エピローグ
なんとか泊まれるホテルを見つけて一夜を明かした。
今僕は指輪と一緒に地元に帰るために新幹線に乗っている。
約3時間半、僕は完全に思い出した愛衣の記憶をもう一度辿っている。
地元に帰ったらやることを終えたあとにもう一度来ヶ谷家を訪ねよう。
両親に謝らせてもらおう。
そして報告させてもらおう。
◇
今までで1番長くて1番短い乗車だった。
新幹線を降りてまず最初に僕は花屋さんに向かった。
愛衣のお父さんが買っていたのと同じ赤い花を買って、来ヶ谷家を尋ねる。
そこには長くは滞在しなかった。
あとでもう一度来るつもりだからだ。
ご家族の2人に愛衣の墓の場所を聞きに行った。
ここからバスを使えば1時間もかからないらしい。
教えてもらったとおりにバスに乗り、約45分後に下車した。
そこから歩いて6分。
そこには『来ヶ谷愛衣』と刻まれた墓があった。
ゆっくりと赤い花を供えて、手を合わせる。
「待たせてゴメンな。 愛衣。」
そういって墓を綺麗にしていく。
ひと通り終わると、いよいよ本来の目的を実行に移す。
愛衣に伝えたかったことを伝えるために。
僕は左手の薬指にはまっている指輪をゆっくりと外した。
そして、僕から見て、右側に小さな穴を開けた。
つまり愛衣から見ると左側。
その小さな穴に指輪を埋める。
完全に土に埋まったのを確認して僕は口を開いた。
「結婚しよう。愛衣。」
◇
もう一度来ヶ谷家に訪れた。
結婚の報告をするために。
まだ大学生だけど法律的には問題ない。
愛衣の両親は...いや、愛衣と僕の両親は泣きながら喜んでくれた。
もう二度と忘れない。
忘れないどころかもっとたくさん思い出を増やしてやる。
こうして僕の愛衣を巡る旅行は終わった。
そして新たな愛衣と僕の思い出を巡る新婚旅行が始まる。
君を巡る旅行 如月倫音 @bakabocchan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます