第1話 始まり <2030年4月>
俺は、葛城 風馬(かつらぎ ふうま)27歳、工場勤めのサラリーマンだ。
今日は2030年3月28日……。
年度末で納期間際の仕事があり徹夜していた。
夜勤明けてからも午前中は仕事をし、お昼休みになったら昼寝をして、午後半休を取って家へ帰ろうと計画している。
意識は飛び飛びだ。
ただし、何とかお昼のチャイムが鳴るまで意識を保った。それと同時に、頭の中に謎の声が聞こえてきた。
『みなさん始めまして、****です・・・・・・・。この世界に新たな力を与えるための試みを行いたいと思います。その新たな始まりまであと3日となります。』
『地球の方々がこの力に慣れるまでに時間がかかるかもしれません。また、何をして良いか分からないという人もいると思いますので、プレイヤーの皆さまにはチュートリアルを行ってもらいますので、72時間以内に眠って下さい。これは、現実ですよ。嘘だと思って〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。』
風馬は眠さのピークに達しており、頭の中に聞こえてきた声も夢かと思い、話も途中でそのまま寝落ちしてしまった。
『あなたが最初の参加者です葛木さん。
それでは、陣取りゲームのチュートリアルを始めます。』
目の前に握りこぶしくらいの光の玉が浮かんでいた。この光の玉から声が聞こえて来ているようだ。
俺はこの状況が夢だと思い込んでおり、何も気にせずにチュートリアルを開始した。
「なんか変な設定だが、まあそのまま続けてくれ。」
『まず、この陣取りゲームは、ダンジョン化した地球が舞台です。
ルールは簡単です。
自分の領地を拡大させて敵を全滅させれば勝利です。地球はダンジョン化を開始しております。3日後に全ての地域が碁盤の目上に区分けされたフィールドと化します。』
『まず、ステータス画面と念じてみて下さい。そうしたら、目の前にステータス画面が表示されますので、【土地・拠点管理】を選び、【地図】を選択して下さい。』
「ふぅーん、陣取りゲームというだけあって、スマホゲームみたいで楽しそうだな。」
俺はこれが完全に夢の中と思っており、何の迷いも無く心の中でステータス画面と念じた。
そうしたら、目の前に四角い画面が現れた。いろんな項目がある様だが、今は【土地・拠点管理】しか選べないようだ。
俺は【土地・拠点管理】→【地図】を選んだ。
『この地図内で自分の主拠点を決めて下さい。なお、一度決めるとキャンセルする事が出来ませんので、ご注意下さい。』
ステータス画面には、この辺りの地図がGoogl◯マップみたいに表示されている。
スマホを扱う要領で地図の尺度を縮小・拡大できた。
「この画面もタブレットみたいだな。陣取りゲームかぁ〜、敵が出てくる見たいだから、相手が攻めづらい場所がいいよな。且つ人がいなくて、陣地を簡単に広げられると尚良いかな………だったら、あの辺りにしよっと。」
俺はある場所をマップから選んで主拠点に設定した。こういった領地拡大型のゲームは好きで、結構ハマってしまう性分である。
しかも、ゲームだとランダムで領地が決まってしまいそうだが、指定出来るなんて良心的だ。
ゲーム全般好きであるが、格ゲーは苦手な分野である。それよりもゲームならじっくり時間を掛けて着実に育てる形の方が好きだ。
『主拠点は設定されたみたいですね。次にステータス画面の説明を行います。まずは、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
光の玉曰く、ステータス画面の内容を纏めるとこんな感じだ。
【ステータス管理】: 自分のステータスを確認・管理できる
(名前、レベル、クラス、ステータスポイント、能力値【力、魔力、配下、創造】が表示される)
※ステータスポイントを【力、魔力、配下、創造】へ割振り自分を強化できる。
【土地・拠点管理】 : 地図の確認、拠点(主拠点、分拠点①……)・領地を管理する
【連絡】 : チャット、メールができる
【DP管理】 : ダンジョンポイントを使ってさまざまな事が行える(配下召喚、創造(設備、食料、装備品等))
【部隊編成】 : 出撃部隊を編成できる
【配下管理】 : 配下のステータスなどを確認できる
【同盟】:同盟を組むことができる
『次はいよいよ実際にやって体験してみましょう。』
光の玉から強い光が放たれると、辺りの景色が一気に変わり、俺は森の中に立っていた。
「って、いきなり景色が変わったぞ・・・・・・。」
『・・・あなたが選んだ主拠点へ移動しました。そして、この拠点で最も重要な物がこの玉です。この玉を敵に破壊されるとあなた自身が死亡=消滅しますので必死になって守って下さい。
なお、この玉は自動的に最下層に設定されます。ある程度移動は可能なので、工夫して破壊されないようにして下さい。
ではまず、ステータス画面で【DP管理】→【配下召喚】と進んで、とりあえずゴブリン2体を召喚して見て下さい。』
俺は突然移動したことや自分が消滅してしまうくらい大事なこの玉の事などについて驚いた。
しかし、夢と思い込んでいるので、そこまで取り乱すこと無く、光の玉のに言われるがままにステータス画面を操作するとゴブリン2体が目の前に現れた。
「うわぁーー!」
『…やっぱり、驚かれましたね。ナイスリアクションです。』
急に俺の目の前にファンタジーでお馴染みのゴブリンらしい小鬼が現れた。
