第22話 五十嵐




「新緑の妖精」の同盟に加入してすぐにねーちゃんと涼真さんの主拠点に転送陣を設置した。

そして、初顔見せも込めて、俺と幹部の元プレイヤーたちを連れて、転送陣を使って、ねーちゃんの主拠点に移動するのだった。

ねーちゃんたちと直接会うのも1年以上ぶりだ。



「ねーちゃん、涼真兄さん、久しぶり。元気にしてた?」

「こっちは元気だったよ。風馬も元気そうで何よりだ。」

「風馬くん久しぶりだね。まあ、僕は理沙と一緒だったから大丈夫だよ。ところで、そちらが例の………お仲間さんなのかな?」


ミレーネたちも来ているが、4人共フード付きのパーカーを被っている。


「そそ。俺の信頼する仲間たちなんだ。事前に連絡したとおり、エルフと獣人たちなんだけど気が良い奴らだからよろしく。」


そう前置きをしてから、俺の後ろに立っていたミレーネたちがフードを取ってあいさつした。


「私はエルフのミレーネです。

訳合って・・・・フーマに助けられて仲間に加えさせてもらってます。これから死ぬまで・・・フーマと一緒のつもりです。」


ミレーネはそうゆうと、ちょっと顔を赤く染めていた。それも可愛い。


「俺は狼の獣人のナビルだ。

俺はフーマと決闘してフーマの強さに惹かれて仲間になった感じだ。」

「兄さんはフーマさんと決闘して敗れて仲間になったんでしょ。

私は、ナビル兄さんの弟のジェイドです。これからよろしくお願いします。」

「何をいう、あの闘いは紙一重で敗れたのだ・・・。」

「オイラはサミュエルっす。オイラたちは三兄弟なんっす。

フーマさんには良くしてもらってますんで、ねーさんたちもよろしくっす。」


ナビルたちがワチャワチャしていたが、こちらのあいさつが終わると、ねーちゃんたちがあいさつした。


「今度は僕たちの番だね。僕は五十嵐涼真。風馬くんの義理の兄になるね。

 そして、この同盟の一応リーダーをさせてもらっているのでよろしくね。」


うちのミレーネという絶世の美女を前にしても狼狽えないあたり、さすがねーちゃん一筋の人だな。

涼真さんは、身長175cmほどで痩せ型の体型。顔はインテリイケメン、メガネを掛けてエリートIT社員って感じだ。実際に若いのに幹部候補生で、当時は部長代理までの役職だったとのことだ。


「最後は私ね。私は五十嵐理沙。

風馬の姉で、ここの地上にある葛城道場の当主をしているの。よろしくね。」


こちらが俺のねーちゃん。

見た目は160cmでショートカットのキリッ目をとしたクールな美人さんだが、キレると手がつけられない。

正真正銘のバケモノで、葛城道場・・・天下一刀流の現当主だ。

俺も相当鍛えられたが、ねーちゃんにはかなわない。今の俺だとステータスの影響があるので、いい勝負をすると思いが、勝てるイメージが湧かない・・・。



簡単な自己紹介が終わったところで、親睦会が始まった。

やはり、何と行ってもチームワークが重要だと思っているので、親睦会は重要だ。

最初はみんなでワイワイと始まり、最後の方では、ねーちゃんとミレーネが一緒になりいろいろと話しているようだ。

俺の名前が聞こえてくるのだが・・・こういったことに聞き耳をたてるのは良くないな。


獣人たちは基本3人で盛り上がっていた。

俺と涼真さんは現戦力の共有化や今後の方針などを酒を飲みつつはなしている。

そこへときおり獣人たちが入って男同士で話したりしていた。



名前 五十嵐 理沙

レベル 3

クラス なし

ステータスポイント 0

能力値

 力 D (20)

 魔力 F (0)

 配下 F (0)

 創造 F (0)


名前 五十嵐 涼真

レベル 2

クラス なし

ステータスポイント 0

能力値

 力 F (0)

 魔力 F (0)

 配下 E (5)

 創造 E (10)



そして、今後の概略方針はこんな感じだ。


・【最重要】涼真さんのランキング上げ

・領地の防衛

・近隣同盟の情報収集

・領地拡大

 →葛城道場の西側

 →俺の主拠点の南側・東側




因みに涼真さんには、まず俺の主拠点近くの土地でレベル上げを中心に行ってもらう。

俺が保有している鉄シリーズ(D級)の装備を必要数渡してlv3土地でレベル上げという寸法だ。

これである程度、安全にレベル上げを行える算段だ。

とりあえず、レベル3になるまではひたすら狩りをやってもらうつもりだ。

といっても、涼真さん自身は現場に行かずにモンスターが対応している。


「涼真さん、鉄シリーズ装備をつけたE級モンスター×2部隊(160体)ならほとんど被害無くlv3の土地を取れると思うので、ひたすらレベリングだね。」

「わかったよ。まあ、俺は配下のモンスターに指示してるだけなんだけどね……。」

「それも人それぞれの戦略ですし、OKです。それよりレベル3に上がり、創造にポイント振ると鉄シリーズの創造に入れますので、期待してます。」


「了解だよ。僕はみんなのサポートに回るつもりで、裏方で動く事を前提で考えてるからね当然だね。」

「そういえば、ねーちゃんは?」

「理沙は遊撃部隊として葛城道場の裏山で暴れてるよ。

これまで、日本人は大人しかったけど、この前のが発表されたから、そこら中で争いが起きて鎮圧が大変なんだってさ。」

「そうですか……。」




俺はというと、3つの部隊構成を基本としている。


・1つ目は、ナビル部隊+補佐1部隊による葛城道場東側の領地確保。

 あそこは、獣人が多いので喧嘩っ早いナビル担当。


・2つ目は、ジェイドとサミュエル兄弟による(俺の領地)南側と東側の領地防衛。

 防衛の場合は、いくらでも投入出来るので、指揮を意外としっかりしているジェイドに任せている。


「ジェイド、防衛の状況はどうだ?」

「今のところ問題はないですね。ご存知のとおり、南側は獣人と人族との乱戦って感じです。東側は全然大した事ないです。」

「とりあえず、D級モンスターの数に気を配っておいてくれ。

減少したら連絡をくれ。定期的に画面で確認するが気付くのが遅れる場合もある。」

「了解です。そこは目を光らせてますから大丈夫です。何かれば連絡します。」



・3つ目は、俺とミレーネによる攻め部隊。

 南側と東側に対する進軍だ。

 獣人兄弟と連携を取りつつ対応している感じだ。


なお、エルフの恋愛観はわからないが、ミレーネは進軍中に2人きりになるとやたら腕を組んでくる。

自己主張の強いお胸を俺の腕にグイグイ押し当ててくる。柔らかい……。


「あれ〜〜〜フーマどうしたの?何か前屈みになってない?エッチな事を考えてるのかな、シシシシシ。」


結構キャラが変わってきた感じがする。

これはこれで好きなんだが。


「そりゃ、そんなに胸を押し当てられたらちょっと意識するだろふつう。」

「ちょっとだけなの?かわいい。」


ミレーネの顔が俺に近づいてきて、頬っぺたに柔らかなミレーネの唇があった。


「うれいしんだけど、今はやめろって!ジェイド達が来るぞ。」

「はーい。」


本当に最初と比べていい意味で性格が変わった。

雰囲気が柔らかくなり、一緒に居ると落ち着くし、気兼ねなく話せるのが心地いい。



そんなこんなで、数週間後、変な奴らが俺たちの目の前に現れるのだった・・・。




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