第4話 そして雨は降り止んだ

目が覚めたらそこは、病院のベッドの上だった。

傍らには、美香の寝顔があった。

ずっと泣いていたのだろうか、頬には彼女の涙のあとが見えた。

体がずっしりと重く、横腹もズキズキと痛む。

あれは、現実に起きていたことなんだと痛感した。


その後刑事さんが僕の元を訪れてきた。

事件当時の犯人の人相や状況を細かく説明した。

しかし犯人が言った様に、犯人は忽然と姿をくらまし、

見つけ出すことはできなかった。

それと同時にこの連続殺人事件は、

犯人の僕への殺人未遂事件を契機に発生が止んだ。


この町が、世界が日常を取り戻した様に感じた。

平和が、また戻ってきたんだなと、そう思えた。

でも一つ気になることがあった。

刑事さんの取り調べを受けている時、

終始刑事さんが困惑そうな表情を浮かべたり、

小さい声でお互いに耳打ちをしたりしていた。

最後の方には、なんだか僕のことを気の毒そうに思っている様な表情すらあった。


健二「ああ、なんて綺麗な空なんだ。」

美香「そうね。こんな澄み渡る青空なんて、久しぶりだわ。一面雲ひとつないわね」

健二「そうだ!息子の名前は、空にしよう」

美香「あら、そんなあっさり決めちゃうの笑?」

そんな他愛もない話をしながら帰宅した。

健二「ちょっとお手洗い行くね」

美香「段差気をつけてね!」


お手洗いで用を済ませ、鏡の中の自分を見た。

健二「あれ。。」

僕の右頬には、あの日隣にいた男の右頬と同じ傷跡があった。

ゴロゴロゴロ

遠くから夕立の雷の音が聞こえてきた。

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ラーテルの反撃 カンツェラー @Chancellor

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