第3話「火のない所に煙は立たぬ」
「……すっかり寝坊よ。
昨夜は横になりつつ、
刀は大きく伸びをしてから、喧騒に誘われるままフラリフラリと歩き出す。
「随分 賑おうておるが、勇者殿は
昼の商店街は、大勢の人で混んでいる。
これだけいれば誰かは
「待たれよ、そこの
すれ違いざまに声をかけられ、男が
「喋るソードとは珍しい。何だいあんた?」
「拙者は陽紅ノ太刀と申す。勇者殿をご存じか?」
「ユーシャ? あいにくだが知らないね」
男はスタスタ歩き去ってしまった。
「……まだ1人目、気を落とすには早いゆえ」
刀は即座に次へ狙いを定めた。
*
「……99人目……無念でござるッ」
「妙案と思うたが、そうは問屋が卸さぬかァ……」
老若男女に聞いて回るが、手掛かりは得られず仕舞い。
刀は折れそうだった。
「陽紅ノ太刀よね?」
話しかけてきた女が1人。
雑多な街に似合わぬ穏やかな物腰。
派手さこそないが見るからに上質な服。
先の99人と
「如何にも。して貴殿は?」
「たまたま
「
「
「
「やだ、
「あいやァ、そうでござった……」
刀は納得した。
99人に尋ねた以上、誰かから伝わってもおかしくない。
「――はッ!
「残念ながらそこまでは」
「むゥ……」
一瞬期待した刀だが、ガックリ肩を落としてしまう。
「ですが
「おぉ、貴殿も勇者殿を探してくれるでござるか⁈」
「こう見えて
「かたじけのうござる!」
無邪気に喜ぶ刀。
女はニコリと微笑み、言葉を続ける。
「……教えていただきたいのだけれど、今度の勇者ってどんな人かしら?」
「どんなと申すと?」
「
「一理あるのぅ……」
刀は頷き、勇者の特徴を話し出した。
銀がかった灰色の髪。
燃え盛るほど赤い瞳。
熱き心で爆炎道を究めんとする少女。
名前はアッシェ・フリーエン。
「……ウフフ、これだけ聞ければ十分よ。手分けして探しましょう」
「くれぐれも宜しくでござるッ」
女は笑顔で去っていった。
*
「
再び歩き出した刀は満足げだ。
「はてさて勇者殿は
――
目に入ったのは
刀は不思議と
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