第2話 雨は降り続く

健二「それじゃあ銭湯行ってくるね〜」

美香「行ってらっしゃい。本当に気をつけるのよ」

健二「おう!」


昨晩からふりしきっていた雨は、今晩まで止むことはなく、道路脇の側溝は、所々排水しきれない雨水をゴポゴポと吐き出していた。

夜の21時にちょうどなりかけてきた。

スーパー銭湯までの道のりは、ふりしきる雨と時間帯もあって、

いつも以上に静けさをたもっていた。


健二「本当にこの町に殺人鬼がいるんかね〜」

独り言を呟く健二。

自宅から20分ほどでスーパー銭湯に到着。

いつも駐車しているスペースに車を停めた。

いつもの要領で手早く準備をして銭湯に行こうとする健二。

健二「ん?」

車中で手拭いやらバスタオルやら貴重品を手元に寄せている時、

車の周りに何かの気配を感じた健二は、身動きを止めた。

辺りはただ雨音だけが響く。

健二「まさかね」

一通りに支度を終え、銭湯に向かうべくドアを開けた次の瞬間。

助手席側のドアが勢いよく開く音がした。

ドスッ

人生で初めて聞く、鈍く感じの悪い音と衝撃が同時に健二の感覚に伝わった。


隣を振り向いた健二は、凍りついた。

隣には右頬に大きな切り傷を持つ40代くらいの男が黒色のレインコートを着て座っていた。そして、その男の手は、真っ直ぐに健二の体に伸びており、よくみると光るものが横腹に差し込まれていた。


健二「これは、、」

殺人鬼「動かないほうがいい。動くと傷が広がって数分と持たずに出血死する」

健二「、、、」

健二の横腹には、殺人鬼のナイフが突き刺さっており、徐々にその痛みが体を駆け巡り始めていた。今のこの状況がテレビで報道されていた事件であることは、すぐに悟った。そしてこの状況をどうしたら打開できるかをひたすら考えた。


殺人鬼「今、どうしたら助かるか。それを考えているな。1つ教えてやる。下手に抵抗すれば、ナイフが暴れて内出血が増してお前は死ぬ。」

健二「お前、お前の目的はなんだ?俺に恨みでもあるのか?」

そう問いかけた健二。

すると殺人鬼は、にんまりとした。

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