「思う」? (ひどく個人的な文章の話②)

 常々「思う」んですけど。


 政治家が「~思う」って、なに?


 いやいや、思う前に、思うくらいなら、行動しなさいよ、やりなさいよ。それが出来ないならなんで政治家やっているのか。国民に選ばれた議員として、それをすのが仕事でしょう?

 「遺憾いかん」も政治言葉のあいまいさで、ものすごく嫌いですけど、そこに「思う」がついて「遺憾に思う」。

 それって、いったい、何が言いたいの?

 断定を避けて言葉尻捉えられるのを防ごうとしているのでしょうけど、演説など、言葉を使う政治家としてはその時点で失格。

 何も伝わるものはないですよね。


 日本語というのは、とかく婉曲えんきょく表現が多い。

 また、「思う」など、はっきり自分を主張しない言葉遣いも多い。


 それは人間関係を円滑にするためとは言えるでしょう。

 日本人独特の感性として「謙譲」がありますが、それにそうものとして。

 何かしてもらって、「ありがとう」より「すいません」と頭を下げる、例のあれです。

 「考えとくわ」は関西では断りの言葉と同義となる、それです。


 しかし、それも度が過ぎると日本語の墓場となる。


 「思う」だの、「やばい」だの。

 それだけでもう終わり。

 あとは何もいらない。

 喜んでいるのか。怒っているのか。悲しいのか。

 日本語にはそれを表す素晴らしい言葉の数々があるのに、「思う」「やばい」で終わり。

 もう、がっくり。


 思う前に感じることがあるはず。

 思うならやるべきことがあるはず。

 「やばい」なら何が「やばい」か、それがあるはず。


 日本語は本当に、表現豊かです。

 それを使いこなすこと、それは作家としての第一歩だと常々自分に言い聞かせています。


 でも、皆さんの作品見せてもらっていると、その信念も揺らぎます。

 日本語とか、文法とか関係ない、物語の強さだけで勝負! 構成が良ければ細かいことは押し切れる!! って、そんな良作も多い。

 自分のこだわりが時々嫌になることありますが。

 

 もっとそんなことにこだわらず、物語の力、テンポの良さ、逆転の妙、それを意識したいなと「思い」つつ、具にもつかない話を閉じます。


 お付き合い、ありがとうございました。

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