第2話
「きっこちゃん、いくらなんでも、早すぎひんか?結婚やで?人生の一大事をたった三回で?」
「まあ、お見合いやから。色んな条件は、先に両方の親が承知してしもてるから、後は本人次第。早うなっても不思議ではないな。」
「きっこちゃん、他人事みたいに。相手の人、何歳?何してる人?」
「今、二十九歳やて。公務員や。三十になるまで結婚式あげたいんやて。アハハ、式場、予約できるやろか、ハハハ…そうそう、たいした顔やないけど、これ、写真……」
「なんや、たよりなさそうな……せやけど、真面目な人やろかいな……それでも……き、きっこちゃん……ほんまに、この人でええんかいな?」
「とこちゃん、心配してくれて、おおきに。確かに、大恋愛とはほど遠いねん。でも、この人、なんや、ずうっと前から、知ってるような感じがしてん。一緒にいるのが当たり前、みたいな……せやからな、うち、この人とやっていこうと思うねん。」
「ふうん、フィーリングがおうたってことか……」
「そんな、洒落た言葉、私らには似合わへんけどな。それはそうと、とこちゃん、恋愛は順調か?」
「岡田さんのことか?あの人とはつき合わへんことにした。」
「へっ?なんで?入社してから、一緒に仕事して、優しいて、ええ人やて……この前、つき合ってくれて言われて、とこちゃん、ほっぺた真っ赤にして、うれしそうやったけど?」
「確かに。その瞬間は嬉しかってん。せやけどな、岡田さんとは同僚のままでいたいって言うた。」
「とこちゃん、何かあったんか?」
「さっき、きっこちゃんが言うたのと逆や。なんや、この人とやっていこうと思われへんねん。会社の中で、下手につき合ってあかんようになったら笑いもんやんか。それでな、よう考えてん。岡田さんは優しい人やで。でも、一緒にいて成長できひんような感じがするねん。その点、厳しいとこもあるけど……」
「とこちゃん、他に気になる人、いるのやな。」
「……………」
「わかった。無理に言わんでもええよ。」
「きっこちゃん、うち、討ち死に覚悟で告白したいて思うねん。」
「とこちゃん、その人はとこちゃんを成長させてくれる人なんやな。」
「うん。」
「ほな、頑張り。」
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