第2話

「ありがとう、助かった。」

秀子おばちゃんが帰ると、とこちゃんにお礼を言った。

「きっこちゃん、武ちゃん、偉かったで。静かにしてたやろ。うち、お母ちゃんにいつも言われてるねん。秀子おばちゃんには気いつけやて。あのおばちゃん、新聞配って、集金して、色んな家にあがりこんで、うちうちの話し聞いて、それをよそに言わはんねんて。」

「うちは最近、本家に行かへんようになってん。お母ちゃんとおばあちゃん、仲悪いさかいな。それ、わかっていて、探りをいれてくるんやから、かなんわ。お母ちゃん、月末になると、買い物から帰ってくるの遅いような気がするわ。きっと、秀子おばちゃんに会うの、いやなんやろな。そうかと言うて、うちが、秀子おばちゃんの相手するの、うんざりや。」

「きっこちゃんのお父さん、自分のお母さんがはように亡くならはって、後から来やはった継母のおばあちゃんと仲悪いんやから、お母さんとおばあちゃんが仲ようなるはずがないわ。」

「とこちゃんとこは、家族仲ええからうらやましいわ。」

「みんなが知ってることやけど、うちはな、おじいちゃんおばあちゃんに子供ができひんかったから、遠い親戚の私らのお父ちゃんお母ちゃんが、夫婦で子供に来たんや。無理して子供になってもうたからって、おじいちゃんおばあちゃんのほうが気をつこうてる。大抵、おじいちゃんおばあちゃんが、偉そうにしてはるやろ。うちは、ちょっと事情が違うだけや。

きっこちゃん、お疲れさん。もう、秀子おばちゃんの話しやめよ。ほら、お餅食べや。」

そうやって、いつも慰めてくれるとこちゃん。本当にいい友達だ。



 嫌われ者の秀子おばちゃんが、自分の家で、倒れて亡くなったと聞いたのは、それから一ヶ月後のことだった。

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