第20話 現状
俺は西側の水沼ダムまで進軍した事により、水沼ダムの反対側に日本人同盟の拠点群があることを突き止めた。
それを見つけたとしても、まあ、こらから手を出すつもりは今のところ全く無い・・・。
ただ、相手がどう動くか分からないため、水沼ダムに要塞を設置して、相手の出方を監視し続ける事にした。
ちゃんと見張りを置き、転移陣を設置してあるので、何かあれば直ぐに駆けつける事が出来る。
そういえば、西側からの敵の攻撃がほとんど無かったことを思うと、この日本人同盟が何らかの対処をしていたお陰かもしれないと改めて考えるのだった。
確証は無いが、川を越えた北側に他プレイヤーの領地が無数に広がっている。
戦闘の有無まで地図で分からないが、こっちまで異世界人が来てないと言うことは、北側でエルフと日本人同盟で戦闘が起こっており、手一杯でこっちへ攻めて来ていないだけなのだろうか。
一応、これ以外にでも今考えられることを事前に整理しておく必要があるな。
「となると西側もこれ以上行くと、何かしらの勢力とぶつかる可能性があるな。」
「フーマが考えてるのでおおよそ当たってると思うわ。
私たちエルフの集落の者は、ここから北西側にあったはずよ。以前攻めて来た3人のエルフが言っていたもの。
それがまだ一度しか攻めて来ないということは、何か違うことに手一杯だと推測するのが当然だわ。そして、状況証拠から見て、北側のあ奴らがこの事に絡んでいると考えるのが自然だわ。」
「やはりそうか。だったら西側は様子見だな。」
「そうね。とりあえずは、様子見の方が良いと思うわ。」
それから時間は流れて、約2ヶ月後。
改めて見ると、結構横に長い感じの領地となってしまった。
◯ 俺の領地
◎ 主拠点、分拠点
◉ 要塞
△ 他プレイヤー
◆ ダム・川など侵入不可
<概略地図>
△△△△ ◆◆◆
△△ ◆◆◯ ◯◆
◆◆◆ ◯ ◯◯◆◆
◆◆◆◉◯ ◯ ◯ ◆
水沼ダム◯◯ ◯◎◯◯◆◆
◯ ◯ ◯◯ ◯◆
△△△ ◯◯ ◯◯ ◯◯ ◆
△△ △△ ◉◯ ◯◎ ◯◯◆
△△ △△ ◯◯ ◯◯◯◯◆
△ △△ △ ◯◯◯◯◯◆
西側はあまり動きが無く、日本人同盟からもこちらに対して、アクセスして来ないし、こちらからも何もしていない。
南側には異世界人との戦争が勃発しており、取って取られてで進行しやすいし、防衛の意味も込めて要塞を設置している。
そのため最近はもっぱら、南側で獣人たちと戦争を繰り返している。
たまに日本人同盟ともいざこざが発生するが、そこは問題が起きない程度に留めている。
南側は、土地のオセロ(取った、取られた)が頻繁に行われて、無法地帯の感じがする。
新展開といえば、東側の磯原市街地の日本人プレイヤーや同盟に派閥が出来始めた事だ。
日本人同盟たちだから、こちらから手を出していないが、この先どうなるか分からない。ただ、本音を言うとなるべく日本人には手を出したく無い・・・。
しかし、派閥が出来ているので、同盟規模が大きくなるとちょっと厄介だと思っている。
そんな俺は、未だ同盟を組んでいないが、異世界人が4人配下にいる。自分の命だけでは無く、仲間の命も背負っている。
そうあの戦いから2ヶ月が経ち、獣人の兄弟も無事に配下に加わった。
長男はナビル。
次男はジェイド。
三男はサミュエル。
D級モンスターが768体増員された。
D級の鉄シリーズ装備が527セットも獣人から得ることができ相当な戦力アップだ。
E級の銅シリーズの装備も2,248セットほど獣人が持っていたので、活用させて貰っている。
従属契約をするとそれまで手元にいた配下モンスターが一緒に配下に加える事が出来る。更に領地もおまけで付いてくる。
ただし、拠点などの建物は、消滅していた。
そして、俺の現総戦力、内政はこんな感じだ。
【配下管理】
従属配下 4
D級モンスター 1,545体
E級モンスター 2,197体
F級モンスター 1,272体
【装備】
鉄シリーズ装備 748セット
銅シリーズ装備 2,512セット
木シリーズ装備 273セット
【領地】
lv4 62
lv3 164
lv2 281
lv1 623
名前 葛城 風馬 (支援スキルLv1)
レベル 4
クラス なし
ステータスポイント 0
能力値
力 D (25)
魔力 F (0)
配下 D (15)
創造 E (5)
名前 ミレーネ
レベル 3
クラス なし
ステータスポイント 0
能力値
力 E (12)
魔力 F (0)
名前 ナビル
レベル 4
クラス なし
ステータスポイント 0
能力値
力 D (22)
魔力 F (0)
名前 ジェイド
レベル 3
クラス なし
ステータスポイント 0
能力値
力 E (10)
魔力 F (0)
名前 サミュエル
レベル 3
クラス なし
ステータスポイント 0
能力値
力 E (10)
魔力 F (0)
ジェイドとサミュエルは力にステータスポイントを振った。
なお、配下と創造に振ってあったステータスポイントは半分の10ポイントが還元されていた。
還元される事は、確かなようだ。
主拠点にも大きな動きがあった。
地下を1階層増やしたのだ。
・最下層のフロア(B2)は、住居スペース+田畑をまとめてある。
・追加した階層(B1)は、訓練場、運動場、鉱山、山、湖などさまざまな生活水準向上の施設を優先して完備した。
戦争だけだとモンスターに疲れが溜まり良いパフォーマンスが出ない。
適度な休息を与えてリフレッシュさせた方が良いと思う。
これは俺たちプレイヤーにも当てはまる。
ジェイドとサミュエルが配下になった当初のこと……
「フーマさん本当にありがとう。こんな良い待遇までしてもって、我ら兄弟あなたの元に加えてもらえる事が出来て本当に良かった。」
「ジェイド兄さんの言うとおりっす。ナビル兄さんもこうして生きているし、あのままだったら今頃死んでたっす。」
「いやいや、これからのお前たちの活躍には期待してるし、仲間に良い待遇をするのは当然だ。」
ジェイドとサミュエルの要望で、ナビルと同じ家に住んでいる。
もともとナビルが使っていた家では狭いので、家大へ変更している。(中→大)
更に家の中も彼らの要求を聞き、俺の感覚的な基準で過剰にならない範囲でカスタマイズしているので、結構快適だと思う。
家の中に筋トレルームがあるのが特徴的だ。
改善要望が出ていないのがその証拠だ。
ミレーネから住んでいる家の更なる改善が必要との強い要求が出て、まあまあのDPを消費して、風呂場のカスタマイズを行った。
檜の内風呂に露天風呂までつけたのだ・・・。
少し時は遡るが、食事の改善もしている。
「そうだフーマ。ニホンで食べてた美味しいもの作ってよ。」
ミレーネのこの一言から始まった。
「おお、いいぞ。カツ丼なんてどうだ?」
「カツ丼??」
「そうカツ丼だ。豚肉に衣を付けサクッと揚げたカツを作る。
そして、フライパンでダシ汁を煮出して、スライスした玉ねぎ、カツを入れて溶き卵でとじたものを熱々のご飯の上に乗せればカツ丼の完成だ。」
「なんか美味しそうだね。早速作ってよ!」
俺はカツ丼作りに一時期ハマった事がありそれなりに自信があった。
手早くカツ丼を作って、ミレーネの前に置く。
ミレーネが丼の蓋を開けると、アツアツの湯気とともに良い香りが漂った。我ながら良い出来だと思う。
「いただきま〜す。」
ミレーネはカツ丼を一口食べると、満面の笑みを浮かべた。
「フーマこれすっごく美味しい〜。」
俺も食べたがいい出来だった。
どこからとも無く、カツ丼の匂いに引き寄せられてナビルが家にあがり込んできた。
そして、カツ丼をねだるので、また作る羽目になった。
まあ、皆んなで食べた方が美味いので、結果オーライだ。
「これは、食堂で出すメニューに加えるべきだ!」
ナビルがこんな事をいうもんだから、食堂メニューに加わることになった。
言うまでも無いが、一時期、俺の主拠点ではカツ丼ブームが起こったのだった。
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