち終わりにオニが迫ってきてこん棒を俺めがけて叩きつけてきた。
俺は真上から迫ってくるこん棒を剣を使い上手く受け流す。
受け流したこん棒は、俺の横の地面にめり込む。
「天下一刀流 縮地斬」
一気に移動しオニの首を切り落とし、倒したオニの後ろに着地した。
さっきのオニの凄まじい攻撃を見ていたミレーネは俺を心配して前線まで来ながら、ウィザードたちの眉間を射抜いていった。
「フーマー大丈夫だったか?」
「お前は危ないから来るな。」
「で、でも…さっきのオニが凄く強くて心配で……。」
「俺の方が強かっただろ。あんなパワー自慢だけなら大丈夫だ……。し、仕方ない、絶対に無理はするなよ。」
俺はミレーネに心配をかけまいと、強がりを言うと共に、近くにいたベアー4体にミリーナを死んでも守るように指示を出した。
ミリーナは引き続き隙きをついてウィザードを射抜いていった。
ナビルもかなり手傷を負ったようだが単独でオニを倒しきった。
敵は徐々に崩壊し開戦から45分後、俺たちの勝利で決着が着いた。
「よし俺たちの勝利だー!!」
「「「「「オォォーーー!」」」」」
結構な被害が出たが、ついにLv5の領地を手に入れたのだ。
結局俺のD級モンスターたちは、200〜300体程度が殺られてしまった……。
今回の反省点は何だったかというと、やはり敵C級モンスターだと思う。
特にウィザード系の魔法攻撃の対処だ。
今のままだと、魔法攻撃に全く対処出来ていない。
ウィザード系のモンスターを組み込むことができれば、魔法攻撃に対する防衛が出来る。
もちろん攻撃にも生かせるので、今後の戦略の幅を大きく広げることが可能だ。
自分に利益がある一方、それは逆に敵にとっても同じ事がいえる。敵プレイヤーがウィザード系のモンスターを加えて、魔法攻撃をおこなってくることは十分に考えられる。
そうなれば、魔法攻撃の対処ができていない俺は、魔法攻撃によって多大なダメージを負う。更に隊列が崩されれば、それを起点に追撃を受け、敗戦に陥る可能性が高まる。
魔力特化型の仲間を増やす必要がありそうだ。
今回のlv5土地の占領は、単に領地を獲得しただけで無く、今後の部隊編成やステータスの育成方向をよく考える良い機会になった。
今回の教訓から、【力】と【配下】の2系統を伸ばす方針とすることにした。
やはり、なんといってもC級モンスターが手札に必要だと思う。
攻撃魔法が使えるモンスターは今後の戦闘では必須になるはずだ。
今まで俺は個の力を上げることが死のリスクを最も減らせると考えていた。
それはそれで当っているが必ずしも正解ではない。そう、正解は無いのだと思う。
俺が強くなるのは必要だが、結局は数の暴力にはかなわない場面がどうしても出てきてしまうと思う。
俺1人で格下の敵10人は余裕だ。
100人が相手だとしても手傷を負うが倒せるだろう。
1,000人になるとどうだろうか?疲労も溜まりたぶん無理だろう。良くて撤退だ。
そんなとき、強い配下のモンスターがいれば頼れる。
更に強い配下モンスターは、俺の成長速度も速くしてくれる。
そう、配下のモンスターが敵を倒すとプレイヤーに経験値が入りレベルが上がるので、強いモンスターがいるとレベル上げの効率は上がる。
更に俺には【支援スキル】もあるので、仲間が多ければ多いほど強化出来て、恩恵を得られる・・・・はずだ・・・。
そう、さっきもいったがステータスの育成方向に正解は無い。
本人がどうしたいかにかかっていると思う。
結局は、全員がそのステータスのバランスを悩んでいるわけだ。
俺には【支援スキル】があり、それを十分に発揮するために【力】と【配下】の2系統を伸ばす方針としただけだ。
これが、正解だったかどうかは、まだまだわからない。
とりあえず、正解になるように努力するのみ。
仲間のためにも、自分のためにも・・・。
特にミレーネのためかも。
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