身長は150cmくらいだろうか中学生くらいで、上半身裸で、下半身にはボロキレを巻いている。
ただ、そのゴブリンはそこに立っているだけで、何もしてこなかった。
「ってか、こうなるのを知ってるなら前もって忠告してくれよ・・・・・。」
『教えたら面白くないじゃないですか。因みにそのゴブリンは、あなたの配下です。あなたに危害を加える事はありません。試しに何か命令してみて下さい。』
「わかった。右手を上げろ、おぉー。次は左手を上げろ。 周りに落ちている小枝を拾って来い。」
ゴブリンは俺の命令を聞き、右手と左手を上げた後に周りを見渡し、小枝を拾って来た。
『普通のゴブリンと同じですので、その程度の命令なら理解して行動出来ますよ。』
「そうなのか?そもそも俺は普通のゴブリンを知らないからな。」
『そういえば、地球にはゴブリンはいないですね、失礼しました。では、早速ですが、この仮主拠点から隣の土地に移動して「占領」と叫んで下さい。』
『「占領」を使うと、ダンジョン神の力により広い別次元が解放されます。そして、その土地レベルにあったモンスターが現れますので、それらを倒すとその土地を自分の領地と出来ます。こうやって領地を広げることができます。これが基本動作です。』
『なお、向かった先の土地に敵プレイヤー及びモンスターが「待機」している場合、まず初めにそれらと戦闘になります。
なお、直ぐにダンジョン神の力によって広い別次元の解放領域へ転送されますので、大規模な戦闘も可能です。そして、それらの先発隊を倒すと「占領」を使う事が出来ます。』
「そうなると、この小さな土地1つを取るために数千人規模の戦闘も起きる可能性があるんだな。」
『そういう事です。そのため、敵の領地を奪う場合、敵の先発隊がいる可能性があるので、調査や準備をしっかりしておいて下さい。』
『また、入手した領地は6時間の間、安全地帯となり敵の侵入を防いでくれます。敵プレイヤーの足止めにも使えますので、覚えておいて下さい。』
『なお、移動は自分の領地及び自分の領地に隣接している土地にしか出来ません。最初は主拠点をベースに少しずつ領地を広げて行って下さい。
では、早速「占領」してみて下さい。・・・・・あと、忘れずに【部隊編成】でゴブリンを部隊へ登録しておいて下さいね。』
俺は、単独で領地を「占領」しようとしていたのを寸前で止め、慌てて部隊編成でゴブリンを俺の部隊へ登録し、隣の土地lv1へ移動し「占領」を行った。
そうすると一瞬で周りの風景が変わり、目の前にゴブリン1体とスライム1体が現れた。
風景が変わったのは、さっき説明を受けた通り別次元へ飛ばされたのだろう。
「これは凄いな。まさにバーチャルゲームの世界みたいだな。」
『油断しないで下さい。チュートリアルで死ぬことはありませんが、痛みは感じます。まずは、この銅の剣を使用してご自身でゴブリンを倒して下さい。通常のゴブリンより弱く設定されておりますので、倒せるはずです。』
俺は光の玉から現れた銅の剣を手に取り、ゴブリンへ斬りかかった。
「天下一刀流 兜割り」
俺の強烈な一撃がヒットし、ゴブリンの頭がパックリと割れて、血を吹き出しながらそのまま倒れた。
そのゴブリンの死体を見て、少し気分が悪くなったが、・・・・それから暫くすると、ゴブリンは光と共に消えてしまった。
俺が少し感傷に浸っている間に配下のゴブリン2体は、もう1体のスライムを倒して戦闘が終了したのだった。
『おめでとうございます。チュートリアルで初回モンスターの討伐を確認しました。精神安定プログラムが正常に発動されております。あなたは正式にプレイヤーになりました。』
『これでチュートリアルは完了です・・・が、あなたは、地球人で最初のチュートリアル完了者のため、特別ボーナスとして、ステータスポイントを20ポイントが与えられます。
更に最初の戦闘にて一撃でモンスターを討伐したことが****たちに称賛されました。また、あのときの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜も評価されます。
総合して、【****から興味を持たれし者】の激レア称号を受け、あなたには【支援スキル】が与えられました。』
何か知らない間に激レア称号?を手に入れて、【支援スキル】を手に入れたぞ!
『あとは、【拠点管理】【配下召喚】【創造】などいろいろとやる事があるので、その辺りは試行錯誤しながら頑張って下さい。 因みに【支援スキル】のことは、・・・情報開示できませんので、こちらも試行錯誤してみて下さい。』
「ちょ、ちょっと待ってくれ、まだいろいろと聞きたいことがあるのだが。」
『これ以上の質問にはお答え出来ません。では、お元気で頑張って生き抜いてください。そうすれば、また会うこともあることでしょう・・・・。』
光の玉がそう言うと、光を放ち消えていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
近況ノートに【キャライラスト(イメージ)】を載せましたので、よければ確認下さい。
<他作品>
最強のクズ職〜てめぇら見てろよ召喚士だがこれからは俺のターンだ〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330647505909489
よろしければ、ご覧ください。
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