第21話 新たな展開 <2030年10月>



チャット掲示板を見て情報収集していた際のこと、ねーちゃんの旦那(五十嵐 涼真)らしい人の書き込みをたまたま発見した。

その書き込みを発見したときは、本当に本当に嬉しかった。

俺の実家である葛城道場について記載してあり、その記事を元にどうにか涼真さんまで辿りつき、ねーちゃんともメールの連絡先を交換することができた。


というか、2人共メールの登録者名が・・・・あんなんじゃ本当に分からないわ。

・五十嵐 理沙(ねーちゃん) : リサリサ

・五十嵐 涼真 : 涼マン


全然、チャットで連絡しても全く返信も来ないし・・・。

これまで、数ヶ月の苦労を返してくれ〜〜っと叫びたかった。

ただ、2人が無事で何よりだ。



ねーちゃんたちは2人で同盟を組んでおり、主拠点は隣の高萩市だった。

ねーちゃんは、郊外にある実家の葛城道場を主拠点に設定して、道場を守っている。

道場の土地を守る為に裏山を可能な限り領地としたらしい。


ただ、lv3土地までしか確保できてない模様で、それが不満なようだ。

積極的に領地確保には動いておらず、道場を守っている形だ。

レベル2って聞いたときは、凄いが、ねーちゃんだから納得してしまった。

あの、鬼神の如し強さは健在のようで何よりだ。って本人を目の前にこんなこと言ったら、半殺しにされてしまう・・・。

なお、ねーちゃんのステータスポイント振分と言うと、ゲームに疎いため涼真さんにアドバイスを貰いながらおこなっているそうだ。

また、近隣の日本人プレイヤーが異世界人から攻撃を受けてそうで、ご近所さんを守っているそうだ。



ここまでは、ねーちゃんの話で、

涼真さんはと言うと、市街地の自宅(ねーちゃんとの家)に主拠点を構えている。やっぱり、家を守りたいってのは、人の本能なのだろうかねぇ〜。

そんでもって、ねーちゃんたちは、Lv2になったら早々に同盟を組んで、転送陣も互いに設置してあり共同生活をしているそうだ。


涼真さんはIT勤めのサラリーマンで、チャットを使った情報収集はお手の物。

ステータスポイントは創造と配下に振っている模様。

頭はキレるので、先の事を見据えてねーちゃんのサポート役に徹しているようだ。

涼真さんは、ひ弱な自分を変え為に昔うちの道場へ入門したが、才能が無く・・・運動の方はからっきしだったので、ねーちゃんたちの役割分担は良いと思う。



◇◆◇◆◇◆


2030年10月1日。

この世界になって早半年が経った頃のこと・・・。

久しぶりにあの謎の声がまた聞こえてきた。

こういったタイミングでこの声が聞こえたってことは・・・嫌な予感がする。



『あーあーあー。地球の皆さんごきげんよう。非常にあなたちにはガッカリしてます。折角、こんな素晴らしく、エキサイティングで楽しい世界となったのに全然私たちの意図を汲み取ってくれてない!』


『転送された別の世界の人々は互いに領地を奪い合っているのですが……残念な事に貴方たち地球人ときたら仲間同士では、ほとんど争わないじゃ無いですか。私たちは非常に残念です・・・・。』


『そこで、貴方地球人には特別イベントを発生させちゃいま〜〜〜〜す。そうすれば、地球人の貴方も少しはやる気になってくれると思います。今回は特別ですよ。』


『それでは発表しますね………それは、半年後の2031年4月1日に地球人のみなさんには、今の半分の人数に死んでもらう事にしま〜〜〜〜す。パチパチパチ。』


『一気に減ると混乱するので、まず皆さんに少しでもやる気になってもらうように1ヶ月後の2030年11月1日に1/10に死んでもらう事にします。』


『対象が偏らないように国ごとにゲームへの貢献度で決めます。周りのプレイヤーが競争相手となりますので、必死になって頑張って下さい。』


『各国内で自分の貢献度ランキングが確認出来るように調整しといたから、頑張って生き残って下さい。これで、皆さんがやる気にってくれることを祈ってます。それでは、バイバ〜〜〜イ。』




その日を堺に日本人いや地球人の間で、壮絶な生き残りを掛けた戦争が始まった。

特にこれまで、市街地でただ客観的にこの陣取りバトルを観戦していた人々が急に焦り始めたのだった。

お互いに周りを警戒し些細なことで争いが多発するようになっていった。



因みに本当にステータス画面に日本人貢献度ランキングが表示された。


7位/68,543,356人

※ボーダーライン 34,271,678人


というか、6,800万人って、日本人の人口が少ないな・・・1億2千万人はいるはずだ。そんなに一気に減ってないだろう??

この疑問は、ねーちゃんから聞いてすぐに明らかになったのだが、この陣取りバトルに参加しているのが、だいたい15歳〜60歳までだったと言うのだ。

子供とお年寄りの姿が突然消えたのだという。

正確にいうと、消えた人間のことを誰もしっかりと覚えていないのだ・・・・それが自分の子供でさえもだ・・・・。

あの謎の声の影響なのは間違い無いだろうが、消えた人間の存在自体を覚えてないので、それほど騒ぎにもならずにいたようだ。俺もそこまで、のだ・・・。



それよりも俺の順位が一桁台だったことに驚いている。

ボーナスポイントに支援スキルがあるのに1位じゃないのはおかしいって?

でも、同盟も組まずにここまで1人でやってきたんだし、一桁台だけでも凄くないか!?


そして俺は家のリビングでねーちゃん達とランキングについて連絡を取った。

3,400万位がボーダーラインの中、ねーちゃんは1,800万位くらい。まあ、そのままでも問題ない状況だろう。

続いて涼真さんは、4,800万位くらい・・・・・で完全にでは無いが現状アウトだった。


「涼真さんは敵とは余り戦っていないという事だが、その割に意外と順位が高いな。

武器の精錬などしてたって話だから、貢献度には特有の基準があるんだろうな。」


あの謎の声の事だから、本当に大量虐殺が実行されるだろう・・・。

そうなると、それにより身内が亡くなるのはなんとしても避けたい・・・・、そのため同盟に加入させてもらい涼真さんをフォローする事にした。


もちろん同盟リーダーは涼真さんだ。

俺は、そんな面倒なことはやりたくない・・・俺は自由に悠々自適な生活をしたいのだ。いろいろと取りまとめたり、何やかんや頭を使ったりは極力したくない。

同しようもない状況に追い込まれてからなら・・・。


同盟名は……「深緑の妖精」。

ノリで設定してしまったらしい。


後で酔っ払ったときに聞いたら、ねーちゃんの事を想像してつけたらしい。

仲がよろしいようで何よりです。







<他作品>

最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜

https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489


よろしければ、ご覧ください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る