16才の高校生男子の夏です。恋に、バイトに、妄想に、そんなことが忙しい16才の男子の心情が、とても丁寧に、繊細に描かれています。ノリはヤンキーマンガですが、描写はどこか文学的で、その混ざり具合が心地良い。この主人公の16才の夏を、主人公の目線で、ぜひみなさん味わって欲しいです。
ラブコメというのはご都合主義の予定調和になりがちですが、本作は主人公の葛藤にも物語の展開にもリアリティーがあります。また、本作の主人公は小説の主人公としては珍しいタイプなので、その生き方に新鮮さが感じられるかもしれません。主人公の独白が多く地の文が多いですが、本作ではそれをストレスには感じませんでした。むしろクセになり、ついつい読んでしまいます。