第四話:砂の国ラハリア

 ──砂の国ラハリアは大きな川の近くに築かれた街で、他は砂漠に囲まれている。大きな川のお陰で、砂漠囲まれながらも水不足には悩まされない。この街を初めて築いたやつは凄いと思う。



 「いい街だな、ちょっと暑いけど。それにしても凄いな、砂漠の街だってのに木がたくさん生えてやがる」



 所々が木陰になってて涼しいな。



 「あれはデザートツリーと言って、砂漠にしか生えない珍しい木でな。根っこの部分が椅子のような形になっていて、座る事も出来る」



 「出店が多いですけれど、どこも魚料理ばかりですのね。魚料理は好きですわ」


 「えっ!お前の好物はバナナだろ?」



 煽った途端にものすごい眼光でアリスに睨まれた。



 「ラハリアは、大きな川が近くに流れているから魚がたくさん獲れるんだ」


 「へえ、よく知ってんな」


 「小さい頃、父上と来た時にラハリア王から色々な事を教わった。懐かしいな、バステト様は元気にしてるだろうか」


 「バステト?」


 「バステト様は、ラハリア王の娘で小さい頃よく遊んでいた」


 「可愛らしい名前ですわね」


 「イタズラ好きで、初めて会った人でも容赦なく罠を仕掛ける」


 「そ……そうなのか」



 とりあえず、ろくな奴じゃないのは分かった。



 「そう言えば、ラハリア王はどこにいらっしゃるのかしら」


 「ラハリア王は、ラハリア神殿と言う場所に住んでいる。街に入ってから、真っ直ぐ奥に進むと神殿がある」


 「では、このまま真っ直ぐ行けば着きますのね。わたくしはラハリア王に会って来ますけど、お二人はどうしますの?」


 「俺は疲れたから、少し休んでからそっちに行くわ」


 「私は、アリスと一緒に行こう。私がいた方が話が早いだろう」


 「んじゃ、後でな」



 ああ疲れた、足が棒みたいだ。どっか休める場所はねえかな。



 「にゃは……次の獲物発見だにゃあ」


 「ん?」



 後ろから声が聞こえた気がしたが気のせいか?まあいいや、きっと疲れてるんだな……。



 「ちょっと暑いが、ここで少し昼寝でもするか」



 昼寝出来そうな木陰があって良かった、やっと休める。



 「んん……寝ちまったか、まだ足が痛えな。そろそろ行かないと、アリスに殴られそうだな。よし、行くか」


 「お兄さん」


 「ん?お前誰だああああああああああああ!」



 俺は、奈落の底へ落ちた。



 「にゃはは……引っかかった、引っかかったにゃあ」


 「痛ってえ。クソッ!一体なんなんだ」


 「アンタは、私の落とし穴にかかったんだにゃあ」


 「落とし穴?落とし穴にしては深いぞ」



 全く、打ち所が悪かったら死んでたぞ。そういや、ルミナスがバステト様がどうのこうの言ってたな。



 「お前バステトだなっ!そこで待ってろ、痛い目に合わせてやる」


 「遠慮するにゃあ、バイバイだにゃあ」


 「おい待ちやがれ!どこ行きやがった、あのバカ猫め」

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